保険の税金がまるわかり!保険料控除から給付金の課税有無まで徹底解説

がん保険 税金

がん保険の保険料や受け取る給付金に税金はかかるのか、複雑で分かりにくいですよね。

この記事を読めば、がん保険の保険料が生命保険料控除の対象になる仕組みや控除額の計算方法、診断給付金や入院給付金などが原則非課税である理由、そして例外的に課税されるケースまで、税金の疑問がすべて解決します。

解約返戻金や満期保険金の税金についても解説しています。

上條範昭 | Cancer FP

がん保険と税金の関係を正しく理解し、適切に手続きしましょう!

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目次

がん保険の保険料と税金 生命保険料控除について

がん保険への加入を検討する際、保障内容だけでなく、支払う保険料が家計に与える影響も気になるところです。

実は、がん保険の保険料は、所得税や住民税の負担を軽減できる「生命保険料控除」の対象となる場合があります

この章では、がん保険と生命保険料控除の関係について、詳しく解説していきます。

がん保険は生命保険料控除の対象になる?

結論から言うと、がん保険の保険料は、生命保険料控除の対象となります

生命保険料控除は、納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に、一定の金額がその年の所得から差し引かれ、所得税や住民税が軽減される制度です。

がん保険は、この中の「介護医療保険料控除」に分類されます。

ただし、すべての保険契約が対象となるわけではありません。

保険金受取人が、契約者本人、配偶者、またはその他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)であることが要件となります。

一般的ながん保険であれば、この要件を満たすケースがほとんどでしょう。

生命保険料控除の種類とがん保険の位置づけ

生命保険料控除には、以下の3つの種類があります。

それぞれ控除の対象となる保険契約と控除限度額が異なります。

一般生命保険料控除

生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約(死亡保険、養老保険など)の保険料が対象です。

いわゆる死亡保障に関連する保険料がここに分類されます。

介護医療保険料控除

入院・通院などに伴う給付部分に係る保険契約(医療保険、がん保険、就業不能保険、介護保険など)の保険料が対象です。

がんの診断、入院、手術、通院などに対して給付金が支払われるがん保険の保険料は、この「介護医療保険料控除」に該当します。

個人年金保険料控除

個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険契約の保険料が対象です。

一定の要件を満たす必要があります。

このように、がん保険は「介護医療保険料控除」の対象として、所得控除を受けることができます。

がん保険の控除額はいくら?計算方法を解説

がん保険を含む介護医療保険料控除の控除額は、年間に支払った保険料の額に応じて計算されます。

契約日が平成24年1月1日以後か、平成23年12月31日以前かによって、適用される制度(新制度・旧制度)と控除限度額が異なります。

がん保険は一般的に平成24年1月1日以後の契約(新制度)に該当する場合が多いですが、念のためご自身の契約日を確認しましょう。

【新制度(平成24年1月1日以後の契約)の場合】

年間の支払保険料等所得税の控除額住民税の控除額
20,000円以下支払保険料等の全額支払保険料等の全額
20,001円~40,000円支払保険料等 × 1/2 + 10,000円支払保険料等 × 1/2 + 10,000円
40,001円~80,000円支払保険料等 × 1/4 + 20,000円28,000円(上限)
80,001円以上40,000円(上限)28,000円(上限)

※介護医療保険料控除の限度額です。一般生命保険料控除、個人年金保険料控除もそれぞれ同額の限度額があります。

【旧制度(平成23年12月31日以前の契約)の場合】

旧制度では、「介護医療保険料控除」という区分はなく、「一般生命保険料控除」に含まれます。

年間の支払保険料等所得税の控除額住民税の控除額
25,000円以下支払保険料等の全額支払保険料等の全額
25,001円~50,000円支払保険料等 × 1/2 + 12,500円支払保険料等 × 1/2 + 12,500円
50,001円~100,000円支払保険料等 × 1/4 + 25,000円35,000円(上限)
100,001円以上50,000円(上限)35,000円(上限)

※旧制度の一般生命保険料控除の限度額です。個人年金保険料控除も同額の限度額があります。

【新制度と旧制度の両方に加入している場合】

新制度と旧制度のそれぞれで控除額を計算し、合計します。ただし、控除額には上限があります。

  • 旧制度のみで計算した控除額(上限:所得税5万円、住民税3.5万円)
  • 新制度のみで計算した控除額(上限:所得税4万円、住民税2.8万円)
  • 新旧両制度の保険料について計算した控除額の合計額(上限:所得税4万円、住民税2.8万円)

生命保険料控除全体の合計適用限度額は、所得税が12万円、住民税が7万円となります。

詳細な計算方法や具体例については、国税庁のウェブサイトもご確認ください。
国税庁:No.1140 生命保険料控除

生命保険料控除を受けるための手続き 年末調整と確定申告

生命保険料控除を受けるためには、ご自身で手続きを行う必要があります

手続き方法は、働き方によって異なります。

【年末調整】

会社員・公務員の場合

毎年秋ごろになると、保険会社から「生命保険料控除証明書」というハガキまたは電子データが送られてきます。

勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に、この証明書の内容(保険会社名、保険の種類、支払った保険料額など)を記入し、証明書を添付して勤務先に提出します。

これで年末調整において生命保険料控除が適用されます。

【確定申告】

自営業者・フリーランス・年末調整で手続きできなかった会社員の場合

毎年原則2月16日から3月15日までに行われる確定申告で手続きします。

確定申告書の「生命保険料控除」の欄に、支払った保険料額や控除額を記入し、「生命保険料控除証明書」を添付して税務署に提出します(e-Taxを利用する場合は、証明書の提示または提出を省略できる場合があります)。

いずれの場合も、「生命保険料控除証明書」は手続きに不可欠な書類ですので、大切に保管しておきましょう。

もし紛失した場合は、加入している保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。

生命保険料控除は、がん保険の保険料負担を軽減する上で重要な制度です。

ご自身の加入状況を確認し、忘れずに手続きを行いましょう。

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がん保険の給付金と税金 課税される?非課税?

がん保険への加入を検討する際、または既に加入している方が気になる点の一つが、「受け取る給付金に税金がかかるのかどうか」ということでしょう。

万が一がんに罹患し、治療のために給付金を受け取ったとしても、そこに税金がかかってしまうと手元に残る金額が減ってしまいます。

ここでは、がん保険の給付金と税金の関係について、基本的なルールから注意点まで詳しく解説します。

原則非課税 がん保険の給付金と税金の基本ルール

まず結論からお伝えすると、がん保険から受け取る給付金の多くは原則として非課税です。

つまり、診断給付金や入院給付金、手術給付金など、がんの治療を目的として受け取る給付金には、所得税や住民税はかかりません。

これは、日本の税法(所得税法施行令)で定められているルールです。

具体的には、所得税法施行令第30条第1号において、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」については非課税所得とすると定められています。

がん保険の給付金は、がんという病気(身体の傷害)によって経済的な損失を補填するために支払われるものであるため、この規定に該当し、非課税扱いとなるのです。

詳しくは国税庁のウェブサイトでも確認できます。

参考: 国税庁 タックスアンサー No.1755 損害保険金を受け取ったとき (※損害保険に関するページですが、非課税の根拠となる法令は共通です)

非課税となる給付金の具体例

がん保険から支払われる給付金のうち、一般的に非課税となるものの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 診断給付金(一時金)
    • がんと診断されたときに一時金として支払われる給付金
  • 入院給付金
    • がん治療のために入院した場合に、入院日数に応じて支払われる給付金
  • 手術給付金
    • がん治療のために所定の手術を受けた場合に支払われる給付金
  • 通院給付金
    • がん治療のために通院した場合に、通院日数に応じて支払われる給付金
  • 放射線治療給付金・抗がん剤治療給付金
    • 所定の放射線治療や抗がん剤治療を受けた場合に支払われる給付金
  • 先進医療給付金
    • 先進医療によるがん治療を受けた場合に、技術料相当額が支払われる給付金
  • がん特定治療給付金
    • 特定の治療法(ホルモン療法など)を受けた場合に支払われる給付金
  • 女性がん特有の給付金
    • 乳がんなど女性特有のがんに対する上乗せ給付金

これらの給付金は、がんの治療費負担や、治療に伴う収入減少を補うという性質を持っているため、非課税として扱われます。

非課税となる理由

改めて非課税となる理由を整理すると、がん保険の給付金が「身体の傷害(がんという病気)に基因して支払われるもの」に該当するためです。

これは、事故によるケガで受け取る傷害保険の給付金などが非課税であるのと同じ考え方に基づいています。

税法では、病気やケガによって受け取る給付金は、損害を補填するためのものであり、利益を得るための収入(所得)とは性質が異なると考えられています。

そのため、治療に専念できるよう、これらの給付金には課税しないという方針が取られています。

注意!がん保険の給付金に税金がかかるケース

上記で説明した通り、がん保険の給付金の多くは非課税ですが、受け取り方や契約形態によっては税金がかかるケースも存在します。

どのような場合に課税対象となるのか、具体的なケースを見ていきましょう。

所得税 住民税がかかる場合

一時所得 雑所得

がん保険の給付金のうち、「生存給付金」や「健康祝い金」といった名目で支払われるものは、身体の傷害に直接起因するものではないため、原則として「一時所得」として所得税・住民税の課税対象となります。

一時所得の金額は、以下の計算式で算出されます。

一時所得の金額 = 総収入金額(受け取った給付金) – 収入を得るために支出した金額(払込保険料相当額) – 特別控除額(最高50万円)

そして、課税対象となるのは、この一時所得の金額をさらに1/2にした金額です。

課税対象額 = 一時所得の金額 × 1/2

例えば、生存給付金として100万円を受け取り、それに対応する払込保険料が30万円だった場合、一時所得の金額は 100万円 – 30万円 – 50万円 = 20万円 となります。

課税対象額はこの半分の10万円です。

この10万円が他の所得と合算されて、所得税・住民税が計算されます。

ただし、一時所得には年間50万円の特別控除があるため、他の一時所得(懸賞金の当選金など)と合算しても50万円以下であれば、結果的に税金はかかりません。

また、年金形式で給付金を受け取るような保険(がん保険では稀ですが)の場合、「雑所得」として課税される可能性があります。

雑所得の計算方法は一時所得とは異なります。

参考: 国税庁 タックスアンサー No.1490 一時所得

贈与税がかかる場合

契約者、被保険者、受取人の関係

がん保険の給付金が非課税となるのは、原則として「被保険者(がんになった人)自身」または「被保険者の治療費を負担する人」が受け取る場合です。

しかし、契約者(保険料を支払う人)と受取人(給付金を受け取る人)が異なる場合、贈与税の対象となる可能性があります。

具体的には、契約者(例:夫)が保険料を支払い、被保険者(例:妻)ががんに罹患し、給付金の受取人が子ども(例:子)であるようなケースです。

この場合、夫から子へ給付金相当額の贈与があったとみなされ、贈与税が課されることがあります。

贈与税には年間110万円の基礎控除額があります。

そのため、その年に受け取った贈与額(他の贈与も含む)が110万円以下であれば、贈与税の申告や納税は不要です。

しかし、給付金額が高額になる場合や、他に贈与を受けている場合は注意が必要です。

相続税がかかる場合

契約者 被保険者 受取人の関係

がん保険の給付金に関して、相続税が問題となるのは主に次のようなケースです。

  1. 死亡給付金が付加されている場合
    • がん保険に死亡保障特約などが付いており、被保険者が死亡した際に死亡給付金が支払われるケース。
      この場合、契約者と被保険者が同一人物で、受取人が相続人であれば、死亡給付金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
      ただし、生命保険の死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があります。
  2. 未払いの給付金がある場合
    • 被保険者が亡くなった時点で、まだ受け取っていない入院給付金や診断給付金などがある場合、これらは本来被保険者が受け取るべき財産(未収金)として、相続財産に含まれ、相続税の課税対象となる可能性があります。
  3. 契約者が死亡し、保険契約を引き継ぐ場合
    • 契約者が亡くなり、その保険契約を相続人が引き継ぐ場合、その保険契約の解約返戻金相当額が「相続財産」として評価され、相続税の対象となることがあります。

がん保険の主な給付金(診断給付金、入院給付金など)は生存中に支払われるため、直接的に相続税の対象となることは少ないですが、上記のようなケースでは注意が必要です。

参考: 国税庁 タックスアンサー No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

契約者、被保険者、受取人の関係と税金の種類の関係をまとめると、以下のようになります。(主に入院給付金など、生存中に受け取る給付金を想定)

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契約者(保険料負担者)被保険者(がんになった人)受取人税金の種類
AさんAさんAさん非課税
AさんBさんAさん非課税
AさんBさんBさん非課税
AさんBさんCさん贈与税 (Cさんが受け取る給付金に対して。年間110万円の基礎控除あり)
Aさん (死亡)Aさん (死亡)相続人相続税 (死亡給付金や未払給付金が相続財産となる場合)

※上記は一般的な例です。個別の契約内容や状況によって異なる場合があります。

生存給付金やお祝い金を受け取った場合の税金

がん保険の中には、一定期間が経過したり、特定の年齢に達したりした際に、「生存給付金」や「健康祝い金(健康還付給付金)」といった名目で給付金が支払われるタイプのものがあります。

これらの給付金は、がんの治療に直接関連するものではなく、貯蓄性のある部分からの支払いとみなされるため、原則として「一時所得」として所得税・住民税の課税対象となります。

計算方法は前述の通り、「(受け取った給付金額 – 払込保険料相当額 – 50万円)× 1/2」が課税対象額となります。

多くの場合、払込保険料相当額を差し引いたり、50万円の特別控除を適用したりすると、課税対象額が発生しないか、少額になるケースが多いですが、受け取る金額や払込期間によっては課税される可能性があることを覚えておきましょう。

特に、複数の保険から同時期に一時所得に該当するような給付金を受け取る場合は、合算して計算する必要があるため注意が必要です。

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がん保険の解約返戻金、満期保険金と税金

がん保険の中には、途中で解約した場合に解約返戻金が支払われるタイプや、保険期間満了時に満期保険金が支払われるタイプがあります(ただし、最近のがん保険は解約返戻金がないか、あってもごくわずかな「掛け捨て型」が主流です)。

これらの保険金を受け取った場合、税金がかかるケースがあります。ここでは、解約返戻金と満期保険金にかかる税金について詳しく解説します。

解約返戻金にかかる税金 一時所得

がん保険を途中で解約し、解約返戻金を受け取った場合、その受け取った金額が払い込んだ保険料の総額を上回る場合、その差額(利益)に対して税金がかかる可能性があります。

この場合の税金の種類は、原則として「一時所得」として所得税・住民税の課税対象となります。

一時所得は、給与所得など他の所得と合算して税額が計算されます(総合課税)。

一時所得の金額は、以下の計算式で求められます。

一時所得の金額 = (受け取った解約返戻金の総額) – (払い込んだ保険料の総額) – (特別控除額 最高50万円)

この計算で算出された一時所得の金額のさらに1/2に相当する金額が、他の所得と合算されて課税対象となります。

例えば、解約返戻金が150万円、払い込んだ保険料の総額が120万円だった場合、

(150万円 – 120万円 – 50万円) = -20万円

となり、一時所得は0円です。この場合、税金はかかりません。

もし、解約返戻金が200万円、払い込んだ保険料の総額が130万円だった場合は、

(200万円 – 130万円 – 50万円) = 20万円

一時所得の金額は20万円となります。

この20万円の1/2である10万円が、他の所得と合算されて課税されることになります。

解約返戻金が払い込んだ保険料の総額よりも少ない場合は、税金はかかりません。

また、一時所得には年間50万円の特別控除があるため、解約返戻金による利益が50万円以下であれば、他に一時所得がなければ税金はかかりません。

一時所得が発生し、確定申告が必要になる場合は、保険会社から送られてくる支払調書などを元に手続きを行いましょう。

詳しくは国税庁のウェブサイトもご確認ください。

国税庁 タックスアンサー No.1490 一時所得

満期保険金にかかる税金 一時所得または雑所得

がん保険で満期保険金が設定されているケースは多くありませんが、貯蓄性のある医療保険などにがん保障が付いている場合など、満期保険金を受け取る可能性があります。

満期保険金を受け取った場合の税金は、「誰が保険料を負担し(契約者)、誰が満期保険金を受け取るか(受取人)」によって、かかる税金の種類が変わります。

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保険料負担者(契約者)満期保険金受取人税金の種類課税対象
AさんAさん所得税(一時所得または雑所得)・住民税(満期保険金 – 払込保険料総額)の差益
AさんBさん(Aさんの配偶者や子など)贈与税受け取った満期保険金の全額

契約者と受取人が同一人物の場合は、解約返戻金と同様に、受け取った満期保険金の額が払い込んだ保険料の総額を上回る場合に、その差益が課税対象となります。

  • 一時金で受け取る場合
    • 差益は「一時所得」となり、計算方法も解約返戻金の場合と同じです。(満期保険金 – 払込保険料総額 – 特別控除額50万円)× 1/2 が課税対象。
  • 年金形式で受け取る場合
    • その年に受け取った年金額から、対応する払込保険料(必要経費)を差し引いた金額が「雑所得(公的年金等以外)」となり、他の所得と合算して課税されます。

契約者(保険料負担者)と受取人が異なる場合は、契約者から受取人への「贈与」とみなされ、受け取った満期保険金の全額が贈与税の課税対象となります。

ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、その年に受けた他の贈与と合わせて110万円以下であれば、贈与税はかからず申告も不要です。

満期保険金に関する税金の詳細については、以下の国税庁のページも参考になります。

国税庁 タックスアンサー No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき

国税庁 タックスアンサー No.1610 保険契約者(保険料負担者)である本人が個人年金保険を受け取る場合 (年金形式の場合の参考)

解約返戻金や満期保険金を受け取る際には、ご自身の契約内容と税金の関係をよく確認し、必要に応じて税務署や税理士に相談することをおすすめします。

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税理士に聞いた「がん保険の税金に関するよくある誤解トップ3」

がん保険と税金の関係は複雑で、誤解されている点も少なくありません。

ここでは、税理士の視点から、がん保険の税金に関するよくある誤解とその正しい理解について解説します。

誤解1

がん保険の給付金はすべて非課税だと思っている

「がん保険から受け取る給付金は、どんな場合でも税金がかからない」という考えは、最もよくある誤解の一つです。

確かに、がん保険の給付金の多くは非課税です。

診断給付金、入院給付金、手術給付金、通院給付金、先進医療給付金などは、被保険者本人が受け取る限り、原則として所得税・住民税の課税対象にはなりません。

これは、これらの給付金が「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」として、所得税法で非課税所得と定められているためです。(国税庁 No.1400 所得税の非課税所得 参照

しかし、契約形態(契約者、被保険者、受取人の関係)によっては、贈与税や相続税の対象となるケースがあるため注意が必要です。

贈与税がかかるケース

保険料を負担する「契約者」と、給付金を受け取る「受取人」が異なる場合、その給付金は契約者から受取人への贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性があります。

契約者被保険者給付金受取人税金の種類
贈与税
贈与税

※年間110万円の基礎控除額を超える部分に贈与税がかかります。(国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 参照

相続税がかかるケース

「契約者」と「被保険者」が同一人物で、その方が亡くなったことによって、死亡保険金や死亡給付金が支払われる場合、その保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

スクロールできます
契約者被保険者給付金受取人税金の種類
妻(相続人)相続税

ただし、死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があります。

受け取った死亡保険金がこの非課税枠の範囲内であれば、相続税はかかりません。

国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金 参照

がん保険の場合、死亡保障が付いていない、あるいは少額なことが多いですが、契約内容によっては注意が必要です。

誤解2

支払ったがん保険料は全額が所得控除の対象になると思っている

「支払ったがん保険料は、その全額が所得から控除される」というのも誤解です。

がん保険の保険料は、所得税・住民税の計算上、「生命保険料控除」の対象となります。

しかし、控除される金額には上限が設けられており、支払った保険料の全額が控除されるわけではありません。

生命保険料控除には「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの区分があります。

がん保険(医療保険を含む)の保険料は、このうち「介護医療保険料控除」に分類されます。

所得税の控除額は、年間の支払保険料に応じて計算され、最大で4万円です。

住民税の控除額も同様に計算され、最大で2万8千円です。

年間の支払保険料等の合計額控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等 × 1/2 + 10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等 × 1/4 + 20,000円
80,000円超一律40,000円

(出典:国税庁 No.1140 生命保険料控除

また、がん保険以外にも介護保険や医療保険に加入している場合、それらの保険料も「介護医療保険料控除」の対象となり、合算して控除額を計算します。

合算した結果、上記の控除限度額を超える保険料を支払っていても、控除額は上限額までとなります。

誤解3

生存給付金やお祝い金も非課税だと思っている

「がんにならなかった場合や、一定期間生存していた場合に受け取れる生存給付金やお祝い金も、他の給付金と同じように非課税だろう」というのも誤解しやすいポイントです。

がん保険の中には、一定期間がんと診断されなかった場合や、無事に満期を迎えた場合などに「生存給付金」「健康還付給付金」「お祝い金」といった名称で一時金が支払われるタイプがあります。

これらの給付金は、診断給付金や入院給付金とは異なり、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」には該当しません。

そのため、原則として課税対象となり、「一時所得」として所得税・住民税がかかります。

一時所得の金額は、以下の計算式で算出されます。

一時所得の金額 = (受け取った給付金の総額) – (その収入を得るために支出した金額=払込保険料相当額) – (特別控除額 最高50万円)

この計算結果がプラスになる場合に、その金額の1/2が他の所得(給与所得など)と合算されて総合課税の対象となります。

国税庁 No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき 参照

多くの場合、特別控除額(最高50万円)があるため、他に一時所得がなければ税金がかからないケースも多いですが、受け取る金額や他の所得状況によっては課税される可能性があることを覚えておきましょう。

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がん保険と税金に関するQ&A

がん保険と税金の関係について、特に疑問に思われやすい点をQ&A形式で解説します。

保険料控除や給付金の基本的なルールを踏まえつつ、より具体的なケースについて見ていきましょう。

先進医療特約の保険料や給付金の税金はどうなる?

がん治療の選択肢として注目される先進医療。

その保障を備える先進医療特約に関する税金の取り扱いについて解説します。

先進医療特約の保険料

先進医療特約の保険料は、生命保険料控除のうち「介護医療保険料控除」の対象となります。

主契約であるがん保険の保険料と合算して、所定の計算方法に基づき控除額が算出されます。

年間の支払保険料に応じて、所得税・住民税の負担が軽減される可能性があります。

控除を受けるためには、年末調整または確定申告で手続きが必要です。

保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を忘れずに保管しておきましょう。

関連情報:国税庁 タックスアンサー No.1140 生命保険料控除

先進医療給付金

先進医療特約から受け取る先進医療給付金は、原則として非課税です。

これは、がん保険の入院給付金や手術給付金などと同様に、「身体の傷害に基因して支払われるもの」に該当するためです。

先進医療にかかった高額な技術料を給付金で受け取っても、その給付金に対して所得税や住民税が課されることはありません。

ただし、これは被保険者本人が給付金を受け取る場合です。契約形態によっては課税対象となるケースもあるため、注意が必要です(詳しくは次の項目で解説します)。

関連情報:国税庁 タックスアンサー No.1750 死亡保険金を受け取ったとき(※非課税となる保険金の考え方として参考になります)

保険料負担者と給付金受取人が違う場合の注意点

がん保険の給付金は原則非課税ですが、それは「保険料を負担していた人」と「給付金を受け取る人」が同一人物(多くの場合は被保険者本人)である場合です。

この関係性が異なると、贈与税や相続税の課税対象となる可能性があるため、契約時にしっかり確認しておくことが重要です。

主なパターンと課税関係は以下の通りです。

スクロールできます
保険料負担者被保険者給付金受取人課税される税金の種類備考
AさんAさんAさん非課税最も一般的なケース。診断給付金、入院給付金、手術給付金など、身体の傷害に基因する給付金は非課税。
AさんBさん(例:配偶者や子)Aさん所得税(一時所得)・住民税保険料を負担した人が、被保険者ではない人(Bさん)のがん罹患により給付金を受け取るケース。受け取った給付金は一時所得として扱われます。
AさんAさん または BさんCさん(例:子や孫など第三者)贈与税保険料を負担した人(Aさん)と給付金を受け取る人(Cさん)が異なるケース。AさんからCさんへの贈与とみなされ、年間の贈与額が基礎控除額(110万円)を超えると贈与税がかかります。
Aさん(故人)Aさん(故人)Bさん(相続人)相続税(※死亡保険金の場合)被保険者(保険料負担者でもある)が亡くなり、死亡保険金を相続人が受け取るケース。がん保険に死亡保障が付いている場合に該当します。相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用される場合があります。
Aさん(故人)BさんAさん(故人)相続税(※未受領給付金の場合)保険料負担者であり給付金受取人でもあるAさんが、給付金を受け取る前に亡くなった場合、その受け取る権利(未受領給付金)が相続財産となり、相続税の対象となることがあります。

特に、家族のためにがん保険を契約する場合(例:夫が妻や子の保険料を負担する)は、給付金の受取人を誰にするかによって税金が変わる可能性があることを覚えておきましょう。

関連情報:
国税庁 タックスアンサー No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき
国税庁 タックスアンサー No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー No.4105 相続税がかかる財産

税金の申告が必要な場合の具体的な手続き

がん保険に関連して税金の申告が必要になるのは、主に以下のケースです。

  • 給付金を一時所得または雑所得として受け取り、確定申告が必要な場合
  • 給付金を贈与として受け取り、贈与税の申告が必要な場合
  • 死亡保険金や未受領給付金を相続し、相続税の申告が必要な場合

それぞれのケースでの手続きの概要を解説します。

所得税(確定申告)

給付金が一時所得に該当し、他の一時所得と合算した金額から特別控除額(最高50万円)を差し引いてもプラスになる場合、確定申告が必要です。

また、生存給付金等が雑所得に該当する場合も、他の所得と合わせて確定申告が必要になることがあります。

  • 申告時期
    • 原則として、所得を得た年の翌年2月16日から3月15日まで
  • 申告方法
    • 税務署の窓口で申告書を提出
    • 郵送で提出
    • e-Tax(電子申告)を利用
  • 必要書類(例)
    • 確定申告書
    • 保険会社が発行する支払調書(支払通知書)
    • 源泉徴収票(給与所得者の場合など)
    • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
    • その他、控除証明書など

関連情報:国税庁 確定申告特集

贈与税

保険料負担者以外が給付金を受け取り、その年の贈与額の合計が基礎控除額(110万円)を超える場合、贈与税の申告が必要です。

  • 申告時期
    • 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで
  • 申告方法
    • 所得税と同様、税務署窓口、郵送、e-Tax
  • 必要書類(例)
    • 贈与税の申告書
    • 保険会社が発行する支払調書(支払通知書)など贈与の事実を証明する書類
    • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)

関連情報:国税庁 タックスアンサー 贈与税

相続税

がん保険の死亡保険金や未受領給付金を含む相続財産の総額が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告が必要です。

  • 申告時期
    • 相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内
  • 申告方法
    • 所得税と同様、税務署窓口、郵送、e-Tax
  • 必要書類(例)
    • 相続税の申告書
    • 被相続人や相続人の戸籍謄本
    • 遺言書または遺産分割協議書の写し
    • 保険会社が発行する支払調書(支払通知書)
    • その他、相続財産や債務に関する書類
    • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)

相続税の計算や申告は複雑な場合が多いため、税理士などの専門家への相談も検討しましょう。

関連情報:国税庁 相続税の申告のしかた(令和5年分用)

いずれの税金についても、申告が必要かどうか、また具体的な手続きについては、最寄りの税務署や税理士に相談するのが最も確実です。

国税庁のウェブサイトやタックスアンサーも非常に参考になります。

LINE

まとめ

がん保険の保険料は、生命保険料控除のうち「介護医療保険料控除」の対象となり、所得税や住民税の負担が軽減されます。

受け取る診断給付金や入院・手術給付金などは、身体の傷害に起因するものとして原則非課税です。

ただし、契約者・被保険者・受取人の関係によっては所得税、贈与税、相続税がかかる例外的なケースもあります。

解約返戻金や満期保険金も課税対象となる場合があるため注意が必要です。

がん保険と税金の関係を正しく理解し、必要に応じて年末調整や確定申告を行いましょう。

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