胃がんの抗がん剤治療について、種類や副作用、費用など多くの疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。
また、治療期間や生活上の注意点、抗がん剤が効かなくなった場合の対応といった、患者さんやご家族が知りたい情報にQ&A形式でお答えします。
本記事を通じて、胃がんの抗がん剤治療への理解を深め、安心して治療に臨む一助となれば幸いです。

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胃がんの抗がん剤治療(化学療法)とは
胃がんの治療法は、がんの進行度や患者さんの状態によって多岐にわたります。
その中でも抗がん剤治療(化学療法)は、手術や内視鏡治療、放射線治療と並ぶ重要な治療選択肢の一つです。
抗がん剤治療は、薬剤を用いてがん細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりすることを目的とします。
全身に作用するため、手術で取りきれない微小ながん細胞や、他の臓器に転移したがんに対しても効果が期待できます。
患者さんによっては、治療の柱となることもあれば、他の治療と組み合わせて行われることもあります。
抗がん剤治療の目的と位置づけ
胃がんにおける抗がん剤治療の目的は、がんの進行度や治療の段階によって大きく異なります。
- 根治を目指す(術前・術後補助化学療法)
手術でがんを取り除くことが可能ながんに対し、手術前(術前化学療法)に抗がん剤を投与してがんを小さくし、手術の成功率を高めたり、術後に残存する可能性のあるがん細胞を死滅させて再発を予防したりします(術後補助化学療法)。これにより、治療成績の向上が期待されます。 - 病状の進行を抑える、延命
手術による切除が難しい進行胃がんや、他の臓器に転移している再発胃がんの場合、抗がん剤治療はがんの進行を遅らせ、生命予後を延長することを目的として行われます。
がんによる症状を和らげ、患者さんの生活の質(QOL)を維持することも重要な目標です。 - 症状の緩和
がんが原因で生じる痛み、出血、食事が摂れないなどの症状を、抗がん剤によって改善し、患者さんの苦痛を和らげる目的で行われることもあります。
抗がん剤治療は、単独で行われることもありますが、多くの場合、手術や放射線治療と組み合わせた集学的治療の一環として計画されます。
治療方針は、患者さんの全身状態、がんの性質(組織型、遺伝子異常など)、そしてがんの進行度を総合的に評価し、専門医が検討して決定します。
抗がん剤治療が適応となる胃がんのステージ
胃がんの抗がん剤治療は、がんの進行度を示す「ステージ」によってその適応が異なります。
ステージは、がんの深さ(T)、リンパ節転移の有無と数(N)、遠隔転移の有無(M)に基づいて分類されます。
一般的に、早期胃がんでは手術が中心となりますが、進行胃がんや再発胃がんでは抗がん剤治療が重要な役割を担います。
| 胃がんのステージ | 抗がん剤治療の位置づけ | 主な目的 |
|---|---|---|
| ステージ0・I(早期胃がん) | 基本的に手術(または内視鏡治療)が中心。 リンパ節転移のリスクが高い場合や、特定の病理学的特徴を持つ場合に、術後補助化学療法が検討されることがあります。 | 再発予防 |
| ステージII・III(局所進行胃がん) | 手術可能な場合でも、術前化学療法や術後補助化学療法が推奨されることが多く、治療成績の向上を目指します。 | 根治性向上、再発予防 |
| ステージIV(切除不能進行胃がん・再発胃がん) | 抗がん剤治療が治療の中心となります。手術による根治が困難なため、がんの進行を抑制し、延命や症状緩和を目指します。 | 病状の進行抑制、延命、症状緩和、QOL維持 |
これらの適応は一般的なものであり、個々の患者さんの状態やがんの特性(例えば、HER2陽性かどうかなど)によって、治療方針は個別に決定されます。
最新の治療ガイドラインに基づき、専門医が最適な治療計画を提案します。
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胃がん治療で使われる抗がん剤の種類
胃がんの抗がん剤治療(化学療法)では、がん細胞の増殖を抑えるために様々な種類の薬剤が用いられます。
これらの薬剤は、作用機序によって大きく細胞障害性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3つに分類されます。
細胞障害性抗がん剤
細胞障害性抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼすことで、がん細胞の増殖を阻害する薬剤です。
フッ化ピリミジン系薬(TS-1など)
フッ化ピリミジン系薬は、がん細胞のDNA合成を阻害することで増殖を抑える薬剤です。
経口で服用できるTS-1(ティーエスワン)が広く用いられており、外来での治療も可能です。
その他、カペシタビン(ゼローダ)や5-FU(5-フルオロウラシル)などもこの系統に含まれます。
プラチナ製剤(シスプラチンなど)
プラチナ製剤は、がん細胞のDNAに結合してDNAの複製や転写を阻害することで、がん細胞を死滅させる薬剤です。
シスプラチンやオキサリプラチン(エルプラット)が胃がん治療で使われます。
吐き気などの消化器症状が比較的強く出やすい傾向があります。
タキサン系薬(パクリタキセルなど)
タキサン系薬は、がん細胞の細胞分裂に必要な微小管の働きを阻害することで、がん細胞の増殖を止める薬剤です。
パクリタキセル(タキソール)やドセタキセル(タキソテール)が胃がん治療に用いられます。
末梢神経障害や脱毛などの副作用が特徴的です。
分子標的薬
分子標的薬は、がん細胞に特有の分子(タンパク質など)を標的として、その働きを阻害することでがんの増殖を抑える薬剤です。
正常な細胞への影響が少ないため、細胞障害性抗がん剤と比較して副作用が少ない傾向がありますが、特定の遺伝子変異やタンパク質の発現がある場合にのみ効果が期待できます。
HER2陽性胃がんに使われる薬(トラスツズマブなど)
胃がんの中には、がん細胞の表面にHER2(ハーツー)というタンパク質を過剰に発現しているタイプがあります。
このようなHER2陽性の胃がんに対しては、HER2の働きを阻害する分子標的薬であるトラスツズマブ(ハーセプチン)が効果を発揮します。
細胞障害性抗がん剤と併用されることが多いです。
血管新生を阻害する薬(ラムシルマブなど)
がんは、自らの増殖に必要な栄養や酸素を取り込むために、新たな血管を作り出す(血管新生)ことがあります。
血管新生を阻害する薬は、この血管新生のメカニズムを妨げることで、がん細胞への栄養供給を断ち、がんの増殖を抑えます。
胃がんでは、ラムシルマブ(サイラムザ)が用いられ、細胞障害性抗がん剤と併用されることがあります。
免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞からの攻撃を免れるために利用する「免疫チェックポイント」と呼ばれる仕組みを阻害することで、患者さん自身の免疫力を高め、がんを攻撃させる薬剤です。
近年、様々ながん種でその効果が注目されています。
オプジーボ(ニボルマブ)
ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、PD-1という免疫チェックポイント分子の働きを阻害する薬剤です。
胃がんでは、特に進行・再発胃がんの治療選択肢の一つとして用いられます。
特定のバイオマーカー(CPSなど)によって効果が期待できる患者さんが選ばれることがあります。
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)
ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)も、ニボルマブと同様にPD-1を阻害する免疫チェックポイント阻害薬です。
胃がんにおいては、特定の条件を満たす患者さんに対して使用が検討されます。
こちらもバイオマーカーによる適応判断が重要となります。
胃がんの抗がん剤治療で用いられるレジメン一覧
胃がんの抗がん剤治療では、複数の抗がん剤を組み合わせて投与することが一般的です。
この組み合わせと投与スケジュールを「レジメン」と呼びます。
患者さんの状態、がんのステージ、HER2発現の有無などに応じて最適なレジメンが選択されます。
| レジメン名 | 主な構成薬剤 | 特徴・適応 |
|---|---|---|
| S-1単独療法 | TS-1 | 経口薬で、比較的副作用が穏やか。高齢者や全身状態が不良な場合に選択されることもあります。 |
| SOX療法 | TS-1 + オキサリプラチン | 経口薬と点滴薬の組み合わせ。外来での治療も可能で、一次治療として広く用いられます。 |
| XELOX療法 | カペシタビン + オキサリプラチン | SOX療法と同様に経口薬と点滴薬の組み合わせ。 |
| FP療法 | 5-FU + シスプラチン | 古くから用いられる標準的なレジメンの一つ。 |
| DCF療法 | ドセタキセル + シスプラチン + 5-FU | 強力な効果が期待できる一方、副作用も比較的強い傾向があります。 |
| パクリタキセル単独療法 | パクリタキセル | 二次治療以降で用いられることが多いレジメン。週に1回の投与が一般的です。 |
| パクリタキセル + ラムシルマブ | パクリタキセル + ラムシルマブ | 二次治療以降で用いられ、血管新生阻害薬を併用することで効果を高めます。 |
| HER2陽性胃がんに対する治療 | トラスツズマブ + シスプラチン + フッ化ピリミジン系薬(S-1またはカペシタビン) | HER2陽性胃がんの一次治療として標準的に用いられます。 |
| 免疫チェックポイント阻害薬単独療法 | ニボルマブまたはペムブロリズマブ | 進行・再発胃がんの治療選択肢。特定のバイオマーカーに基づいて適応が判断されます。 |
これらのレジメンは、あくまで一般的な例であり、患者さん一人ひとりの病状や体質、治療歴などに応じて、担当医が最適な治療計画を提案します。
最新の治療ガイドラインに基づき、常に最適な治療法が検討されることが重要です。
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胃がんの抗がん剤で起こりうる副作用と対策
胃がんの抗がん剤治療(化学療法)は、がん細胞を攻撃する一方で、正常な細胞にも影響を及ぼすため、さまざまな副作用が起こりえます。
しかし、これらの副作用は医療の進歩により、適切な予防策や治療(支持療法)によって大きく和らげることが可能になっています。
副作用を恐れすぎず、主治医や看護師、薬剤師と密に連携を取り、不安なことや気になる症状があればすぐに相談することが重要です。
主な副作用の症状
抗がん剤の種類や投与量、患者さんの体質によって現れる副作用の種類や程度は異なります。
吐き気・嘔吐
抗がん剤が脳の嘔吐中枢や消化管を刺激することで起こります。
治療後すぐに現れる「急性悪心・嘔吐」と、数日後に現れる「遅発性悪心・嘔吐」があります。
- 症状
胃のむかつき、吐き気、実際に吐いてしまうなど。 - 対策
- 制吐剤(吐き気止め)の適切な使用
抗がん剤投与前に予防的に使用したり、症状が出た際に使用したりします。 - 食事の工夫
消化の良いものを少量ずつ、ゆっくりと摂る。冷たいものや匂いの少ないものが食べやすいこともあります。 - 生活習慣
締め付けの少ない服装にする。食後はすぐに横にならず、安静にする。 - 精神的なケア
不安やストレスも吐き気を助長することがあります。リラックスできる環境を整えましょう。
- 制吐剤(吐き気止め)の適切な使用
食欲不振・味覚障害
抗がん剤が消化管に影響を与えたり、口の中の味を感じる細胞にダメージを与えたりすることで起こります。
吐き気や倦怠感、口内炎などが原因で食欲が落ちることもあります。
- 症状
食欲がない、食べ物の味がわからない、苦く感じる、砂を噛むような感じがするなど。 - 対策
- 食事の工夫
食べられるものを優先し、少量でも高カロリー・高タンパクなものを摂る。味付けを濃くしたり、薄くしたり、酸味や香辛料を活用するなど、好みに合わせて工夫します。 - 栄養補助食品
栄養補助食品やゼリーなどを活用し、必要な栄養を補給します。 - 口腔ケア
口の中を清潔に保つことで、味覚が改善することもあります。 - 調理法
冷たい料理やさっぱりとしたものが食べやすいことがあります。
- 食事の工夫
口内炎
抗がん剤が口の中の粘膜細胞にダメージを与えることで発生します。
- 症状
口の中の痛み、しみる、ただれ、出血など。重症化すると食事や会話が困難になることもあります。 - 対策
- 丁寧な口腔ケア
やわらかい歯ブラシで優しく歯磨きし、うがい薬で口の中を清潔に保ちます。 - 食事の工夫
刺激の少ない、やわらかいものを摂る。熱いもの、辛いもの、酸っぱいものは避けます。 - 薬剤の使用
痛み止めや炎症を抑える軟膏、うがい薬などが処方されることがあります。 - 保湿
口の中の乾燥を防ぐために、こまめに水分を摂ったり、保湿剤を使用したりします。
- 丁寧な口腔ケア
下痢・便秘
抗がん剤が消化管の粘膜に影響を与えたり、腸の動きを変化させたりすることで起こります。
- 症状
- 下痢
排便回数の増加、水様便、腹痛など。 - 便秘
排便回数の減少、便が硬い、お腹の張りなど。
- 下痢
- 対策
- 下痢の場合
止痢剤の使用。水分補給をしっかり行い、脱水を防ぐ。刺激の少ない消化の良い食事を摂る。 - 便秘の場合
緩下剤の使用。水分や食物繊維を積極的に摂る。適度な運動も効果的です。 - いずれの場合も、症状が続く場合は主治医や看護師に相談し、適切な薬剤を処方してもらいましょう。
- 下痢の場合
倦怠感
抗がん剤治療による身体的・精神的な負担、貧血、栄養状態の悪化など、複数の要因が絡み合って起こります。
- 症状
身体がだるい、疲れやすい、集中力が続かない、やる気が出ないなど。 - 対策
- 十分な休息
無理せず、疲れを感じたら休息をとることが大切です。 - 適度な運動
体調が良い時は、散歩などの軽い運動を取り入れることで、気分転換や体力維持につながります。 - 栄養管理
バランスの取れた食事を心がけ、貧血などがあれば治療します。 - 気分転換
趣味や好きなことをする時間を作り、ストレスを軽減することも重要です。
- 十分な休息
脱毛
一部の抗がん剤は、毛根細胞にダメージを与えることで脱毛を引き起こします。
- 症状
頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、体毛なども抜けることがあります。通常、治療開始から2~3週間で始まり、治療終了後数ヶ月で再び生え始めます。 - 対策
- ウィッグや帽子、スカーフの利用
脱毛が始まる前に準備しておくと安心です。 - 頭皮ケア
刺激の少ないシャンプーを使用し、優しく洗い、保湿を心がけます。 - 精神的なケア
脱毛は患者さんにとって大きなストレスとなることがあります。医療スタッフや家族と話し、気持ちを共有することも大切です。
- ウィッグや帽子、スカーフの利用
手足のしびれ(末梢神経障害)
一部の抗がん剤(プラチナ製剤、タキサン系薬など)が末梢神経にダメージを与えることで起こります。
- 症状
手足の指先や足の裏などにしびれ、ピリピリ感、感覚の鈍さ、痛みなどが現れます。症状が進行すると、ボタンをかける、歩くといった細かい動作が難しくなることもあります。 - 対策
- 早期発見と医師への報告
しびれを感じたらすぐに主治医に伝えましょう。症状の悪化を防ぐために、抗がん剤の減量や休薬が検討されることがあります。 - 温める・マッサージ
手足を温めたり、優しくマッサージしたりすることで、血行が促進され、症状が和らぐことがあります。 - 転倒予防
感覚が鈍くなることで転倒しやすくなるため、足元に注意し、手すりなどを活用しましょう。 - 薬剤の使用
症状を和らげるための薬剤が処方されることもあります。
- 早期発見と医師への報告
骨髄抑制(白血球減少・貧血など)
抗がん剤が骨髄の造血細胞にダメージを与えることで、血液中の細胞(白血球、赤血球、血小板)が減少します。
これは、抗がん剤治療で最も注意すべき副作用の一つです。
骨髄抑制は、感染症のリスクを高める白血球減少、倦怠感や息切れを引き起こす貧血、出血しやすくなる血小板減少など、様々な症状を引き起こします。
定期的な血液検査でこれらの数値を確認し、異常があれば適切な処置が取られます。
| 血液細胞の種類 | 主な症状 | 対策・注意点 |
|---|---|---|
| 白血球減少 (特に好中球減少) | 発熱、だるさ、感染症(口内炎、肺炎、膀胱炎など)にかかりやすくなる | 感染予防の徹底 手洗い、うがい、口腔ケアをこまめに行う。 人混みを避ける、マスクを着用する。 生もの(刺身、生卵など)や加熱が不十分な食品は避ける。 発熱時はすぐに医療機関に連絡する。 G-CSF製剤(白血球を増やす注射)が使用されることがある。 |
| 貧血 (赤血球減少) | 倦怠感、息切れ、めまい、動悸、顔色が悪い | 十分な休息をとり、無理をしない。 鉄分を多く含む食品を摂る(医師と相談の上)。 重度の場合は輸血やESA製剤(赤血球を増やす注射)が検討される。 |
| 血小板減少 | 鼻血、歯茎からの出血、皮下出血(あざ)、血尿、血便 | 出血しやすい行動を避ける 硬い歯ブラシの使用、鼻を強くかむ、転倒など。 カミソリではなく電気シェーバーを使用する。 重度の場合は輸血が検討される。 |
これらの症状は、治療のスケジュールや薬剤の種類によって発現時期が異なります。
主治医や看護師から説明をよく聞き、血液検査の結果を常に確認しながら、異常があればすぐに報告することが大切です。
副作用を和らげる支持療法について
支持療法とは、がんそのものに対する治療ではなく、がんやがん治療に伴う症状や副作用を予防・軽減し、患者さんの生活の質(QOL)を維持・向上させるための治療全般を指します。
胃がんの抗がん剤治療においては、この支持療法が非常に重要です。
- 制吐剤:吐き気・嘔吐の予防や治療。
- G-CSF製剤:白血球減少(特に好中球減少)時に、白血球の回復を促し、感染症のリスクを低減。
- 止痢剤・緩下剤:下痢や便秘の症状を和らげる。
- 口腔ケア用品・薬剤:口内炎の予防や治療。
- 痛み止め:痛みがある場合に使用。
- 栄養管理:管理栄養士による食事指導や、経口・経管・静脈栄養による栄養補給。
- 精神的なケア:不安や抑うつに対するカウンセリングや薬剤。
- リハビリテーション:体力低下や身体機能の維持・改善。
これらの支持療法は、主治医だけでなく、看護師、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなど、多職種の医療チームが連携して提供します。
患者さん自身も、自分の症状や困っていることを積極的に医療スタッフに伝えることで、より効果的な支持療法を受けることができます。
副作用は個人差が大きく、予測できないこともあります。
しかし、現在の医療では多くの副作用に対して有効な対策が用意されています。
副作用を一人で抱え込まず、積極的に医療スタッフとコミュニケーションを取り、共に乗り越えていくことが、治療を継続し、より良い結果を得るための鍵となります。
詳細な情報については、国立がん研究センターがん情報サービスの「化学療法を受ける方へ」のページも参考にしてください。
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胃がんの抗がん剤治療にかかる費用
胃がんの抗がん剤治療は、患者さんの病状や使用する薬剤の種類、治療期間によって費用が大きく変動します。
一般的に、抗がん剤治療は高額になる傾向がありますが、日本には医療費の負担を軽減するための公的制度が整備されています。
これらの制度を理解し、適切に活用することで、経済的な不安を軽減しながら治療に専念することが可能です。
抗がん剤治療の費用目安
胃がんの抗がん剤治療にかかる費用は、使用される抗がん剤の種類(細胞障害性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)、投与方法(点滴、内服)、治療期間、入院・外来の別、併用する薬剤や検査などによって大きく異なります。
例えば、比較的新しい分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は、薬剤費が高額になる傾向があります。
これらの薬剤は1ヶ月あたり数十万円から100万円を超える薬剤費がかかることも珍しくありません。
しかし、健康保険が適用されるため、患者さんの自己負担割合は通常3割となります。
これはあくまで目安であり、個々の治療計画によって変動することを理解しておくことが重要です。
| 治療の種類 | 1ヶ月あたりの総医療費目安(保険適用前) | 備考 |
|---|---|---|
| 細胞障害性抗がん剤 (単剤または併用) | 約20万円~50万円 | 比較的使用頻度が高く、幅広いがん種に適用されます。 |
| 分子標的薬 (単剤または併用) | 約50万円~100万円以上 | 特定の分子を標的とするため、効果が高い反面、高価な薬剤が多いです。 |
| 免疫チェックポイント阻害薬 (単剤または併用) | 約50万円~100万円以上 | 免疫の力を利用する新しいタイプの治療薬で、非常に高価な場合があります。 |
| 経口抗がん剤 | 約10万円~30万円 | 内服薬のため、通院回数が減る場合がありますが、薬剤費は高額なものもあります。 |
上記の費用は保険適用前の総医療費であり、実際に患者さんが医療機関の窓口で支払う金額は、原則としてこの総医療費の3割となります。
しかし、それでも高額になる場合があるため、次に説明する医療費助成制度の活用が不可欠です。
医療費の負担を軽減する制度
高額な抗がん剤治療費の負担を軽減するためには、公的な医療費助成制度を積極的に利用することが重要です。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が、1ヶ月(月の初めから終わりまで)で自己負担限度額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
自己負担限度額は、年齢や所得によって定められています。
この制度を利用することで、月々の医療費の自己負担額が一定の上限額に抑えられます。
特に、高額な抗がん剤治療を受ける際には、この制度が大きな助けとなります。
自己負担限度額は、加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、市町村国保など)や、所得区分によって異なります。
例えば、70歳未満の方の一般的な所得区分における自己負担限度額の目安は以下の通りです。
| 所得区分 | 自己負担限度額(70歳未満) | 備考 |
|---|---|---|
| 標準報酬月額28万円~50万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 多数回該当(直近12ヶ月で3回以上限度額を超えた場合)は44,400円 |
| 標準報酬月額26万円以下 | 57,600円 | 多数回該当は44,400円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 | 多数回該当は24,600円 |
この制度を利用するには、加入している医療保険に申請が必要です。
また、事前に「限度額適用認定証」を申請し、医療機関の窓口に提示することで、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。
これにより、一時的な高額な支払いを避けることが可能です。
詳細については、厚生労働省のウェブサイト 高額療養費制度について をご参照ください。
医療費控除
医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告を行うことで所得控除を受けられる制度です。
所得控除を受けることで、所得税や住民税の負担が軽減されます。
医療費控除の対象となる医療費には、患者さん本人の医療費だけでなく、生計を共にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も合算できます。
抗がん剤治療費はもちろんのこと、通院のための交通費(公共交通機関の利用に限る)、入院費用、医師の指示による医薬品の購入費なども対象となります。
医療費控除額 = (実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補填された金額) - 10万円(※)
※総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額
この制度を利用するためには、毎年2月16日から3月15日までの確定申告期間に、税務署へ必要書類を添付して申告する必要があります。
医療費の領収書や、保険金などで補填された金額がわかる書類などを保管しておくことが重要です。
詳細については、国税庁のウェブサイト No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) をご参照ください。
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胃がんの抗がん剤治療に関するよくある質問
抗がん剤治療の期間はどのくらいですか
胃がんの抗がん剤治療の期間は、治療の目的、胃がんの進行度(ステージ)、使用する抗がん剤の種類(レジメン)、患者さんの全身状態、そして治療効果や副作用の状況によって大きく異なります。
- 術前補助化学療法(手術前にがんを小さくする目的)
通常、数週間から数ヶ月間行われます。
例えば、フッ化ピリミジン系薬とプラチナ製剤の併用療法などが数サイクル行われることが多いです。 - 術後補助化学療法(手術後の再発予防目的)
一般的に、半年から1年間程度継続されることが多いです。
手術で取りきれたように見えても、目に見えないがん細胞が残っている可能性を減らすために行われます。
TS-1単独療法などがよく用いられます。 - 切除不能・再発胃がんに対する治療(病気の進行を抑え、症状を和らげる目的)
この場合は、治療効果が持続し、かつ副作用が許容できる限り治療が継続されます。
数ヶ月から数年間にわたることも珍しくありません。
病状の変化や薬剤への耐性獲得に応じて、使用する抗がん剤の種類が変更されることがあります。
治療期間中は、定期的に効果判定のための検査(CT検査など)や副作用の評価が行われ、その結果に基づいて治療計画が見直されます。
治療開始前に、主治医からご自身の治療計画と期間について詳しく説明を受けることが重要です。
治療中の食事や生活で気をつけることはありますか
抗がん剤治療中は、副作用によって体調が変化しやすいため、食事や日常生活においていくつかの注意が必要です。
これらの対策は、治療を安全に継続し、生活の質(QOL)を維持するために非常に重要です。
食事に関する注意点
抗がん剤治療による主な副作用として、吐き気、食欲不振、味覚障害、口内炎、下痢、便秘などがあります。
- 吐き気・嘔吐がある場合
- 少量ずつ、回数を分けて食事を摂りましょう。
- 消化の良いもの、匂いの少ないもの(例:お粥、うどん、ゼリー、フルーツ)を選びましょう。
- 冷たい食事や飲み物は、匂いが気になりにくく、口当たりが良いことがあります。
- 無理に食べず、食べられるものを優先しましょう。
- 食欲不振・味覚障害がある場合
- 調理法や味付けを工夫し、食欲を刺激しましょう(例:酸味や香辛料を少量使う、だしの味を活かす)。
- 見た目を良くしたり、好きなものを食べたりするのも良いでしょう。
- 栄養補助食品(高カロリー飲料など)を活用するのも一つの方法です。
- 口内炎がある場合
- 刺激の少ない、やわらかいもの(例:プリン、ヨーグルト、豆腐、スープ)を選びましょう。
- 熱すぎるものや冷たすぎるものは避け、人肌程度の温度のものを摂りましょう。
- 口腔ケアを徹底し、清潔に保つことが重要です。
- 下痢・便秘がある場合
- 下痢の場合
水分補給をこまめに行い、脱水を防ぎましょう。食物繊維が多いものや刺激物は避け、消化の良いものを摂りましょう。 - 便秘の場合
水分を十分に摂り、適度な運動を心がけましょう。食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、きのこ類など)を積極的に摂ることも有効ですが、下痢とのバランスも考慮が必要です。
- 下痢の場合
- 免疫力低下時の注意
- 白血球減少などにより免疫力が低下している期間は、感染症のリスクが高まります。生もの(刺身、生卵、生野菜など)や加熱が不十分な食品は避け、十分に加熱調理されたものを摂るようにしましょう。
- 手洗いを徹底し、調理器具の清潔を保つことも重要です。
生活に関する注意点
無理のない範囲で、体調を優先した生活を心がけましょう。
- 感染予防
- 手洗い、うがいをこまめに行いましょう。
- 人混みは避け、マスクを着用しましょう。
- 発熱や体調の変化があった場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
- 休息と睡眠
- 倦怠感を感じやすいので、十分な休息と睡眠を確保しましょう。
- 無理をせず、疲れたら横になるなど、体を休める時間を意識的に作りましょう。
- 口腔ケア
- 口内炎や感染予防のため、毎日の丁寧な口腔ケアが非常に重要です。やわらかい歯ブラシを使い、刺激の少ない洗口液を利用しましょう。
- 皮膚・爪のケア
- 手足症候群や皮膚の乾燥、色素沈着などの副作用が現れることがあります。保湿剤を使用し、刺激の少ない衣類を選びましょう。爪のケアも大切です。
- 適度な運動
- 体調が良い日には、散歩など軽い運動を取り入れることで、気分転換や体力維持に繋がります。ただし、必ず主治医や看護師と相談の上、無理のない範囲で行いましょう。
- 精神的なサポート
- 不安やストレスを感じやすい時期です。家族や友人、医療スタッフ、がん相談支援センターなどに相談し、気持ちを共有することも大切です。
- セクシュアリティ・妊孕性
- 抗がん剤治療は、性機能や生殖機能に影響を与える可能性があります。将来的に子どもを望む場合は、治療開始前に医師に相談し、妊孕性温存の選択肢について検討することが重要です。
抗がん剤が効かなくなった場合はどうなりますか
抗がん剤治療を続けていると、最初は効果が見られても、次第にがん細胞が薬剤に慣れてしまい、効果が薄れてしまうことがあります。
これを「薬剤耐性」と呼びます。抗がん剤が効かなくなった場合でも、治療の選択肢がなくなるわけではありません。
- 治療方針の変更(セカンドライン、サードライン治療)
- 最初に用いた抗がん剤(ファーストライン治療)が効かなくなった場合、別の種類の抗がん剤や異なる作用機序を持つ薬剤(セカンドライン治療、サードライン治療など)への変更が検討されます。
胃がんでは、フッ化ピリミジン系薬、プラチナ製剤、タキサン系薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など、複数の薬剤が使用可能であり、これらを組み合わせて治療が行われます。 - 患者さんの全身状態や副作用の状況、がんの遺伝子検査の結果などを考慮して、最適なレジメンが選択されます。
- 最初に用いた抗がん剤(ファーストライン治療)が効かなくなった場合、別の種類の抗がん剤や異なる作用機序を持つ薬剤(セカンドライン治療、サードライン治療など)への変更が検討されます。
- 分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の検討
- 胃がんのサブタイプによっては、特定の分子標的薬(例:HER2陽性胃がんに対するトラスツズマブ、血管新生阻害薬のラムシルマブなど)や免疫チェックポイント阻害薬(例:ニボルマブ、ペムブロリズマブなど)が効果を示すことがあります。
これらの薬剤は、がん細胞の特定の働きをピンポイントで阻害したり、免疫細胞ががんを攻撃する力を高めたりすることで作用します。 - 特に、免疫チェックポイント阻害薬は、これまでの抗がん剤とは異なる作用機序を持つため、従来の抗がん剤が効かなくなった場合でも効果が期待されることがあります。
- 胃がんのサブタイプによっては、特定の分子標的薬(例:HER2陽性胃がんに対するトラスツズマブ、血管新生阻害薬のラムシルマブなど)や免疫チェックポイント阻害薬(例:ニボルマブ、ペムブロリズマブなど)が効果を示すことがあります。
- 臨床試験への参加
- まだ承認されていない新しい治療法や薬剤の効果・安全性を評価するための臨床試験に参加するという選択肢もあります。
新しい治療法を試す機会となり得ますが、試験の目的やリスク・ベネフィットについて十分に理解し、納得した上で参加を検討することが重要です。
- まだ承認されていない新しい治療法や薬剤の効果・安全性を評価するための臨床試験に参加するという選択肢もあります。
- 緩和ケアの導入・強化
- 治療効果が期待できなくなった場合や、治療による負担が大きいと判断された場合には、痛みのコントロール、吐き気、倦怠感などの症状を和らげ、生活の質を向上させるための緩和ケアが治療の中心となります。
緩和ケアは、病気の診断時から並行して行われることも多く、決して治療を諦めることではありません。
- 治療効果が期待できなくなった場合や、治療による負担が大きいと判断された場合には、痛みのコントロール、吐き気、倦怠感などの症状を和らげ、生活の質を向上させるための緩和ケアが治療の中心となります。
- セカンドオピニオンの活用
- 現在の治療方針に疑問や不安がある場合は、他の医療機関の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用することも有効です。
複数の専門医の意見を聞くことで、より納得のいく治療選択に繋がる可能性があります。
- 現在の治療方針に疑問や不安がある場合は、他の医療機関の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用することも有効です。
抗がん剤が効かなくなった場合でも、患者さんの状態やがんの特性に合わせて、様々な治療選択肢が残されていることを理解し、主治医とよく相談しながら、ご自身にとって最適な治療方針を決定していくことが大切です。

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まとめ
胃がんの抗がん剤治療は、その目的や病状のステージに応じて、細胞障害性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など、多岐にわたる薬剤が選択されます。
吐き気や倦怠感、脱毛といった副作用は避けられませんが、適切な支持療法によって症状を和らげることが可能です。
また、高額療養費制度や医療費控除といった公的支援を活用することで、経済的な負担を軽減できます。
胃がんの抗がん剤治療を理解し、専門医と密に連携しながら、ご自身に最適な治療法を選択していくことが重要です。



