1. はじめに
JCFPの理念と本記事の目的
日本対がんファイナンシャル・プランナーズ協会(JCFP)は、「告知よりも先に、安心を設計する」という理念のもと活動しています 。この理念は、がんという病が誰にとっても他人事ではない現代において、経済的な不安を事前に取り除き、万が一の際にも安心して治療に専念できる環境を整えることの重要性を示しています。本記事は、会員である保険募集人およびファイナンシャル・プランナー(FP)の皆様が、日々進化するがん治療とその経済的側面に的確に対応し、より専門性の高い情報提供ができるようになることを目的としています。
がん治療の進歩、特にゲノム医療の発展は目覚ましく、これまで治療が困難であったがんに対しても新たな希望をもたらしています。しかし、これらの先進的な治療は、同時に高額な費用負担という新たな経済的課題を生み出しています。従来の医療費の想定を超える負担に直面する可能性が高まる中で、私たちCancer FPが果たすべき役割はますます大きくなっています。JCFPの理念が示すように、診断が下される前から将来起こりうる様々な事態を想定し、経済的な安心を設計していくこと、これこそが複雑化する現代の医療環境においてCancer FPに求められる専門性と言えるでしょう。本記事が、その一助となることを願っています。
がん治療の進歩と新たな経済的課題
近年のがん治療は、個別化医療(プレシジョン・メディシン)という新たな潮流の中にあります。これは、個々の患者さんのがん細胞の遺伝子情報などを詳細に解析し、その特性に合わせて最適と考えられる治療法を選択するアプローチです。この進歩は、多くの患者さんにとって大きな希望となる一方で、保険適用外の治療や薬剤、いわゆる「適応外薬」などの使用機会が増加する傾向も指摘されています。
