胃がんの放射線治療とは?知っておきたい治療の流れ・効果・副作用のすべて

胃がん 放射線治療

胃がんの治療で放射線治療を検討しているものの、効果や副作用、費用について詳しく知りたいとお考えではありませんか。

この記事では、胃がん治療における放射線治療の位置づけから、具体的な治療の流れ、期待できる効果、そして気になる副作用とその対策、保険適用や高額療養費制度を含めた費用までを網羅的に解説します。

胃がんの放射線治療は、主に手術が難しい高齢の方や、出血・痛みといった症状の緩和を目的とする場合に重要な選択肢となります。

本記事を最後まで読めば、放射線治療の全体像を正しく理解し、納得して治療に臨むための知識を得ることができます。

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目次

胃がんにおける放射線治療の役割と目的

胃がんの治療は、内視鏡治療、手術、薬物療法(化学療法)が中心となります。

放射線治療は、これらのがん治療と異なり、胃がん治療の第一選択となることは多くありません。

しかし、特定の状況下においては、症状の緩和や、他の治療法との組み合わせによって、患者さんのQOL(生活の質)を維持・向上させるために重要な役割を果たします。

胃がんの標準治療と放射線治療の位置づけ

胃がんの治療方針は、がんの進行度(ステージ)や全身の状態などを総合的に考慮して決定されます。

日本胃癌学会が定める「胃癌治療ガイドライン」では、手術によるがんの切除が最も基本的な治療法とされています。

進行度に応じて、手術の前後に薬物療法(化学療法)を追加することもあります。

これらが胃がんの「標準治療」です。

一方で、放射線治療は現在のところ、胃がんに対する標準治療としては確立されていません。

これは、胃が放射線の影響を受けやすい周囲の臓器に囲まれていることや、呼吸や食事によって胃が動くため、正確な照射が難しいことなどが理由として挙げられます。

しかし、技術の進歩により、特定の目的においては有効な治療選択肢の一つと見なされています。

治療法主な目的位置づけ
手術(内視鏡治療・外科手術)がんの根治(完全に取り除くこと)標準治療
薬物療法(化学療法)がんの進行抑制、再発予防、手術の補助標準治療
放射線治療症状の緩和、特定の場合の根治、再発抑制補助的な治療、緩和ケア

放射線治療が選択される主なケース

放射線治療は、主に「根治を目指す治療」と「症状を和らげる緩和的治療」の2つの目的で行われます。

胃がんにおいては、特に後者の緩和的治療として選択されることが多いのが特徴です。

手術が難しい高齢者や合併症のある方

ご高齢であったり、心臓や肺などに重い合併症があったりすることで、体への負担が大きい手術が困難な場合があります。

このような場合に、がんを治すことを目的とした治療の選択肢として、あるいは出血や痛みといった症状をコントロールする目的で放射線治療が検討されることがあります。

出血や痛みなど症状緩和が目的の場合

進行した胃がんによって、腫瘍からの出血、骨への転移による強い痛み、腫瘍が大きくなることによる食事の通過障害といった、つらい症状が現れることがあります。

放射線治療(緩和的照射)は、これらの症状を和らげる効果が期待でき、患者さんのQOL(生活の質)を維持するために極めて重要な役割を担います。

特に、胃がんからの出血に対する放射線治療の有効性については、近年注目されています。

化学療法と組み合わせる化学放射線療法とは

化学放射線療法とは、その名の通り、化学療法(抗がん剤)と放射線治療を同時に行う治療法です。

抗がん剤には、放射線治療の効果を高める「放射線増感作用」を持つものがあり、この作用を利用して治療効果の向上を目指します。

切除が難しい進行胃がんや、手術後の再発がんなどに対して行われることがあります。

ただし、効果が高まる可能性がある一方で、副作用が強くなることもあるため、患者さんの状態を慎重に評価した上で適応が判断されます。

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胃がんの放射線治療 具体的な流れをステップで解説

胃がんの放射線治療は、どのような流れで進められるのでしょうか。

ここでは、初回の診察から治療後の経過観察まで、具体的な流れを5つのステップに分けて詳しく解説します。

全体の流れを把握することで、安心して治療に臨むことができます。

ステップ1 診察と治療方針の決定

まず、放射線腫瘍医による診察が行われます。

これまでの検査結果や画像診断、患者さんご自身の全身状態、年齢、合併症の有無などを総合的に評価し、放射線治療が最も適切かどうかを判断します。

治療の目的(根治を目指すのか、症状の緩和かなど)や期待される効果、起こりうる副作用、治療期間などについて詳しい説明を受け、十分に納得した上で治療方針を決定します(インフォームド・コンセント)。

不安な点や疑問があれば、この段階で遠慮なく質問することが大切です。

ステップ2 治療計画のためのCTシミュレーション

治療方針が決定したら、次に放射線を正確に照射するための治療計画を作成します。

この準備作業を「CTシミュレーション」と呼びます。 実際に治療を受けるときと同じ姿勢でCT撮影を行い、がんの正確な位置、大きさ、形を3次元的に把握します。

周囲にある正常な臓器(腎臓、肝臓、脊髄など)への影響を最小限に抑えつつ、がんに放射線を集中させるための最適な照射範囲、方向、線量などを、放射線腫瘍医や医学物理士、診療放射線技師が連携して緻密に計画します。

毎回同じ体勢を保てるように、必要に応じて体専用の固定具を作成することもあります。

また、正確な位置合わせのため、体に消えにくいインクで印(マーキング)を付けます。

ステップ3 放射線の照射開始

治療計画が完成すると、いよいよ放射線の照射が始まります。

治療室に入り、CTシミュレーションの時と同じ姿勢をとります。

皮膚に付けた印をもとに、診療放射線技師が正確に位置を合わせ、リニアックなどの治療装置を用いて計画通りに放射線を照射します。

1回の治療にかかる時間は10分から15分程度で、実際に放射線が当たっている時間は数分です。

照射中に痛みや熱さを感じることはありません。

治療期間や回数は、目的や症状によって異なりますが、一般的な例を以下に示します。

目的治療期間の目安照射回数の目安
症状緩和(出血、痛みなど)1〜2週間5〜10回
根治・術後補助療法5〜6週間25〜30回

通常、治療は土日祝日を除き、週5日、毎日1回行われます。 通院での治療が基本ですが、患者さんの状態によっては入院が必要な場合もあります。

ステップ4 治療期間中の診察

放射線治療の期間中は、週に1回以上の頻度で放射線腫瘍医による定期的な診察が行われます。

この診察では、治療効果の確認だけでなく、副作用の有無や程度をチェックします。

吐き気や食欲不振、倦怠感などの症状が出ていないかを確認し、必要に応じて症状を和らげるための薬を処方するなど、適切なサポートを行います。

治療中の不安や体調の変化について、医師や看護師、診療放射線技師に気兼ねなく相談できる体制が整えられています。

ステップ5 治療後の経過観察

計画されたすべての放射線照射が終了した後も、治療は終わりではありません。

治療効果を判定し、副作用(特に数ヶ月〜数年後に現れる可能性のある晩期有害事象)の有無を確認するために、定期的な経過観察が非常に重要です。

血液検査やCT検査、内視鏡検査などを定期的に行い、がんの状態や体調の変化を長期的にフォローアップしていきます。

診察の頻度は患者さんの状態によって異なりますが、治療後も責任をもって見守り続けます。

胃がん放射線治療に期待される効果

胃がんの放射線治療に期待される効果は、治療の目的によって大きく二つに分けられます。

一つは、がんによる様々な症状を和らげる「緩和的照射」、もう一つは、がんを治すことを目指す「根治的照射」です。

それぞれの目的と期待される効果について解説します。

症状を和らげる緩和的照射の効果

緩和的照射は、がんが進行することによって生じる痛み、出血、食事の通り道が狭くなること(狭窄)といった、つらい症状を和らげることを目的として行われます。

これにより、患者さんの生活の質(QOL)を維持・向上させることが期待できます。

放射線治療を行うことで、がん細胞を減少させ、症状の軽減を図ります。

特に、胃がんからの出血に対する放射線治療の止血効果は、多くの研究で評価されています。

日本放射線腫瘍学研究機構(JROSG)が行った研究では、出血を伴う胃がん患者への放射線治療が止血に有効であることが示唆されています。

胃癌治療ガイドラインにおいても、全身状態などを考慮した上で、止血を目的とした放射線治療が推奨されるようになりました。

緩和照射によって軽減が期待できる主な症状を以下に示します。

対象となる症状期待される効果
がんからの出血(吐血・下血)腫瘍からの出血を抑制し、貧血の進行を防ぐ止血効果。
がんによる痛み腫瘍が小さくなることで、周囲の神経への圧迫などが軽減され、痛みが和らぐ効果。
腫瘍による狭窄食べ物の通り道が腫瘍で狭くなっている場合に、腫瘍を小さくして食事の通過を改善する効果。
骨転移による痛み転移した骨の病変に照射することで、痛みを大幅に軽減する効果。

これらの症状緩和により、患者さんの身体的な負担が軽減され、より良い日常生活を送れるようになることが大きな目標です。

根治を目指す場合の治療効果

胃がんの治療は手術が基本ですが、高齢であったり、他の合併症があったりして手術が難しい場合や、進行していて手術だけでは取りきれない場合に、根治を目指して放射線治療が選択されることがあります。

この場合、多くは抗がん剤と放射線治療を組み合わせる「化学放射線療法」として行われます。

化学放射線療法は、放射線の効果を高める抗がん剤を併用することで、がん細胞をより効果的に攻撃し、根治を目指す治療法です。

手術ができない局所進行胃がんなどが主な対象となります。

治療効果は、がんの進行度や患者さんの状態によって異なりますが、化学放射線療法によってがんが縮小、あるいは消失する効果が報告されています。

また、手術後の再発予防として、補助的に化学放射線療法が行われることもあります。

ある研究では、特定の条件を満たす患者さんにおいて、術後の化学放射線療法が生存率の向上に寄与したことが報告されています。

ただし、胃がんは放射線が効きにくい性質を持つ場合があるため、治療方針は個々の状況を総合的に判断して慎重に決定されます。

ご自身の状況でどのような効果が期待できるか、どのような治療法が最適かについては、担当の医師と十分に話し合うことが重要です。

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知っておべき放射線治療の副作用と対策

胃がんの放射線治療は、がん細胞を攻撃する効果的な治療法ですが、同時に周辺の正常な細胞にも影響を与え、副作用(有害事象)が起こることがあります。

副作用は、治療中や治療後すぐに現れる「急性期」のものと、治療が終わって数ヶ月から数年経ってから現れる「晩期」のものに分けられます。

副作用の現れ方や程度には個人差がありますが、多くの症状は予防策や対処法によって和らげることが可能です。

不安な点があれば、一人で抱え込まずに医師や看護師に相談することが大切です。

治療中に起こりやすい副作用(急性期)

急性期の副作用は、治療を開始して数週間以内に現れることが多く、治療が終了すれば次第に回復していくのが一般的です。

主に、放射線が照射された胃やその周辺の臓器が影響を受けることで生じます。

吐き気や食欲不振とその対策

胃に放射線が照射されることで、吐き気やむかつき、食欲不振といった症状が現れることがあります。

これらは「放射線宿酔」とも呼ばれ、治療開始後の早い段階で見られることがありますが、多くは10日前後で落ち着いてきます。

症状が強い場合は、吐き気止めの薬が処方されることもあります。

食事については、無理に食べる必要はありませんが、体力を維持するためにも工夫が必要です。

以下の対策を参考に、食べやすい方法を見つけてみましょう。

対策のポイント具体的な工夫の例
食事のとり方1回の食事量を減らし、食事の回数を増やす(少量頻回食)。
気分が良い時に食べるようにする。
食事の内容おかゆ、うどん、スープ、茶碗蒸しなど、消化が良く、胃への負担が少ないものを選ぶ。
温度や匂い熱いものは冷ましてから食べる。
匂いの強い食品を避ける。
その他栄養補助食品をうまく活用する。
食後はすぐに横にならず、上半身を起こして休む。

倦怠感やだるさへの対処法

倦怠感は、がん治療中に多くの人が経験する症状です。

治療によって体がエネルギーを消費したり、ダメージを受けた細胞を修復したりするために起こると考えられています。

症状のパターンを把握し、日常生活の中で上手に付き合っていくことが大切です。

倦怠感を軽減するためには、活動と休息のバランスを意識することが重要です。

疲れを感じたら無理をせず、短い昼寝をとるなどして体を休めましょう。

ただし、長時間の昼寝はかえって夜の睡眠を妨げ、だるさを増してしまう可能性もあるため注意が必要です。

また、体調が許す範囲で散歩などの軽い運動を取り入れることも、倦怠感の改善に繋がることがあります。

ご自身の状態に合わせて、無理のない範囲で生活リズムを整えていきましょう。

治療終了後に現れる可能性のある副作用(晩期)

晩期副作用は、治療が終了してから数ヶ月から数年後に起こる可能性のある症状です。

頻度は高くありませんが、胃やその周辺にある腎臓、肝臓、脊髄などに放射線の影響が及ぶことで、様々な症状が引き起こされるリスクがあります。

定期的な経過観察を通じて、早期発見・早期対応に努めることが重要です。

考えられる主な晩期副作用には、以下のようなものがあります。

対象臓器主な晩期副作用考えられる症状
胃・十二指腸潰瘍、出血、穿孔(穴が開く)、狭窄腹痛、吐血、下血(黒い便)、食事のつかえ
腎臓腎機能障害むくみ、血圧の上昇、貧血
肝臓肝機能障害倦怠感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
脊髄放射線脊髄症手足のしびれ、感覚の麻痺、運動障害

これらの晩期副作用が起こるリスクは、照射された放射線の総量や範囲、個人の体質などによって異なります。

現代の放射線治療では、周囲の正常な臓器への影響を最小限に抑えるための技術(強度変調放射線治療(IMRT)など)が進歩しており、重篤な副作用の発生頻度は低減しています。

治療後に気になる症状が現れた場合は、速やかに担当医に相談してください。

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胃がんの放射線治療にかかる費用について

胃がんの放射線治療を検討する上で、治療にどれくらいの費用がかかるのかは重要な関心事です。

治療費は、保険が適用されるかどうか、またどのような治療法を選択するかによって大きく異なります。

ここでは、保険適用の治療、高額療養費制度、そして先進医療にかかる費用について具体的に解説します。

保険適用される治療の費用目安

胃がんに対する放射線治療の多くは、公的医療保険が適用されます。

一般的な外部照射(X線治療)の場合、治療費は照射回数や技術によって変動します。

あくまで目安ですが、治療にかかる費用の総額と自己負担額は以下のようになります。

治療内容保険適用前の総医療費(目安)自己負担額(3割負担の場合)自己負担額(1割負担の場合)
外部照射(25回程度)約100万円~150万円約30万円~45万円約10万円~15万円

※上記の金額は治療費のみの概算です。
実際には、診察費、検査費、入院費などが別途必要になる場合があります。

高額療養費制度の活用方法

保険適用の治療であっても、自己負担額が高額になることがあります。

その際に医療費の負担を軽減できるのが「高額療養費制度」です。

この制度は、1ヶ月(同月内)の医療費の自己負担額が所得や年齢に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻される仕組みです。

例えば、年収約370~770万円の70歳未満の方の場合、自己負担限度額は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」となります。

事前にご加入の公的医療保険(健康保険組合や市区町村の国民健康保険窓口など)に「限度額適用認定証」を申請し、医療機関の窓口で提示することで、支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。

制度の詳しい内容や申請方法については、ご加入の公的医療保険の窓口にご確認ください。

先進医療となる放射線治療とその費用

胃がんの治療では、公的医療保険が適用されない「先進医療」に分類される放射線治療が選択肢となる場合があります。

代表的なものに「陽子線治療」や「重粒子線治療」があります。

これらの治療は、がん細胞にピンポイントで放射線を照射できるため、周囲の正常な組織へのダメージを抑えられるというメリットがあります。

ただし、先進医療の技術料は全額自己負担となり、約300万円前後と高額です。

この費用に加えて、診察や検査、入院費など保険が適用される部分の自己負担も別途必要になります。

高額な先進医療費に備えるため、民間の医療保険には「先進医療特約」が付加できるものがあります。

この特約に加入していると、先進医療にかかる技術料と同額の給付金を受け取れる場合があります。

ご自身の治療で先進医療を検討する場合や、費用に関してご不安な点がある場合は、まずは病院の相談窓口や、ご加入の保険会社に問い合わせてみましょう。

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まとめ

胃がんの放射線治療は、手術が困難な方や症状緩和を目的とする場合に重要な選択肢となります。

治療は精密な計画のもとで行われますが、吐き気などの副作用が起こる可能性もあり、それぞれ対策が存在します。

根治を目指す場合や症状を和らげる場合など、目的によって期待される効果は異なります。

費用面では高額療養費制度も活用できます。

放射線治療を正しく理解し、ご自身の状況に合わせて最適な治療法を選択するために、まずは専門の医師へ相談することが大切です。

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