その最大の目的は、病気の早期発見と早期治療につなげることにあります。
この記事では、スクリーニング検査の基本的な意味や確定診断との違いはもちろん、がん検診(胃がん・大腸がん・乳がん等)や出生前診断(NIPT)、新生児マススクリーニング、生活習慣病の特定健診まで、代表的な検査の種類・目的・費用を一覧でわかりやすく解説します。
さらに、メリットだけでなく「偽陽性」などのデメリット、遺伝子検査との違いまで網羅的に説明するため、この記事を読めば、あなたやご家族にとってどの検査がなぜ必要なのかを正しく理解し、安心して検査に臨むための知識が身につきます。
スクリーニング検査とは
多くの人が受ける健康診断やがん検診などがこれにあたり、病気を早期に発見し、適切な治療へとつなげることを主な目的としています。
スクリーニング検査の目的は早期発見と早期治療
スクリーニング検査の最大の目的は、病気の自覚症状がない段階でその芽を早期に発見し、早期治療を開始することにあります。
また、病気の重症化を防ぎ、健康な生活を長く維持することにも繋がります。
確定診断との明確な違い
スクリーニング検査は、あくまで病気の「可能性」を見つけるためのものであり、それだけで病名を特定する「確定診断」とは異なります。
両者の違いを正しく理解しておくことが重要です。
| 項目 | スクリーニング検査 | 確定診断 |
|---|---|---|
| 目的 | 病気の疑いがある人を見つける(ふるい分け) | 病名を特定する |
| 対象 | 症状のない特定の集団 | 症状がある人や、スクリーニング検査で陽性の人 |
| 検査方法 | 比較的簡単で、身体への負担が少ない検査(例:問診、血液検査、尿検査、X線検査など) | 精密な検査(例:内視鏡検査、生検、CT検査など) |
| 結果の解釈 | 病気の可能性の有無を示すもので、病気を断定するものではない | 病気の有無を最終的に判断する |
このように、スクリーニング検査は効率的に病気のリスクがある人を発見するための入り口であり、その後の確定診断を経て適切な治療へと進んでいきます。
もし検査で「要精密検査」の通知を受け取った際は、必ず専門の医療機関を受診するようにしましょう。
代表的なスクリーニング検査一覧
スクリーニング検査には、対象となる疾患や年代、性別によってさまざまな種類が存在します。

がん検診の種類と費用
がんの早期発見を目的として、国が推奨する5つのがん検診があります。
これらは「対策型検診」とも呼ばれ、お住まいの市区町村が主体となって実施しており、費用の一部または全額が公費で負担されるため、比較的安価に受けることが可能です。
以下に、国が推奨する代表的ながん検診の概要をまとめました。
対象年齢や受診間隔は、厚生労働省の指針に基づいています。
| がん検診の種類 | 対象年齢・性別・受診間隔 | 主な検査内容 | 費用の目安(自己負担額) |
|---|---|---|---|
| 胃がん検診 | 50歳以上の男女(2年に1回) | 問診に加え、胃部X線検査(バリウム検査) または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれかを選択 | 無料~数千円程度 |
| 大腸がん検診 | 40歳以上の男女(年1回) | 問診、便潜血検査(2日法) | 無料~1,000円程度 |
| 肺がん検診 | 40歳以上の男女(年1回) | 問診、胸部X線検査。 50歳以上で喫煙指数が高いなど一定の条件を満たす場合は喀痰細胞診を追加 | 無料~2,000円程度 |
| 乳がん検診 | 40歳以上の女性(2年に1回) | 問診、乳房X線検査(マンモグラフィ) | 無料~数千円程度 |
| 子宮頸がん検診 | 20歳以上の女性(2年に1回) | 問診、視診、内診、子宮頸部の細胞診 | 無料~数千円程度 |
※費用は実施する市区町村や個人の状況によって異なります。
詳しくは、お住まいの自治体の窓口にご確認ください。
出生前診断におけるスクリーニング検査 NIPTなど
妊娠中に胎児の染色体異数性(ダウン症候群など)の可能性を調べるためのスクリーニング検査が出生前診断です。
これらは非確定的検査と呼ばれ、診断を確定するものではありません。
代表的な検査にNIPT(新型出生前診断)があり、妊婦さんの血液を採取するだけで検査が可能です。
これらの検査は健康保険の適用外であり、費用は全額自己負担となります。 費用相場は医療機関によって異なりますが、おおよそ10万円から20万円程度です。
新生児マススクリーニング検査
対象は生後4~6日の全ての赤ちゃんで、かかとからごく少量の血液を採取して行われます。
この検査により、症状が現れる前に病気を見つけ、適切な治療や生活指導を開始することが可能になります。
検査費用は日本全国で公費により行われており、原則として自己負担はありません。
生活習慣病に関するスクリーニング検査
生活習慣病の予防と早期発見を目的とした代表的なスクリーニング検査が、特定健康診査(特定健診・メタボ健診)です。
検査項目には、問診、身体計測(身長、体重、腹囲)、血圧測定、血液検査、尿検査などが含まれます。
特定健診の結果、生活習慣の改善が必要と判断された場合は、専門家による特定保健指導を受けることができます。
スクリーニング検査と遺伝子検査の違い
スクリーニング検査と遺伝子検査は、どちらも病気の発見やリスク評価に役立つものですが、その目的や対象となる人が明確に異なります。
それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身にとって必要な検査を選択することが大切です。
検査の目的が異なる
両者の最も大きな違いは、検査の「目的」にあります。
| 検査の種類 | 主な目的 | わかることの例 |
|---|---|---|
| スクリーニング検査 | 症状のない集団の中から 特定の病気の「可能性が高い人」をふるいわける(早期発見・早期治療)。 | がんや生活習慣病の疑い 新生児の先天性代謝異常症の可能性 出生前診断における染色体異数性の可能性(NIPTなど)。 |
| 遺伝子検査 | 個人の遺伝情報(DNA)を調べ、病気の原因や遺伝的リスク 体質などを明らかにすること。 | 遺伝性疾患の原因遺伝子の有無 特定のがんへのかかりやすさ(遺伝的素因) 薬の効果や副作用の予測。 |
一方、遺伝子検査は、その結果が病気の確定診断に直結することもあります。
対象となる人が異なる
検査の目的が違うため、おのずと対象となる人も異なります。
スクリーニング検査は広く多くの人々を対象とするのに対し、遺伝子検査はより個人的な状況や必要性に応じて行われるのが一般的です。
| 検査の種類 | 主な対象者 |
|---|---|
| スクリーニング検査 | 特定の年齢や性別など、一定の条件に当てはまる症状のない集団(例:市区町村が実施するがん検診の対象者、すべての新生児)。 |
| 遺伝子検査 | 遺伝性疾患が疑われる人やその家族、特定の病気の遺伝的リスクについて知りたい人など、個人の希望や医師の判断に基づき検査を受ける人。 |
例えば、40歳になったことを機に市区町村から案内が届く胃がん検診はスクリーニング検査です。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも遺伝学的検査について解説されており、より詳しい情報を得ることができます。
どちらの検査を受けるべきか、あるいは必要かどうかは、個人の健康状態や家族歴、そして何を知りたいかによって異なります。
不安な点があれば、まずはかかりつけ医や専門の医療機関に相談してみましょう。
費用や状況から自分にあった検査方法は?
\LINEでかんたん相談/
⇒LINEで無料相談はこちら
メリットとデメリット
スクリーニング検査は、病気の早期発見に大きく貢献する一方で、限界や注意すべき点も存在します。
検査を受ける前に、メリットとデメリットの両方を正しく理解しておくことが重要です。
メリット 疾患の早期発見につながる
スクリーニング検査の最大のメリットは、自覚症状が現れる前の段階で、病気の可能性を早期に発見できることです。
早期治療は、結果的に治療期間の短縮や費用の軽減につながるだけでなく、救命率の向上にも直結します。
「異常なし」という結果を得ることで、安心して日常生活を送れるという精神的なメリットも大きいでしょう。
デメリット 偽陽性・偽陰性の可能性
そのため、「偽陽性(ぎようせい)」と「偽陰性(ぎいんせい)」という問題が生じる可能性があります。
これらの可能性を理解しておくことは、検査結果を冷静に受け止めるために不可欠です。
偽陽性(ぎようせい)とは
偽陽性の場合、確定診断のために精密検査が必要となり、結果が判明するまで精神的な不安を抱えることになります。
また、追加の検査にかかる時間的・経済的な負担もデメリットと言えます。
偽陰性(ぎいんせい)とは
病気を見逃してしまうことにつながり、発見が遅れるリスクがあります。
そのため、検査結果が陰性であっても、気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関に相談することが重要です。
偽陽性と偽陰性の違いを、以下の表にまとめました。
| 種類 | 実際の状態 | 検査結果 | もたらされる問題 |
|---|---|---|---|
| 偽陽性 | 病気ではない | 陽性(異常あり) | 不要な精密検査や精神的負担 |
| 偽陰性 | 病気である | 陰性(異常なし) | 病気の発見の遅れ |
スクリーニング検査のメリットとデメリットについてさらに詳しく知りたい方は、国立がん研究センターがん情報サービスの「がん検診のメリットとデメリット」もご参照ください。
スクリーニング検査のご相談
ここでは、そうしたお悩みに対する相談先や考え方について解説します。
どの検査を受ければよいか迷ったら
自分に必要なスクリーニング検査は、年齢、性別、家族の病歴、生活習慣などによって異なります。
どの検査を受ければよいか迷った際は、一人で悩まず専門家に相談することが大切です。
主な相談先には以下のような場所があります。
| 相談先 | 相談できる内容の例 |
|---|---|
| かかりつけ医・地域のクリニック | 個人の健康状態や生活習慣、家族歴などを踏まえた、最適な検査の提案。 |
| 市区町村の保健センター・役所の担当窓口 | 住民を対象とした各種がん検診や健康診断の案内、受診方法の相談。 |
| 専門の医療機関(人間ドックなど) | より網羅的な検査(人間ドックなど)のプランニングや、特定の疾患リスクに関する専門的な相談。 |
| がん相談支援センター | 全国のがん診療連携拠点病院などに設置されており、がんに関する様々な相談が可能です。 |
まずは、ご自身の体をよく知るかかりつけ医に相談するのが第一歩です。
また、お住まいの市区町村が実施している検診制度については、自治体のウェブサイトなどで確認できます。
国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」では、がんに関する詳しい情報や相談窓口について紹介しています。
より詳しい情報や個別のカウンセリングをご希望の方は、当社の専門相談窓口もご利用いただけます。
お気軽にお問い合わせください。
検査結果の解釈に不安を感じたら
検査結果で「陽性」や「要精密検査」という通知を受け取ると、大きな不安を感じるかもしれません。
しかし、スクリーニング検査での陽性は、必ずしも病気が確定したわけではないことを理解しておくことが重要です。
スクリーニング検査は、病気の可能性のある人を見つけ出すための「ふるい分け」の検査です。
そのため、実際には病気ではないのに陽性となる「偽陽性」の可能性も含まれています。
「要精密検査」の指示があった場合は、その結果を冷静に受け止め、必ず次のステップである精密検査を受診してください。
精密検査によって、本当に治療が必要な状態なのかを正確に診断することができます。
検査結果について疑問や不安がある場合は、まずは検査を受けた医療機関の医師に直接相談しましょう。
セカンドオピニオンを検討することも一つの方法です。
また、NIPT(新型出生前診断)などの遺伝学的検査に関する不安については、遺伝カウンセリングを利用することもできます。
病院での検査と自宅での検査の違いについて、より深く理解したい方は、こちらの関連記事もご参照ください。

まとめ
本記事では、スクリーニング検査の目的、種類、費用、そしてメリット・デメリットについて網羅的に解説しました。
スクリーニング検査とは、自覚症状のない多くの人々の中から、特定の病気の可能性が高い人を見つけ出すための「ふるい分け」を目的とした検査です。
病気の診断を確定させる「確定診断」とは異なり、あくまで早期発見・早期治療につなげるための第一歩となります。
がん検診や生活習慣病の特定健診、出生前診断のNIPT(新型出生前診断)、新生児マススクリーニング検査など、私たちのライフステージに応じて様々な種類の検査が存在します。
これらの検査は、病気を早期に発見できるという大きなメリットがある一方で、実際には病気ではないのに陽性と判定される「偽陽性」や、病気を見逃してしまう「偽陰性」の可能性もゼロではありません。
スクリーニング検査を受ける際は、その目的と限界を正しく理解することが重要です。
どの検査を受けるべきか迷ったり、検査結果に不安を感じたりした場合は、一人で悩まずにかかりつけ医や専門の医療機関へ相談しましょう。
ご自身の健康を守るために、スクリーニング検査を正しく活用してください。




