たばこを吸うと肺がんになる確率は?喫煙本数・年数別の最新データを専門家が解説

肺がん たばこ

「たばこを吸うと肺がんになる確率はどのくらい?」と疑問に思っていませんか。

本記事では、喫煙が肺がんの最大の原因であることを、最新の科学的データを用いて具体的に解説します。

喫煙本数や年数でリスクがどう変わるのか、禁煙でどれだけリスクを下げられるのかが明確にわかります。

さらに受動喫煙や電子タバコの影響、早期発見の方法まで網羅し、あなたと大切な人の健康を守るための正しい知識を提供します。

目次

たばこと肺がんの密接な関係性 喫煙のリスクを正しく知ろう

「たばこは体に悪い」「喫煙は肺がんの原因になる」——。この言葉を、あなたも一度は耳にしたことがあるでしょう。

しかし、そのリスクが具体的にどれほど深刻なものなのか、ご自身の健康にどう影響するのかを、データに基づいて正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。

この記事では、最新の科学的根拠に基づき、たばこと肺がんの切っても切れない関係を専門家が徹底解説します。

漠然とした不安を抱えるのではなく、正しい知識を身につけることが、あなた自身と大切なご家族の未来を守るための第一歩です。

肺がんは日本のがん死亡数第1位 その最大の原因は「たばこ」

日本において、肺がんはすべてのがんの中で死亡数が最も多く、年間約7万6千人もの方が命を落としている、非常に深刻な病気です(国立がん研究センター2022年データ)。

そして、この肺がんにおける予防可能な最大の原因が「喫煙」であることは、科学的に疑いのない事実として確立されています。

特に男性の場合、肺がんによる死亡の約7割(68%)は喫煙が原因であると結論付けられています。

つまり、もし喫煙の習慣がなければ、これらの死亡の多くは防げた可能性があるのです。

この事実は、喫煙という生活習慣が個人の健康、ひいては生命にどれほど大きな影響を及ぼすかを明確に示しています。(出典: 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」)

喫煙のリスクを正しく知り、行動を変えるきっかけに

「自分はまだ若いから大丈夫」「軽いタバコだからリスクは低いだろう」といった考えは、残念ながら通用しません。

喫煙による健康へのダメージは、自覚症状がないまま体内で着実に進行していきます。

この記事では、肺がんに関する最新のデータを基に、以下の点を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。

  • 喫煙者と非喫煙者で肺がんリスクは具体的に何倍違うのか
  • 1日に吸う本数や喫煙年数でリスクはどう変わるのか
  • なぜ、たばこの煙ががん細胞を生み出すのかという科学的メカニズム
  • 今から禁煙した場合、どれくらいリスクを下げられるのか
  • 見逃してはいけない肺がんの初期症状と早期発見の重要性

この記事を読み終える頃には、たばこと肺がんの関係性について深く理解し、ご自身の健康について見つめ直すきっかけが得られるはずです。

【データで見る】たばこを吸うと肺がんになる確率

「たばこは肺がんの原因になる」という事実は広く知られていますが、具体的にどのくらいリスクが高まるのか、数字で正確に理解している方は少ないかもしれません。

喫煙者の方も、そうでない方も、客観的なデータに基づいてご自身や大切な人の健康リスクを把握することが重要です。

この章では、信頼性の高い国内の研究データを基に、喫煙と肺がんの関連性を確率や数値で詳しく解説します。

喫煙者と非喫煙者の肺がんリスクを徹底比較

たばこを吸う人と吸わない人では、肺がんになるリスクにどれほどの差があるのでしょうか。

国立がん研究センターが日本人を対象に行った大規模な追跡調査「多目的コホート研究(JPHC Study)」によると、驚くべき結果が報告されています。

たばこを吸う男性は、吸わない男性に比べて肺がんになるリスクが4.4倍、女性では2.8倍も高くなることが明らかになりました。

特に、喫煙との関連が非常に強いとされる「扁平上皮がん」という種類の肺がんに限定すると、男性のリスクは実に12.7倍にも跳ね上がります。

この数値を分かりやすく表にまとめました。

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対象非喫煙者のリスク(基準)喫煙者のリスク(相対リスク)
男性(肺がん全体)14.4倍
女性(肺がん全体)12.8倍
男性(扁平上皮がん)112.7倍
男性(小細胞がん)19.8倍

出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究「喫煙と肺がんリスク」

このデータが示すのは、喫煙という生活習慣が、いかに直接的に肺がんの発症に関わっているかという厳然たる事実です。

「運が悪ければがんになる」のではなく、喫煙は自ら肺がんのリスクを数倍に高める行為であると認識する必要があります。

喫煙本数と年数で変わる肺がんリスク ブリンクマン指数とは

肺がんのリスクは、単に「吸っているか、吸っていないか」だけでなく、「これまでどれくらいの量のたばこを吸ってきたか」によって大きく変わります。

その累積的な喫煙量を評価する指標として、医療現場で広く用いられているのがブリンクマン指数(Brinkman Index)です。

ブリンクマン指数は、以下の簡単な計算式で算出できます。

ブリンクマン指数 = 1日の喫煙本数 × 喫煙年数

この数値が高いほど、喫煙による健康への悪影響、特に肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のリスクが高いと判断されます。

一般的に、ブリンクマン指数が400を超えると肺がんのリスクが明確に高まり始め、600以上は「肺がんのハイリスク群」と見なされ、医師は特に注意深い診察や検査を検討します。

1日20本を20年吸い続けた場合のリスク

例えば、最も一般的なケースとして「1日1箱(20本)を20年間吸い続けた」場合を考えてみましょう。

20本/日 × 20年 = ブリンクマン指数 400

この計算結果が示す通り、いわゆる「1日1箱を20年間」という喫煙歴は、まさに肺がんの危険水域に入る目安となります。

もし喫煙本数が1日40本(2箱)であれば、わずか10年で指数は400に達します。

ご自身の喫煙歴をこの計算式に当てはめて、現在のリスクレベルを確認してみてください。

男女別で見るたばこと肺がんの関係

先ほどのデータで、肺がんの相対リスクが男性で4.4倍、女性で2.8倍と、男女で差が見られました。

この差はなぜ生じるのでしょうか。

要因は一つではありませんが、過去の喫煙率の違いや平均的な喫煙本数・期間の差が影響していると考えられています。

一般的に、過去の世代では男性の喫煙率が女性よりも圧倒的に高く、喫煙量も多い傾向にありました。

そのため、累積的な影響が男性でより大きく現れていると推測されます。

しかし、女性は男性に比べて相対リスクが低いから安心、ということでは決してありません。

むしろ、体格が小さい女性の方が、同じ本数を吸っても体内に取り込まれる発がん性物質の濃度が高くなり、少ない喫煙量でも影響を受けやすいという指摘もあります。

また、女性ホルモンが肺がんの発生に関与するという研究報告もあり、性別に関わらず喫煙は極めて危険な行為であることに変わりはありません。

近年では女性の喫煙率も上昇傾向にあり、それに伴い女性の肺がん患者数も増加しています。

性別を問わず、たばこの煙が肺に深刻なダメージを与えるという事実を重く受け止める必要があります。

なぜたばこは肺がんの原因になるのか その科学的根拠

「たばこは肺がんの原因になる」という事実は広く知られていますが、その背後にある科学的なメカニズムまで詳しくご存知の方は少ないかもしれません。

喫煙がなぜ、そしてどのようにして肺の細胞をがん化させてしまうのか。

ここでは、たばこの煙が持つ危険性と、それが私たちの体に引き起こす深刻な変化について、科学的根拠に基づき詳しく解説します。

たばこの煙に含まれる70種類以上の発がん性物質

たばこの煙には、約5,300種類の化学物質が含まれており、そのうち人体に有害な物質は数百種類にものぼります。

中でも特に危険なのが、がんを引き起こす可能性が確認されている「発がん性物質」です。

現在、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、たばこの煙に含まれる化学物質のうち、実に70種類以上を「発がん性物質」として分類しています。

これらの発がん性物質は、煙の粒子として気管支や肺の奥深くにある肺胞にまで到達し、長期間にわたって細胞にダメージを与え続けます。

代表的な発がん性物質には以下のようなものがあります。

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発がん性物質名主な特徴と影響
N-ニトロソアミン類たばこ特有の発がん性物質。特に強力な発がん作用を持つとされています。
ベンゾ[a]ピレン有機物の不完全燃焼で生じる多環芳香族炭化水素の一種。DNAを直接傷つけ、突然変異を引き起こします。
ヒ素自然界に存在する元素ですが、無機ヒ素化合物は毒性が強く、発がん性が確認されています。
カドミウム鉱物に含まれる重金属。体内に蓄積しやすく、肺がんや前立腺がんのリスクを高めます。
ホルムアルデヒド刺激臭のある気体で、シックハウス症候群の原因物質としても知られています。鼻腔や気道の粘膜を刺激し、がんの原因となります。

これらの物質は、一つひとつが強力な発がん性を持つだけでなく、複合的に作用することで、さらにがんのリスクを高めると考えられています。

より詳しい情報については、厚生労働省のe-ヘルスネットでも確認できます。

DNAを傷つけがん細胞を発生させるメカニズム

では、これらの発がん性物質は、具体的にどのようにして正常な細胞をがん細胞に変えてしまうのでしょうか。

そのプロセスは、細胞の設計図である「DNA」への攻撃から始まります。

私たちの体は約37兆個の細胞から成り立っており、それぞれの細胞の核には、生命活動のすべてをコントロールする設計図「DNA」が存在します。

細胞は、このDNAの情報に基づいて分裂・増殖し、古くなった細胞と入れ替わっています。

この仕組みが正常に機能している限り、私たちの体は健康を維持できます。

しかし、喫煙によって発がん性物質が肺の細胞に取り込まれると、事態は一変します。

  1. DNAへの攻撃と損傷
    発がん性物質が細胞核に侵入し、DNAに結合して傷をつけます(DNA付加体の形成)。

    これにより、DNAの遺伝情報にエラー(突然変異)が書き込まれてしまいます。
  2. 細胞増殖のコントロール機能の破壊
    通常、私たちの体には傷ついたDNAを修復する機能や、異常な細胞を自死(アポトーシス)に追い込んで排除する優れた仕組みが備わっています。

    しかし、長期間の喫煙によってDNAが繰り返し傷つけられると、修復が追いつかなくなります。

    さらに、たばこの煙に含まれる他の有害物質が、この修復機能そのものを弱めてしまうことも分かっています。
  3. がん細胞の誕生と増殖
    DNAの突然変異が、細胞の増殖をコントロールする重要な遺伝子(がん遺伝子やがん抑制遺伝子)に蓄積すると、細胞はついに制御不能に陥ります。

    ブレーキが壊れた車のように無限に増殖を繰り返す、不死の細胞――これが「がん細胞」の誕生です。

    一度がん細胞が生まれると、それは分裂を繰り返し、やがて目に見える大きさの「がん組織」を形成し、周囲の組織を破壊しながら広がっていきます。

このように、喫煙は単に肺を汚すだけでなく、細胞レベルで私たちの体を内側から破壊し、がんを発生させる直接的な原因となるのです。

この深刻なメカニズムを理解することが、禁煙への第一歩となります。

ご自身の喫煙による健康リスクについて、より詳しく知りたい、あるいは禁煙について相談したいとお考えの方は、専門家への相談もご検討ください。

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受動喫煙による肺がんのリスクも軽視できない

「自分はたばこを吸わないから大丈夫」そう考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、喫煙者が吐き出す煙や、たばこの先端から立ち上る煙を吸い込む「受動喫煙」も、肺がんの明確なリスク要因です。

自分の意思とは関係なく、他人の喫煙によって健康を害される危険性について、正しい知識を持つことが重要です。

受動喫煙で吸い込む煙は、喫煙者がフィルターを通して吸う「主流煙」と、火のついた先端から立ち上る「副流煙」の2種類が混ざり合ったものです。

特に問題となるのが副流煙で、フィルターを通らないため、主流煙よりも多くの有害物質を含んでいます。

以下の表は、主流煙と副流煙に含まれる代表的な有害物質の量を比較したものです。

ご覧いただくと分かるように、多くの発がん性物質が副流煙に何倍も多く含まれていることがわかります。

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有害物質副流煙が主流煙より多い倍率
ニコチン2.8倍
タール3.4倍
一酸化炭素4.7倍
アンモニア46.0倍
ニトロソアミン(発がん性物質)52.0倍

出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「受動喫煙 – 他人の喫煙の影響」

非喫煙者の家族にも及ぶたばこの害

家庭や職場など、身近に喫煙者がいる環境では、日常的にこれらの有害物質にさらされることになります。

国立がん研究センターが複数の研究を統合して分析した結果によると、夫が喫煙する家庭の非喫煙者の妻は、夫が喫煙しない家庭の妻に比べて、肺がんになるリスクが約1.3倍高くなることが報告されています。

これは、たばこを吸わない人であっても、受動喫煙によって肺がんのリスクが確実に上昇することを示す、非常に重要なデータです。

特に、換気の不十分な室内や車内での喫煙は、煙の濃度が非常に高くなり、同乗する家族、とりわけ体の小さい子どもに深刻な影響を及ぼします。

子どもへの影響は肺がんのリスクだけでなく、乳幼児突然死症候群(SIDS)や気管支喘息、中耳炎、呼吸器感染症などのリスクを高めることもわかっています。

大切な家族をたばこの煙の害から守るためには、喫煙者自身の意識改革が不可欠です。

日本では、望まない受動喫煙をなくすことを目的とした改正健康増進法が2020年4月から全面的に施行され、多くの施設で屋内が原則禁煙となりました。

しかし、家庭内での受動喫煙を防ぐためには、法律だけでなく、家族一人ひとりの理解と協力が何よりも大切になります。

ご家族の喫煙によって、ご自身の健康や子どもの将来に不安を感じていませんか?

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電子タバコや加熱式たばこなら肺がんにならないは本当か

「紙巻たばこより健康被害が少ない」というイメージから、電子タバコや加熱式たばこに切り替える方が増えています。

しかし、これらの新しいタイプのたばこが肺がんのリスクをゼロにするわけではありません

現在わかっている科学的根拠に基づき、そのリスクを正しく理解しましょう。

加熱式たばこと電子タバコの違いを理解する

まず、混同されがちな「加熱式たばこ」と「電子タバコ」の違いを明確にしておきましょう。

これらは仕組みも法律上の扱いも全く異なる製品です。

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種類加熱式たばこ電子タバコ (VAPE)
原理たばこ葉を直接加熱し、発生した蒸気を吸引する液体(リキッド)を電気的に加熱し、発生した蒸気を吸引する
原料加工されたたばこ葉(アイコス、グロー、プルーム・テックなど)プロピレングリコール、植物性グリセリン、香料など
ニコチンの有無あり(たばこ葉由来)日本ではニコチンを含むリキッドの販売は薬機法で規制されている(個人輸入は除く)
法律上の扱いたばこ事業法上の「製造たばこ」ニコチンを含まないものは「たばこ」ではない(雑貨扱い)

加熱式たばこの肺がんリスク

加熱式たばこは、たばこ葉を燃焼させないため、紙巻たばこの煙に含まれるタールや一酸化炭素などの有害物質の発生が大幅に低減されるとされています。

実際に、一部の発がん性物質の含有量が紙巻たばこより少ないという研究結果も報告されています。

しかし、これは「無害」を意味するものではありません。

国立がん研究センターの調査では、加熱式たばこの蒸気にも、ニコチンや発がん性物質であるホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが含まれていることが確認されています。

また、紙巻たばこよりも高濃度で含まれる有害物質も存在することが指摘されており、肺がんをはじめとする様々な健康への悪影響が懸念されています。

加熱式たばこは市場に登場してからの歴史が浅く、長期的な使用が人体にどのような影響を及ぼすかについては、まだ十分な科学的データがありません。

そのため、現時点では「紙巻たばこと同程度に健康への悪影響をもたらす可能性がある」と考え、慎重な判断が求められます。

電子タバコ(VAPE)の健康への影響

日本国内で販売されている電子タバコ(VAPE)のリキッドには、ニコチンは含まれていません。

そのため、ニコチン依存のリスクはないと考えられがちです。

しかし、リキッドの主成分であるプロピレングリコールや植物性グリセリンを加熱する過程で、発がん性物質であるホルムアルデヒドなどが発生することがわかっています。

また、海外では、ビタミンEアセテートなどが添加された違法な電子タバコ製品の使用が原因とされる重篤な肺疾患「EVALI(電子タバコまたはVAPE製品の使用に関連する肺損傷)」が社会問題となりました。

製品の安全性や品質が保証されていない場合、予期せぬ健康被害につながる危険性もはらんでいます。

ニコチンが含まれていないからといって、電子タバコが完全に安全であるとは言えません。

長期的な健康影響については未知数であり、安易な使用は避けるべきです。

専門機関の見解と結論

世界保健機関(WHO)や日本の厚生労働省は、加熱式たばこや電子タバコが健康に及ぼす影響について警鐘を鳴らしています。

厚生労働省のウェブサイト「e-ヘルスネット」では、新しいタイプのたばこにも有害物質が含まれ、健康への悪影響が懸念されると明記されています。

結論として、電子タバコや加熱式たばこが「肺がんにならない」という言説は誤りです。

紙巻たばこに比べて一部の有害物質が低減されている可能性はありますが、発がん性物質は依然として含まれており、長期的なリスクは不明です。

最も確実な肺がん予防は、あらゆる種類のたばこ製品の使用をやめること、すなわち「禁煙」です。

ご自身の健康や禁煙について少しでも不安や疑問がある方は、一人で悩まず専門家にご相談ください。

当院では、禁煙に関するご相談も承っております。

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今からでも遅くない 禁煙で肺がんのリスクは着実に下がる

「長年たばこを吸ってきたから、今さら禁煙しても意味がないのでは…」そう考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは大きな誤解です。

何歳であっても、喫煙歴がどれだけ長くても、禁煙を始めるのに遅すぎるということはありません。

禁煙を開始したその日から、あなたの体は着実に健康を取り戻し始め、肺がんのリスクも確実に低下していきます。

禁煙は、将来の肺がんリスクを低減させるための最も効果的で確実な方法です。

ここでは、禁煙によって肺がんのリスクがどのように変化していくのか、具体的なデータと共に解説し、禁煙を成功させるためのサポート体制についてもご紹介します。

禁煙後の年数と肺がんリスクの低下率

禁煙を始めると、肺がんのリスクは時間とともに着実に低下します。

喫煙を続けた場合と比較して、リスクがどの程度下がるのかを具体的に見ていきましょう。

米国の外科医総監報告や国立がん研究センターの多目的コホート研究など、複数の信頼できる研究が、禁煙年数と肺がんリスク低下の関係を明らかにしています。

以下はその一例をまとめたものです。

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禁煙後の経過年数肺がんリスクの目安
5年リスクが有意に低下し始める。
10年リスクが喫煙継続者の約半分にまで低下する。
15年~20年リスクがさらに低下し、非喫煙者のレベルにかなり近づく。

出典:国立がん研究センター 紙巻タバコの禁煙方法と有効性を調査-電子タバコでの禁煙は有効性が低い

この表が示すように、禁煙の効果は非常に大きいものです。

もちろん、肺がんのリスクが完全にゼロになるわけではありません。

しかし、禁煙を続けることで、リスクを非喫煙者のレベルに近づけることができるのは紛れもない事実です。

諦めずに禁煙に取り組むことが、あなた自身の未来の健康を守るための最も重要な一歩となります。

禁煙外来など専門家のサポートを活用しよう

「禁煙が良いことは分かっているけれど、自分の意志だけではなかなかやめられない」という方も多いでしょう。

それは意志が弱いからではなく、「ニコチン依存症」という病気が原因かもしれません。

たばこに含まれるニコチンには強い依存性があり、禁煙すると離脱症状(イライラ、集中困難、強い喫煙欲求など)が現れるため、自力での禁煙は非常に困難です。

しかし、ご安心ください。現在では、専門家のサポートを受けながら、より楽に、そして確実に禁煙を成功させるための様々な方法があります。

禁煙外来での治療

禁煙外来は、医師と一緒に禁煙に取り組む専門の医療機関です。

カウンセリングを通じて精神的なサポートを受けながら、禁煙補助薬を処方してもらうことができます。

  • 飲み薬(バレニクリン)
    ニコチンを含まない薬で、ニコチン切れの症状を和らげると同時に、喫煙による満足感を抑制する効果があります。
  • 貼り薬(ニコチンパッチ)
    皮膚からニコチンを補給することで、離脱症状を軽減します。

これらの治療は、一定の条件(ブリンクマン指数200以上など)を満たせば健康保険が適用されるため、経済的な負担も軽減できます。

自力での禁煙成功率が10%程度であるのに対し、禁煙外来を利用した場合の成功率は60~70%にも上ると言われています。

まずは、お近くの禁煙外来を探して相談してみることを強くお勧めします。

その他の禁煙サポート

禁煙外来以外にも、様々なサポートが利用できます。

  • 薬局・ドラッグストア
    薬剤師に相談の上、ニコチンパッチやニコチンガムなどの一般用医薬品(OTC医薬品)を購入できます。
  • 禁煙相談電話(禁煙ホットライン)
    専門のカウンセラーが無料で禁煙に関する相談に乗ってくれます。
  • 自治体の保健所
    禁煙相談や禁煙教室を実施している場合があります。

一人で悩まず、こうした専門家や公的機関の力を借りることが、禁煙成功への一番の近道です。

あなたに合った方法を見つけ、今日から禁煙への一歩を踏み出しましょう。

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肺がんの早期発見のためにできること

たばこを吸っている方、過去に吸っていた方が最も気をつけるべきなのは、肺がんの早期発見です。

禁煙に取り組むことと並行して、万が一肺がんになってしまった場合に備え、早期に発見し治療を開始することが、その後の生存率を大きく左右します。

肺がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、症状がないからと安心せず、定期的な検診を受けることが極めて重要です。

ここでは、知っておくべき肺がんのサインと、有効な検診について詳しく解説します。

知っておきたい肺がんの初期症状

肺がんは「サイレントキラー」とも呼ばれ、初期には特有の症状が現れにくいのが特徴です。

しかし、がんが進行するにつれて、以下のようなサインが現れることがあります。

これらの症状は風邪や気管支炎など、他の呼吸器疾患と似ているため見過ごされがちですが、特に喫煙者の方で症状が2週間以上続く場合は、自己判断せずに必ず呼吸器科などの医療機関を受診してください。

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症状具体的な内容と注意点
長引く咳風邪でもないのに咳が2週間以上続く、または徐々に咳がひどくなる。痰がからむことも多い。
血痰(けったん)痰に血が混じる、または血の塊が出る。少量でも見られたら危険なサインです。
胸の痛み深呼吸や咳をした時に胸が痛む、または持続的な鈍い痛みがある。
息切れ・動悸階段の上り下りなど、以前は問題なかった軽い動作で息が切れるようになる。
声のかすれ(嗄声)声帯に関わる神経ががんで圧迫されることで、風邪でもないのに声がかすれることがある。
原因不明の発熱37.5度前後の微熱が続く。がん細胞が作り出す物質による「腫瘍熱」の可能性があります。
体重減少特にダイエットをしていないのに、半年で5kg以上など、急激に体重が減る。

これらの症状は、必ずしも肺がんを意味するわけではありません。

しかし、肺がんのリスクが高い喫煙者にとっては、見逃してはならない重要な体からの警告です。

少しでも気になる症状があれば、ためらわずに専門医に相談しましょう。

定期的な肺がん検診の重要性

症状が出てからでは、がんが進行しているケースも少なくありません。

だからこそ、無症状のうちから定期的に検診を受け、がんを早期に発見することが何よりも大切です。

日本で推奨されている肺がん検診には、主に自治体が実施する「対策型検診」と、人間ドックなどで受ける「任意型検診」があります。

自治体の肺がん検診(対策型検診)

多くの市区町村では、住民を対象とした肺がん検診を実施しています。

これは、国が推奨する科学的根拠に基づいた検診です。

  • 対象者
    原則として40歳以上の男女
  • 検査内容
    1. 胸部X線(レントゲン)検査
      肺全体の影を撮影し、異常がないかを確認する基本的な検査です。
    2. 喀痰(かくたん)細胞診
      喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が高いなど、特にリスクが高いと判断された人が対象となります。

      3日間ほど痰を採取し、痰にがん細胞が混じっていないかを顕微鏡で調べます。

費用は無料または一部自己負担で受けられる場合がほとんどです。

まずはお住まいの自治体のホームページや広報誌で、対象年齢や受診方法を確認してみましょう。

人間ドックなどでの任意型検診

より精密な検査を希望する場合や、長年の喫煙歴があり肺がんのリスクが特に高いと感じる方には、人間ドックなどで受けられる低線量CT(LDCT)検査が推奨されます。

CT検査は、体を輪切りにしたような詳細な画像を撮影できるため、胸部X線検査では見つけにくいミリ単位の小さながんや、心臓や骨の裏側に隠れたがんを発見するのに非常に優れています。

国立がん研究センターが発表した日本人を対象とした研究でも、50~74歳の重喫煙者(喫煙指数600以上)に対する低線量CT検診が、肺がんによる死亡リスクを減少させる効果がある可能性が示唆されています。

被ばく線量を抑えながら高精度な検査が可能なため、喫煙者や喫煙経験者の方は、定期的な検診の選択肢として低線量CT検査を検討する価値は非常に高いと言えるでしょう。

ご自身の喫煙歴や健康状態に合わせて、かかりつけ医と相談しながら最適な検診方法を選ぶことが、あなたとあなたの大切な人の未来を守ることに繋がります。

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まとめ

本記事では、たばこと肺がんの密接な関係をデータと共に解説しました。

たばこの煙に含まれる70種以上の発がん性物質が細胞のDNAを傷つけ、がんを発生させることが科学的に証明されています。

喫煙本数や年数が多いほどリスクは高まりますが、今から禁煙を始めても肺がんのリスクは着実に低下します。

受動喫煙や加熱式たばこも決して安全ではありません。

ご自身と大切な人の健康を守るため、禁煙外来の活用や定期的な肺がん検診を検討しましょう。

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