医療保険と生命保険、どちらも重要ですが、その違いを正しく理解していますか?
この2つの保険の最大の違いは、病気やケガに備える「自分」のためか、万が一の時に「遺された家族」のためか、という保障の目的にあります。
この記事では、保障内容や保険料の違いを比較表でわかりやすく解説。
さらに、20代独身から子育て世代、50代以降までライフステージ別の最適な選び方までを網羅します。
あなたに本当に必要な保険が明確にわかる完全ガイドです。
医療保険と生命保険の最大の違いは保障の目的
医療保険と生命保険は、どちらも将来の万が一の事態に備えるための保険ですが、その根本的な「目的」が異なります。
一言でいえば、「誰のために」加入する保険なのか、という点が最大の違いです。
この目的の違いを理解することが、ご自身やご家族にとって本当に必要な保険を選ぶための第一歩となります。
医療保険は「自分」の医療費に備えるもの、生命保険は「遺された家族」の生活に備えるもの、と覚えておくと分かりやすいでしょう。
それぞれの目的について、もう少し詳しく見ていきましょう。
医療保険は病気やケガをした「自分」のため
医療保険は、保険の対象となる方(被保険者)ご自身が、病気やケガで入院したり、手術を受けたりした際の経済的な負担を軽くするための保険です。
主な目的は、治療にかかる費用をカバーすることにあります。
日本には国民皆保険制度があり、医療費の自己負担は原則3割(年齢や所得による)ですが、それでも高額な治療や長期の入院となると、家計への負担は大きくなります。
また、公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料や、入院時の差額ベッド代、食事代なども自己負担です。
医療保険は、こうした公的保険だけではカバーしきれない費用に備え、安心して治療に専念するための「自分自身のための保険」と言えます。
生命保険は万が一の時に「遺された家族」のため
生命保険(ここでは主に死亡保険を指します)は、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合に、保険金が支払われる保険です。
この保険の主な目的は、大黒柱を失った「遺された家族」の生活を守ることにあります。
支払われた死亡保険金は、当面の生活費、子どもの教育資金、住宅ローンの返済、葬儀費用など、遺された家族が経済的に困窮することなく生活を立て直すための資金として活用されます。
つまり、自分に万が一のことがあった後、大切な家族に経済的な安心を遺すための「家族のための保険」なのです。
【基本】医療保険とは?
医療保険とは、病気やケガで入院や手術をしたときの経済的な負担を軽減するための保険です。
日本では、すべての国民が何らかの公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)に加入していますが、治療費の全額がカバーされるわけではありません。
窓口で支払う自己負担分(1〜3割)や、保険適用外の費用(差額ベッド代、入院中の食事代の一部など)は自分で支払う必要があります。
民間の保険会社が提供する医療保険は、このような公的医療保険だけではカバーしきれない費用に備えるためのものです。
医療保険の保障は、基本となる「主契約」と、必要に応じて追加できる「特約(オプション)」で構成されています。
入院や手術に備える基本的な保障
医療保険の最も基本的な保障(主契約)は、「入院給付金」と「手術給付金」の2つです。
これらが土台となり、さまざまな保障が組み合わさって一つの商品になっています。
| 保障の種類 | 保障内容 |
|---|---|
| 入院給付金 | 病気やケガで入院した際に、「入院1日あたり〇円」という形で受け取れる給付金です。 日額5,000円や10,000円で設定するのが一般的です。 「1回の入院で何日まで保障されるか(60日型、120日型など)」、「通算で何日まで保障されるか(1,095日など)」といった上限が定められています。 |
| 手術給付金 | 所定の手術を受けた際にまとまって受け取れる給付金です。 給付額のタイプは主に2種類あり、入院給付金日額の10倍、20倍、40倍といった倍率で決まるものや、 手術の種類に応じて一律で5万円、10万円、20万円のように決まっているものがあります。 |
三大疾病や先進医療をカバーする特約
基本的な保障に加えて、個々のニーズに合わせて保障を手厚くできるのが「特約」です。
特約を付加することで、特定の病気への備えを強化したり、より幅広いリスクに対応したりできます。
| 特約の種類 | 保障内容の概要 |
|---|---|
| 先進医療特約 | 公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料実費を保障します。 先進医療は数百万円以上の高額な費用がかかる場合もあるため、少ない保険料で備えられる人気の特約です。 対象となる医療技術は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。 |
| 三大疾病保障特約 | 日本人の死因の上位を占める「がん(悪性新生物)」「心疾患」「脳血管疾患」で所定の状態になった場合に、まとまった一時金を受け取れます。 治療費だけでなく、収入の減少を補うためにも役立ちます。 |
| 女性疾病特約 | 乳がんや子宮筋腫など、女性特有の病気で入院した場合に、通常の入院給付金に上乗せして給付金が支払われます。 |
| 通院特約 | 入院後の通院治療を保障する特約です。 多くの場合、「退院後の〇日以内の通院」といった条件が設定されています。 |
| 保険料払込免除特約 | 三大疾病など、保険会社が定める所定の状態になった場合に、以降の保険料の支払いが免除される特約です。 保障はそのまま継続されるため、収入が減少しがちな闘病中の経済的負担を軽減できます。 |
【基本】生命保険とは?
生命保険は、被保険者(保障の対象となる方)が死亡したり、所定の高度障害状態になったりした場合に、遺された家族の生活を経済的に支えるための仕組みです。
病気やケガをした「自分」のために備える医療保険とは異なり、生命保険は主に「遺された家族のため」に準備するという点が大きな特徴です。
大勢の人が保険料を出し合う「相互扶助」の考え方で成り立っており、万が一のことがあった際に、保険金や給付金という形でまとまったお金を受け取ることができます。
死亡または高度障害状態に備える保障
生命保険の最も基本的な保障は、被保険者が亡くなったときに支払われる「死亡保険金」と、重い障害状態になったときに支払われる「高度障害保険金」です。
高度障害保険金が支払われる「高度障害状態」とは、病気やケガが原因で、両目の視力を永久に失うなど、保険会社が定める極めて重い障害状態を指します。
これは公的な身体障害者等級とは基準が異なり、生命保険の約款で定められた状態に該当した場合に、死亡保険金と同額が支払われるのが一般的です。
高度障害保険金を受け取ると、その時点で保険契約は消滅します。
具体的な高度障害状態の例については、公益財団法人生命保険文化センターのウェブサイトで確認できます。
貯蓄性のある保険と掛け捨て型の保険
生命保険は、保障の機能だけでなく貯蓄性も兼ね備えているかによって、「貯蓄性のある保険(積立型)」と「掛け捨て型の保険」の2種類に大きく分けられます。
それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが良いかは個人の目的やライフプランによって異なります。
両者の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 貯蓄性のある保険(積立型) | 掛け捨て型の保険 |
|---|---|---|
| 特徴 | 万が一の保障と、将来のための資産形成を両立できる。 解約時に解約返戻金、満期時に満期保険金が受け取れる場合がある。 | 一定期間の保障に特化している。満期保険金や解約返戻金は無いか、あってもごくわずか。 |
| メリット | 保障を得ながら、計画的に教育資金や老後資金などを準備できる。 | 貯蓄性のある保険に比べて保険料が割安で、少ない負担で大きな保障を確保しやすい。 |
| デメリット | 保険料が掛け捨て型に比べて割高になる傾向がある。 短期間で解約すると、支払った保険料の総額を下回る「元本割れ」のリスクがある。 | 保障は一定期間で終了し、支払った保険料は戻ってこない。 |
| 主な保険種類 | 終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険 | 定期保険、収入保障保険 |
どちらのタイプがご自身のライフプランに適しているか、さらに詳しく知りたい方や、具体的な保険商品について相談したい方は、保険の専門家にご相談いただくことをおすすめします。
比較一覧表で見る医療保険と生命保険の違い
医療保険と生命保険は、どちらも万が一の事態に備えるための保険ですが、その目的や役割は大きく異なります。
ここでは、両者の違いをより深く理解するために、4つの視点から比較し、一覧表にまとめました。
それぞれの特徴を把握し、ご自身に必要な保障を見極めるための参考にしてください。
| 比較項目 | 医療保険 | 生命保険(死亡保険) |
|---|---|---|
| 保障の目的と対象 | 被保険者自身が病気やケガで入院・手術などをした際の医療費負担を軽減する「自分のため」の保険。 | 被保険者が死亡または高度障害状態になった際に、遺された家族の生活を守る「家族のため」の保険。 |
| 保険金・給付金の受取人 | 原則として被保険者本人。 | 契約時に指定した配偶者や子などの遺族。 |
| 保険料の決まり方と相場 | 年齢・性別・保障内容・健康状態などで決まる。 一般的に月々数千円からが目安。 | 年齢・性別・保障額・保険期間・健康状態などで決まる。 保障額により月々数千円から数万円と幅広い。 |
| 公的保険制度との関連性 | 公的医療保険(健康保険など)を補完する役割。 高額療養費制度の対象外となる費用(差額ベッド代など)や先進医療の技術料に備える。 | 公的年金(遺族年金)を補完する役割。 遺族年金だけでは不足する生活費や子どもの教育費などを補う。 |
違い1 保障の目的と対象
最も大きな違いは「誰のために、何に備えるか」という保障の目的です。
医療保険は、病気やケガで治療が必要になった際の入院費や手術費など、ご自身の経済的負担を軽くするためのものです。
一方、生命保険(死亡保険)は、ご自身に万が一のことがあった場合に、遺された配偶者やお子様が生活に困らないように生活費や教育資金を確保することを目的としています。
違い2 保険金や給付金の受取人
保障の目的が異なるため、保険金や給付金を受け取る人も変わります。
医療保険の給付金は、治療を受ける被保険者本人が受け取るのが原則です。
これに対し、生命保険の死亡保険金は、契約時にあらかじめ指定した配偶者や子、親などの遺族が受取人となります。
違い3 保険料の決まり方と相場
保険料は、年齢、性別、健康状態、保障内容などに基づいて算出されます。
医療保険は、入院給付金日額や特約の内容によって保険料が変わりますが、一般的には月々数千円程度から加入できるものが多いです。
生命保険の保険料は、死亡時に受け取る保険金額(保障額)が大きく影響するため、数千円から数万円以上と保障内容によって大きく変動します。
一般的に、保障額が大きくなるほど、また年齢が上がるほど保険料は高くなる傾向があります。
違い4 公的保険制度との関連性
民間の保険は、日本の手厚い公的保険制度を補完する役割を担っています。
医療保険は、国民皆保険制度によって医療費の自己負担が原則3割に抑えられていてもなお発生する費用に備えるためのものです。
例えば、高額療養費制度の対象外である差額ベッド代や食事代、先進医療にかかる技術料などをカバーします。
一方、生命保険は、国民年金や厚生年金に加入していれば受け取れる遺族年金だけでは不足しがちな、長期的な生活費や子どもの教育費、住宅ローンの返済などを補うために活用されます。
公的制度でどれくらい保障されるかを理解した上で、不足分を民間の保険で備えることが合理的な保険選びの第一歩です。
詳しくは厚生労働省のウェブサイトや日本年金機構のウェブサイトもご確認ください。
医療保険と生命保険の必要性と選び方
必要な保障は、年齢や家族構成といったライフステージの変化によって大きく異なります。
ここでは代表的なライフステージごとに、医療保険と生命保険の考え方や選び方のポイントを解説します。
【20代独身】まずは自分を守る医療保険を優先
社会人になったばかりの20代独身のうちは、扶養する家族がいないケースが多いため、高額な死亡保障(生命保険)の必要性は低いでしょう。
それよりも、病気やケガで入院・手術をした際の医療費や、働けなくなった場合の収入減少に備えることが重要です。
十分な貯蓄がまだない場合、急な出費が生活に大きな影響を与える可能性があるためです。
まずは、入院給付金日額5,000円~10,000円程度の基本的な医療保険を検討しましょう。
若いうちに加入すると、月々の保険料を安く抑えられるメリットがあります。
また、万が一の死亡時に備え、葬儀費用として200万円~300万円程度の死亡保険に入っておくと、家族に迷惑をかける心配が減り安心です。
| 保険の種類 | 必要性 | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| 医療保険 | 高い | 入院・手術に備える基本的な保障を確保。保険料が手頃な掛け捨て型がおすすめ。 |
| 生命保険 | 低い | 高額な保障は不要。葬儀費用程度の少額な死亡保険を検討。 |
| 就業不能保険 | 検討の価値あり | 病気やケガで長期間働けなくなった際の収入減に備える。 |
【30代夫婦・カップル】お互いを支えるための保険選び
結婚やパートナーとの共同生活を始めると、お互いを経済的に支え合う責任が生まれます。
どちらか一方に万が一のことがあった場合、残されたパートナーの生活に大きな影響が及ぶため、独身時代よりも生命保険の必要性が高まります。
特に、住宅ローンを組んでいる場合は、団体信用生命保険(団信)の保障内容を確認し、不足分を補う形で生命保険を検討することが大切です。
医療保険については、独身時代に加入した保障内容を見直しましょう。
特に女性は、30代から乳がんなどのリスクが高まるため、女性特有の疾病に手厚い保障を付けることも選択肢の一つです。
妊娠や出産を考えている場合は、加入できる保険が限られる可能性があるため、早めに検討することをおすすめします。
| 保険の種類 | 必要性 | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| 医療保険 | 高い | お互いの保障内容を確認し、必要に応じて見直し。女性特有の疾病への備えも検討。 |
| 生命保険 | 高まる | 残されたパートナーの生活費やローン返済を考慮した保障額を設定。保険料を抑えやすい定期保険や収入保障保険が合理的。 |
【30代〜40代子育て世代】家族の生活を守る保障を厚く
子どもが生まれると、家族に対する責任はさらに大きくなります。
特に家計を支える方に万が一のことがあった場合、残された家族の生活費や子どもの教育費が大きな負担となるため、生命保険の必要性が最も高まる時期です。
必要保障額は、子どもの成長とともに変化していくため、末子が独立するまでの期間、十分な保障額を確保することが重要です。
保険料を抑えつつ合理的に備えるには、年々保障額が減少していく収入保障保険が適しています。
医療保険も、家族全員の保障内容を改めて確認しましょう。
高額な治療費がかかる先進医療に対応できる特約や、がんへの備えを強化するがん保険への加入も検討する価値があります。
| 保険の種類 | 必要性 | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| 医療保険 | 非常に高い | 家族全員の保障を確認。がんや三大疾病、先進医療など、より幅広いリスクに備える。 |
| 生命保険 | 最も高い | 子どもの教育費や生活費を考慮し、十分な死亡保障を確保。収入保障保険の活用がおすすめ。 |
| 学資保険 | 検討の価値あり | 教育資金の準備が目的。貯蓄性のある生命保険や資産運用と合わせて検討する。 |
ご自身の状況に最適な保障額がわからない、どの保険を選べば良いか迷うという方は、一度専門家に相談してみることをおすすめします。
当サイトでは、経験豊富なファイナンシャルプランナーによる無料相談サービスをご提供しています。
家計の状況や将来の希望を丁寧にヒアリングし、あなたにぴったりの保険プランをご提案します。
【50代以降】老後と相続を見据えた保険の見直し
子どもが独立すると、これまで必要だった高額な死亡保障は不要になるケースが多くなります。
保障額を減額し、保険料の負担を軽くする見直しを行いましょう。
一方で、加齢とともに病気やケガのリスクは高まるため、医療保険の重要性は増します。
公的医療保険制度でカバーできない差額ベッド代や先進医療費に備えるため、保障内容を再確認しましょう。
この年代では、老後資金の準備と合わせて「相続」も視野に入れる必要があります。
生命保険の死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があり、相続税対策として有効です。
葬儀費用や相続税の納税資金として、一生涯保障が続く終身保険を活用するのも一つの方法です。
| 保険の種類 | 必要性 | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| 医療保険 | 高い | 老後の入院リスクに備え、保障内容を再確認。持病があっても加入しやすい引受基準緩和型も検討。 |
| 生命保険 | 目的が変わる | 大きな死亡保障から、葬儀費用や相続対策のための終身保険へ見直す。 |
| 介護保険 | 高まる | 公的介護保険の自己負担分をカバーするために検討。 |
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まとめ
医療保険と生命保険の最大の違いは「誰のため」という保障の目的にあります。
医療保険は病気やケガをした自分自身のため、生命保険は万が一の際に遺された家族のためです。
この違いを理解し、ご自身のライフステージや家族構成に合わせて必要な保障を選ぶことが重要です。
公的保険制度で不足する部分を補う形で、自分と大切な家族の将来を守るために最適な保険を選びましょう。
もし判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーなど専門家への相談も有効な手段です。




