【最新版】免疫チェックポイント阻害剤まるわかりガイド:費用や種類、部位べつに解説

免疫チェックポイント阻害剤

がん治療の新たな柱として注目される免疫チェックポイント阻害剤。

この記事を読めば、基本的な仕組みからオプジーボ(ニボルマブ)をはじめとする、免疫チェックポイント阻害薬の種類、部位別の適用、気になる費用や副作用、そして最新情報まで、複雑な情報を網羅的に理解できます。

専門的な内容を分かりやすく解説し、あなたの疑問や不安を解消する一助となることを目指します。

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目次

免疫チェックポイント阻害剤とは

近年、がん治療は目覚ましい進歩を遂げており、手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)に続く「第4のがん治療法」として注目されているのが免疫療法です。

その中でも特に大きな期待を集めているのが「免疫チェックポイント阻害剤」です。

この薬剤は、私たち自身の免疫力を利用してがんと闘うという、従来のがん治療とは異なるアプローチを取ります。

本章では、この免疫チェックポイント阻害剤がどのようなもので、なぜがん治療の新しい柱として期待されているのか、その基本的な仕組みから解説します。

日本に上市したのが2014年からだから、古いがん保険ではカバーされないこと

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免疫チェックポイント阻害剤の基本的な仕組み

私たちの体には、細菌やウイルスなどの異物や、体内で発生したがん細胞を攻撃して排除する「免疫」というシステムが備わっています。この免疫システムの中心的な役割を担うのがT細胞(リンパ球の一種)です。

T細胞はがん細胞を見つけて攻撃しますが、免疫システムが過剰に働いて正常な細胞まで攻撃してしまわないように、免疫の働きにブレーキをかける仕組みも存在します。

このブレーキ役となる分子が「免疫チェックポイント分子」です。

がん細胞は非常に巧妙で、この免疫チェックポイント分子を利用してT細胞の攻撃から逃れようとします。

具体的には、がん細胞の表面にある「PD-L1」というタンパク質が、T細胞の表面にある「PD-1」という免疫チェックポイント分子に結合すると、T細胞の働きにブレーキがかかり、がん細胞を攻撃できなくなってしまいます。

また、「CTLA-4」という分子もT細胞の活性化を抑制するブレーキとして機能します。

免疫チェックポイント阻害剤は、この免疫のブレーキを解除する薬剤です。

PD-1やPD-L1、CTLA-4といった免疫チェックポイント分子の働きを阻害することで、T細胞が本来の力を発揮し、がん細胞を再び攻撃できるようにします。

つまり、がん細胞がかけていた免疫へのブレーキを外し、免疫細胞ががん細胞を効果的に排除できるよう手助けするのです。

この作用機序から、免疫賦活剤(めんえきふかつざい)とも呼ばれます。

より詳しい情報については、国立がん研究センターがん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」もご参照ください。

従来の抗がん剤との違いとメリット

免疫チェックポイント阻害剤は、従来の抗がん剤(殺細胞性抗がん剤や分子標的薬)とは作用の仕方が大きく異なります。

それぞれの違いと、免疫チェックポイント阻害剤の主なメリットを理解することは、治療法を選択する上で非常に重要です。

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特徴免疫チェックポイント阻害剤従来の抗がん剤(化学療法)分子標的薬
作用機序免疫細胞(主にT細胞)を活性化させ、
間接的にがん細胞を攻撃する
細胞分裂が活発ながん細胞を直接攻撃し、
細胞死を誘導する(正常細胞にも影響が出やすい)
がん細胞の増殖や生存に関わる
特定の分子(タンパク質や遺伝子など)を標的として作用する
作用対象免疫システム全体(特にT細胞のブレーキ解除)がん細胞だけでなく、分裂が速い正常細胞
(骨髄細胞、消化管粘膜細胞、毛母細胞など)
特定の遺伝子変異やタンパク質を持つがん細胞
効果の現れ方効果が現れるまでに時間がかかる場合があるが、
一度効果が出ると長期間持続する可能性がある(免疫記憶)
比較的早期に効果が現れることが多いが、
薬剤耐性が生じることがある
標的分子を持つがん細胞には高い効果が期待できるが、
持たない場合は効果が低い。薬剤耐性が生じることがある
副作用免疫関連有害事象(irAE)と呼ばれる、自己免疫疾患に似た
特有の副作用(間質性肺炎、大腸炎、甲状腺機能障害など)
骨髄抑制(白血球減少、血小板減少など)、
吐き気・嘔吐、脱毛、口内炎、倦怠感など
標的とする分子や薬剤の種類によって異なる
(皮膚障害、下痢、高血圧、肝機能障害など)

免疫チェックポイント阻害剤の主なメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 一部のがん種や患者さんにおいて、長期的な効果(長期生存)が期待できること。
  • 一度効果が得られると、その効果が長く持続する可能性があること(免疫記憶のメカニズムによる)。
  • 従来の治療法では効果が得られにくかったがん種や、治療抵抗性を示した患者さんにも効果を示す場合があること。
  • 副作用のプロファイルが従来の抗がん剤と異なり、患者さんの状態によってはQOL(生活の質)を維持しながら治療を続けられる可能性があること(ただし、重篤な副作用には十分な注意が必要)。

ただし、全ての患者さんに効果があるわけではなく、効果の程度や副作用の現れ方には個人差が大きいという点も理解しておく必要があります。

免疫チェックポイント阻害剤の主な効果と期待されること

免疫チェックポイント阻害剤に期待される主な効果は、がんの進行を抑え、患者さんの生存期間を延長することです。

具体的には、以下のような効果が報告されています。

  • 腫瘍の縮小または消失
    • 免疫細胞ががん細胞を攻撃することで、がんの大きさが小さくなったり、画像検査で見えなくなったりすることがあります。
  • 病勢コントロール(進行の抑制)
    • がんが完全に消えなくても、増大を抑えたり、安定した状態を維持したりすることで、病気の進行を遅らせることが期待されます。
  • 生存期間の延長
    • 臨床試験において、特定のがん種では従来の治療法と比較して生存期間の延長が示されています。
  • QOL(生活の質)の維持・改善
    • がんによる症状が緩和されたり、副作用が比較的軽微であったりする場合、患者さんのQOLを保ちながら治療を継続できる可能性があります。

免疫チェックポイント阻害剤は、これまで治療が難しかった進行がんや再発がんの患者さんにとって、新たな希望をもたらす治療法として位置づけられています。

現在も多くのがん種で臨床試験が進行中であり、より多くのがん患者さんに恩恵をもたらす可能性が期待されています。

また、他のがん治療(化学療法、放射線療法、分子標的薬など)との併用療法や、効果予測バイオマーカーの研究も活発に進められており、今後のさらなる発展が待たれる分野です。

免疫チェックポイント阻害剤の種類とそれぞれの特徴

免疫チェックポイント阻害剤は、その作用機序や標的とする免疫チェックポイント分子によって、いくつかの主要な種類に分けられます。

それぞれが異なるアプローチで、がん細胞によって抑制された免疫細胞(特にT細胞)の働きを再活性化させ、がん治療に貢献します。

ここでは、現在主に使用されている免疫チェックポイント阻害剤の種類と、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

PD-1阻害剤 オプジーボやキイトルーダなど

PD-1(Programmed cell Death-1)は、活性化したT細胞の表面に発現する受容体タンパク質です。

一方、がん細胞や一部の免疫細胞の表面には、PD-1に結合する「リガンド」と呼ばれるPD-L1やPD-L2というタンパク質が存在します。がん細胞がこれらのリガンドを使ってPD-1に結合すると、T細胞の攻撃命令にブレーキがかかり、がん細胞を異物として認識・排除する能力が抑制されてしまいます。

PD-1阻害剤は、このPD-1とPD-L1/PD-L2の結合をブロックすることで、T細胞にかかっていたブレーキを解除し、T細胞本来の抗がん作用を回復させる薬剤です。

PD-1阻害剤は、多くのがん種でその有効性が示されており、単独での使用のほか、化学療法や他の免疫チェックポイント阻害剤との併用療法も積極的に行われています。

代表的なPD-1阻害剤

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薬剤名(一般名)主な特徴・備考
オプジーボ
(ニボルマブ)
世界で早期に承認されたPD-1阻害剤の一つです。
「悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫など」
非常に多くのがん種に適応があり、点滴で投与されます。
キイトルーダ
(ペムブロリズマブ)
オプジーボと同様に、多くのがん種で承認されています。
PD-L1の発現率が効果予測因子の一つとなる場合があります。
こちらも点滴で投与されます。
リブタヨ
(セミプリマブ)
有棘細胞がん、基底細胞がん、進行・再発の子宮頸がん、
特定の非小細胞肺がんなどに用いられるPD-1阻害剤です。
点滴で投与されます。

これらの薬剤の適応や使用法については、患者さんの状態やがんの種類によって異なりますので、必ず担当医にご相談ください。

より詳しい薬剤情報は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトなどで確認することができます。

PD-L1阻害剤 テセントリクやイミフィンジなど

PD-L1(Programmed cell Death-Ligand 1)は、前述の通り、主にがん細胞や免疫担当細胞の表面に発現し、T細胞上のPD-1に結合することで免疫応答にブレーキをかけるタンパク質です。

PD-L1阻害剤は、このがん細胞側のPD-L1に直接結合し、PD-L1がT細胞のPD-1に結合するのを防ぎます

結果として、PD-1阻害剤と同様にT細胞の免疫抑制状態が解除され、抗がん効果を発揮します。

作用するターゲットがPD-1かPD-L1かという違いはありますが、免疫のブレーキを外すという点では共通の目的を持っています。

PD-L1阻害剤もまた、さまざまながん種に対する治療薬として承認され、治療の選択肢を広げる重要な役割を担っています。

代表的なPD-L1阻害剤

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薬剤名(一般名)主な特徴・備考
テセントリク
(アテゾリズマブ)
「非小細胞肺がん、小細胞肺がん、乳がん(トリプルネガティブ乳がん)、肝細胞がん、尿路上皮がんなど」
幅広いがん種に適応があり、点滴で投与されます。
イミフィンジ
(デュルバルマブ)
主に切除不能な局所進行非小細胞肺がん(ステージIII)における化学放射線療法後の
維持療法や、進展型小細胞肺がん、治癒切除不能な胆道がん、肝細胞がんなどに用いられます。点滴で投与されます。
バベンチオ
(アベルマブ)
メルケル細胞がんや、化学療法後の維持療法としての尿路上皮がんなどに使用されます。
点滴で投与されます。

CTLA-4阻害剤 ヤーボイなど

CTLA-4(Cytotoxic T-Lymphocyte Antigen-4)は、T細胞が活性化する初期の段階で働く、もう一つの重要な免疫チェックポイント分子です。

T細胞ががん細胞などの異物を認識し、攻撃を開始するためには、まず抗原提示細胞と呼ばれる細胞から「これが敵だ」という情報を受け取る必要があります。

このとき、CTLA-4はT細胞の過剰な活性化を抑える「アクセルに対するブレーキ」のような役割を果たします。

CTLA-4阻害剤は、このCTLA-4の働きを阻害することで、T細胞の活性化を初期段階から強力に促し、免疫応答全体を増強する薬剤です。

PD-1/PD-L1経路とは異なる作用点で免疫システムを賦活化します。

CTLA-4阻害剤は、単独で使用されることもありますが、特にPD-1阻害剤と併用することで、より強力な抗腫瘍効果が期待できる場合があり、そのような併用療法が複数のがん種で承認されています。

代表的なCTLA-4阻害剤

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薬剤名(一般名)主な特徴・備考
ヤーボイ(イピリムマブ)最初に登場した免疫チェックポイント阻害剤の一つです。
「悪性黒色腫、腎細胞がん、非小細胞肺がん、中皮腫、食道がん、大腸がん(MSI-High)など」
主にPD-1阻害剤(オプジーボなど)との併用療法で用いられます。
点滴で投与されます。

その他の新しい免疫チェックポイント阻害剤

PD-1/PD-L1経路やCTLA-4経路以外にも、免疫応答を精密に制御している免疫チェックポイント分子は数多く存在します。

現在、これらの新たな分子を標的とした免疫チェックポイント阻害剤の研究開発が世界中で活発に進められています。

これらの新しい薬剤は、既存の治療法に抵抗性を示すがんや、これまで治療が難しかったがん種に対して、さらなる治療効果の向上や、個別化された新たな治療選択肢をもたらす可能性を秘めています。

開発中または最近登場した主な標的と薬剤

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標的分子薬剤例(一般名)期待される役割・現状
LAG-3レラトリマブ
(ニボルマブとの配合剤:オプデュアルグ)
T細胞の疲弊に関与する分子です。PD-1阻害剤との併用により、T細胞の機能を回復させ、抗腫瘍効果を高めることが期待されます。
悪性黒色腫で承認されており、他のがん種でも開発が進んでいます。
TIM-3複数の薬剤が開発中T細胞の疲弊や免疫抑制細胞の機能に関与。PD-1阻害剤などとの併用による効果増強が期待され、臨床試験が進行中です。
TIGIT複数の薬剤が開発中免疫細胞(T細胞やNK細胞)の活性を抑制するシグナルを伝達します。
この経路を阻害することで、抗腫瘍免疫を再活性化させることが期待され、PD-1/PD-L1阻害剤との併用を中心に開発が進められていますが、一部の薬剤では大規模な臨床試験で期待された効果が示されず、開発の難しさも明らかになっています。

これらの新しい免疫チェックポイント阻害剤については、まだ開発段階のものも多く、有効性や安全性に関するデータが蓄積されつつある状況です。

最新の研究動向や臨床試験の情報については、国立がん研究センターがん情報サービスや専門医からの情報を参考にしてください。

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部位別 免疫チェックポイント阻害剤が使われるがんの種類

免疫チェックポイント阻害剤は、特定のがん種に対して高い治療効果を示すことが明らかになり、多くのがん治療で重要な選択肢の一つとして位置づけられています。

ここでは、代表的ながん種ごとに、どのような免疫チェックポイント阻害剤が使用されているか、その特徴や治療のポイントについて解説します。

なお、薬剤の適応は個々の患者さんの状態やがんの進行度、遺伝子変異の有無などによって異なり、また新たな薬剤の承認や適応拡大も進んでいますので、最新の情報や詳細については必ず担当医にご確認ください

より詳しい情報源の一つとして、国立がん研究センターがん情報サービス「免疫療法、免疫チェックポイント阻害薬」もご参照ください。

肺がんと免疫チェックポイント阻害剤

肺がんは、免疫チェックポイント阻害剤が早期から導入され、治療成績の向上に大きく貢献しているがん種の一つです。

主に非小細胞肺がんに対して広く用いられていますが、小細胞肺がんの一部でも使用が承認されています。

非小細胞肺がん

非小細胞肺がんでは、PD-L1タンパク質の発現状況や特定の遺伝子変異(EGFR、ALK、ROS1、BRAFなど)の有無に応じて、単剤療法や化学療法、他の分子標的薬との併用療法が選択されます。

代表的な薬剤には以下のものがあります。

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薬剤名
(一般名)
標的分子主な使用状況
オプジーボ
(ニボルマブ)
PD-1進行・再発の非小細胞肺がん(PD-L1発現状況を問わない場合あり、化学療法との併用も含む)、術後補助療法
キイトルーダ
(ペムブロリズマブ)
PD-1進行・再発の非小細胞肺がん(PD-L1高発現例で単剤、PD-L1発現状況に応じて化学療法と併用)、術後補助療法
テセントリク
(アテゾリズマブ)
PD-L1進行・再発の非小細胞肺がん(化学療法やベバシズマブとの併用)、術後補助療法
イミフィンジ
(デュルバルマブ)
PD-L1切除不能な局所進行の非小細胞肺がん(化学放射線療法後の維持療法)

これらの薬剤は、患者さんの状態やがんの特性、PD-L1発現率などを総合的に評価し、最適なものが選択されます。

治療前にはPD-L1検査などのバイオマーカー検査が行われることが一般的です。

小細胞肺がん

進展型の小細胞肺がんに対しては、アテゾリズマブ(テセントリク)やデュルバルマブ(イミフィンジ)が従来の化学療法に上乗せする形で使用され、生存期間の延長が示されています。

胃がんと免疫チェックポイント阻害剤

胃がん治療においても、免疫チェックポイント阻害剤が新たな選択肢となっています。

特に、進行・再発胃がんや、特定のバイオマーカーを持つ患者さんに対して効果が期待されています。

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薬剤名(一般名)標的分子主な使用状況
オプジーボ(ニボルマブ)PD-1治癒切除不能な進行・再発の胃がん(化学療法との併用、MSI-High固形がんとしての適応も含む)
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)PD-1治癒切除不能な進行・再発の胃がん(化学療法との併用、PD-L1陽性やMSI-Highの場合)

胃がんでは、化学療法との併用や、マイクロサテライト不安定性(MSI-High)の有無などが薬剤選択の重要な要素となります。

オプジーボは、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん患者さんに対して単剤で使用されることもあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)と免疫チェックポイント阻害剤

悪性黒色腫(メラノーマ)は、免疫チェックポイント阻害剤が非常に高い効果を示すがん種の一つとして知られています。

手術不能または転移性の悪性黒色腫に対して、単剤療法や併用療法が行われます。

薬剤名(一般名)標的分子主な使用状況
オプジーボ(ニボルマブ)PD-1根治切除不能な悪性黒色腫、術後補助療法
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)PD-1根治切除不能な悪性黒色腫、術後補助療法
ヤーボイ(イピリムマブ)CTLA-4根治切除不能な悪性黒色腫(主にオプジーボとの併用療法で使用)

特に、オプジーボとヤーボイの併用療法は、単剤療法よりも高い奏効率を示すことが報告されていますが、副作用の発現頻度も高くなる傾向があるため、慎重な管理が必要です。

また、BRAF遺伝子変異陽性の場合は、分子標的薬が治療選択肢となることもあります。

腎細胞がんと免疫チェックポイント阻害剤

腎細胞がん治療においても、免疫チェックポイント阻害剤は標準治療として広く用いられています。

単剤療法に加え、他の免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬との併用療法も行われます。

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薬剤名(一般名)標的分子主な使用状況
オプジーボ(ニボルマブ)PD-1根治切除不能または転移性の腎細胞がん(単剤、またはヤーボイとの併用)
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)PD-1根治切除不能または転移性の腎細胞がん(アキシチニブまたはレンバチニブとの併用)、術後補助療法
ヤーボイ(イピリムマブ)CTLA-4根治切除不能または転移性の腎細胞がん(オプジーボとの併用)
バベンチオ(アベルマブ)PD-L1根治切除不能または転移性の腎細胞がん(アキシチニブとの併用)

腎細胞がんでは、リスク分類(IMDC分類など)に応じて治療方針が決定されることが多く、免疫チェックポイント阻害剤を含む治療法が予後の改善に寄与しています。

頭頸部がんと免疫チェックポイント阻害剤

頭頸部がん(口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなど)の治療においても、再発・転移性の患者さんを中心に免疫チェックポイント阻害剤が使用されています。

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薬剤名(一般名)標的分子主な使用状況
オプジーボ(ニボルマブ)PD-1再発または遠隔転移を有する頭頸部がん(プラチナ製剤抵抗性の場合)
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)PD-1再発または遠隔転移を有する頭頸部がん(単剤または化学療法との併用、PD-L1発現状況(CPS)を考慮)

キイトルーダは、PD-L1の発現状況(CPSスコア)に応じて、単剤療法または化学療法との併用療法が選択されます。

治療効果の予測因子としてPD-L1発現が重要視される場合があります。

ホジキンリンパ腫と免疫チェックポイント阻害剤

ホジキンリンパ腫、特に再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対して、免疫チェックポイント阻害剤が高い効果を示しています。

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薬剤名(一般名)標的分子主な使用状況
オプジーボ(ニボルマブ)PD-1再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)PD-1再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫

これらの薬剤は、自家造血幹細胞移植後の再発や、移植非適応の患者さんなど、従来の治療法では効果が乏しかったケースでの新たな希望となっています。

その他のがん種への適用拡大

上記以外にも、免疫チェックポイント阻害剤の適用は多くのがん種へと急速に拡大しています。

以下に代表的な例を挙げます。

  • 食道がん
    • オプジーボ、キイトルーダなどが進行・再発食道扁平上皮がんや食道腺がんに対して、単剤または化学療法との併用で使用されます。
  • 肝細胞がん
    • アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法、デュルバルマブとトレメリムマブの併用療法などが切除不能な肝細胞がんの一次治療として用いられます。オプジーボも単剤で使用される場合があります。
  • 尿路上皮がん(膀胱がんなど)
    • キイトルーダ、バベンチオなどが進行・再発尿路上皮がんに対して使用されます。キイトルーダは術後補助療法としても承認されています。
  • 乳がん
    • キイトルーダがPD-L1陽性のトリプルネガティブ乳がんに対して化学療法との併用で使用されます。術前・術後薬物療法としても用いられます。
  • 子宮頸がん・子宮体がん
    • キイトルーダが進行・再発の子宮頸がん(PD-L1陽性、化学療法との併用)や、進行・再発の子宮体がん(MSI-HighまたはdMMRの場合、レンバチニブとの併用も)で使用されます。
  • 胆道がん
    • デュルバルマブが化学療法との併用で治癒切除不能な胆道がんに使用されます。キイトルーダもMSI-High固形がんとしての適応があります。
  • 大腸がん
    • オプジーボ、キイトルーダ、ヤーボイなどが、MSI-HighまたはdMMR(ミスマッチ修復機構欠損)の治癒切除不能な進行・再発の大腸がんに使用されます。
  • 悪性中皮腫
    • オプジーボとヤーボイの併用療法が切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に使用されます。
  • 原発不明がん
    • キイトルーダがMSI-HighまたはTMB-High(腫瘍遺伝子変異量高値)の固形がんとして包括的に承認されており、原発不明がんも対象となる場合があります。

このように、免疫チェックポイント阻害剤は、がん種横断的なバイオマーカー(MSI-High、TMB-High、NTRK融合遺伝子など)に基づく承認も進んでおり、個別化医療の進展とともに、今後さらに多くのがん患者さんにとっての治療選択肢となることが期待されています。

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気になる免疫チェックポイント阻害剤の費用と保険適用

免疫チェックポイント阻害剤は、画期的な治療効果が期待される一方で、治療にかかる費用が非常に高額になるケースがあるため、多くの患者さんやご家族が心配される点です。

ここでは、薬剤費の目安、公的医療保険制度の活用、そして民間の医療保険による備えについて詳しく解説します。

免疫チェックポイント阻害剤の薬剤費の目安

免疫チェックポイント阻害剤の薬剤費は、使用する薬剤の種類や量、投与間隔によって大きく異なります。

一般的に、患者さんの体重に応じて投与量が決まるため、体格の良い方ほど薬剤費は高くなる傾向にあります。

また、治療期間が長くなれば、それに応じて総費用も増加します。

代表的な免疫チェックポイント阻害剤の例として、ニボルマブ(オプジーボ®)やペムブロリズマブ(キイトルーダ®)などがありますが、これらの薬剤は1回の投与で数十万円から数百万円の薬剤費がかかることも珍しくありません。

年間では、数千万円に達する可能性も考慮しておく必要があります。

ただし、これらの薬剤費はあくまで薬そのものの価格であり、実際にはこれに加えて診察料、検査料、注射手技料、入院が必要な場合は入院費などが別途必要になります。

具体的な費用については、治療を受ける医療機関の医師や薬剤師、医療ソーシャルワーカーによく確認することが重要です。

近年では薬価改定により、以前と比較して薬剤費が下がっている薬剤もありますが、依然として高額であることに変わりはありません。

最新の薬価や詳細な費用については、必ず医療機関にご確認ください。

高額療養費制度の活用について

日本には、医療費の家計負担が重くなりすぎないように、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する「高額療養費制度」があります。

免疫チェックポイント阻害剤による治療も、保険適用となっていればこの制度の対象となります。

自己負担限度額は、年齢や所得水準によって区分されており、それぞれ上限額が定められています。

例えば、70歳未満の方の場合、所得に応じて以下のような区分があります(金額は目安であり、詳細はご加入の公的医療保険の窓口にご確認ください)。

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所得区分適用区分自己負担限度額(月額)多数回該当※1
年収約1,160万円~
健保:標準報酬月額83万円以上
国保:旧ただし書き所得901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1%140,100円
(参考:一般的な収入の方の例)
167,400円+(医療費-558,000円)×1%93,000円
年収約770万~約1,160万円
健保:標準報酬月額53万~79万円
国保:旧ただし書き所得600万~901万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1%44,400円
年収約370万~約770万円
健保:標準報酬月額28万~50万円
国保:旧ただし書き所得210万~600万円
57,600円44,400円
~年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下
35,400円24,600円
住民税非課税者※235,400円24,600円

※1 多数回該当とは、過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は4回目から「多数回」該当となり、上限額がさらに引き下げられる制度です。
※2 住民税非課税世帯の方は、さらに低い自己負担限度額が設定されています。

高額療養費制度を利用するには、事前に「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に提示する方法と、一旦窓口で自己負担分を支払い、後日申請して払い戻しを受ける方法があります。

「限度額適用認定証」を利用すると、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができるため、一時的な負担を軽減できます。

申請手続きは、ご加入の健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険窓口などで行えます。

詳細については、厚生労働省のウェブサイトや、ご自身が加入している公的医療保険の窓口でご確認ください。
参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省)

ただし、高額療養費制度の対象となるのは保険診療分の費用のみです。

差額ベッド代、入院中の食事代の一部、先進医療にかかる費用(免疫チェックポイント阻害剤が先進医療として用いられるケースは稀ですが、関連治療で可能性はあります)などは対象外となるため注意が必要です。

民間の医療保険で備えるポイント

公的医療保険の高額療養費制度を利用しても、自己負担額がなくなるわけではありません。

また、前述の通り、保険適用外の費用も発生する可能性があります。

さらに、治療のために仕事を休むことによる収入減少なども考慮すると、民間の医療保険やがん保険で備えておくことの重要性は高まります。

免疫チェックポイント阻害剤による治療に備えるために、民間の保険を検討する際のポイントは以下の通りです。

  • がん診断一時金(がん診断給付金)
    • がんと診断された時点でまとまった一時金が受け取れる保障です。

      治療初期の費用や、当面の生活費などに充当できます。
  • 抗がん剤治療給付金(特約)
    • 抗がん剤治療(ホルモン剤含む)を受けた際に給付金が受け取れる保障です。

      免疫チェックポイント阻害剤がこの「抗がん剤」の定義に含まれるか、保険会社や商品によって異なる場合があるため、契約前に必ず確認が必要です。

      最近では、免疫チェックポイント阻害剤を明確に対象とする商品も増えています。
  • 入院給付金・手術給付金
    • 入院日数や手術の種類に応じて給付金が受け取れます。
  • 通院給付金
    • 免疫チェックポイント阻害剤治療は通院で行われることも多いため、通院治療をサポートする給付金があると安心です。
  • 先進医療特約
    • 万が一、先進医療を受けることになった場合に備える特約です。

      免疫チェックポイント阻害剤そのものが先進医療となることは少ないですが、関連する検査や治療で適用される可能性を考慮するなら検討の余地があります。
  • 自由診療対応の保険
    • 一部の免疫チェックポイント阻害剤治療や併用療法が、まだ保険適用となっていない(自由診療となる)ケースも考えられます。

      自由診療に対応できる保険は限られていますが、選択肢の一つとして情報収集する価値はあります。

すでに加入している保険がある場合は、保障内容を再確認し、免疫チェックポイント阻害剤による治療がカバーされるのか、給付条件はどうなっているのかを把握しておくことが大切です。

不明な点があれば、保険会社や保険代理店の担当者に問い合わせましょう。

これから新たに保険を検討する場合は、複数の商品を比較し、専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)などに相談することも有効な手段です。

経済的な心配を少しでも軽減し、安心して治療に専念できる環境を整えるために、費用と保険についての正しい知識を持つことが重要です。

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免疫チェックポイント阻害剤の副作用と対処法

免疫チェックポイント阻害剤は、がん治療に新たな可能性をもたらす一方で、特有の副作用が現れることがあります。

これは、免疫システムが活性化されることによって、正常な細胞も攻撃してしまうために起こるもので、免疫関連有害事象(irAE:immune-related Adverse Events)と呼ばれます。

副作用の種類や程度には個人差がありますが、早期に発見し適切に対処することが非常に重要です。

この章では、主な副作用とその対処法、早期発見のポイントについて詳しく解説します。

注意すべき主な副作用の種類

免疫チェックポイント阻害剤によって引き起こされる可能性のある主な副作用(免疫関連有害事象)には、以下のようなものがあります。

これらの症状は、治療開始から数週間~数ヶ月後、あるいは治療終了後に現れることもあります。

間質性肺炎

間質性肺炎は、肺の間質という組織に炎症が起こる病気です。

空咳(たんの絡まない咳)、息切れ、呼吸困難、発熱などの症状が現れます。

風邪の症状と似ているため見過ごされやすいですが、重症化すると命に関わることもあるため、特に注意が必要です。

疑わしい症状が出た場合は、すぐに医師や看護師に連絡してください。

大腸炎

大腸の粘膜に炎症が起こり、下痢、血便、腹痛、発熱などの症状が現れます。重症化すると腸に穴が開く(消化管穿孔)こともあります。

1日に何度もトイレに行く、便に血が混じる、お腹が強く痛むなどの症状が見られたら、速やかに医療機関に相談しましょう。

甲状腺機能障害

甲状腺ホルモンの分泌に異常が生じる副作用です。

甲状腺機能が亢進する(バセドウ病など)と、動悸、体重減少、多汗、手の震え、イライラ感などが現れます。

逆に甲状腺機能が低下する(橋本病など)と、倦怠感、むくみ、体重増加、寒気、便秘、眠気などが現れます。

定期的な血液検査で甲状腺ホルモンの値をチェックし、異常があれば内服薬などで治療を行います。

1型糖尿病

免疫系が膵臓のインスリンを産生する細胞を攻撃することで発症する、インスリン依存型の糖尿病です。

口の渇き、多飲(水分を多く摂る)、多尿(尿の回数や量が多い)、急激な体重減少、全身の倦怠感などの症状が現れます。

急激に血糖値が上昇し、重篤な糖尿病ケトアシドーシスを引き起こす可能性があるため、これらの症状に気づいたら直ちに医師に伝える必要があります。

インスリン注射による治療が生涯必要になることもあります。

皮膚障害

皮膚に様々な症状が現れることがあります。

発疹、かゆみ、皮膚の乾燥、水疱(すいほう)、ただれなどが代表的です。

軽度な場合は保湿剤やステロイド外用薬で対応しますが、広範囲に重篤な症状(スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症など)が現れることもあり、その場合は入院治療が必要になることもあります。

皮膚の変化に気づいたら、早めに医師に相談しましょう。

肝機能障害

肝臓に炎症が起こり、肝機能が悪化することがあります。

初期には自覚症状が乏しいことが多いですが、進行すると全身の倦怠感、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、発熱、吐き気、右上腹部の痛みなどが現れます。

定期的な血液検査で肝機能の数値(AST、ALT、ビリルビンなど)をチェックし、異常が見つかれば薬剤の中止やステロイド治療などが行われます。

重症筋無力症

筋肉の力が弱くなる神経筋疾患です。

まぶたが下がる(眼瞼下垂)、ものが二重に見える(複視)、手足の脱力感、食べ物が飲み込みにくい(嚥下困難)、呂律が回りにくい(構音障害)などの症状が現れます。

まれですが、呼吸筋が麻痺して呼吸困難を起こすこともあり、迅速な対応が必要です。

これらの症状に気づいたら、すぐに医師に報告してください。

これらの他にも、下垂体炎、腎機能障害、神経障害、筋炎、心筋炎など、様々な免疫関連有害事象が報告されています。

何か普段と違う体調の変化を感じたら、どんな些細なことでも医師や看護師に伝えることが大切です。

副作用の種類と主な症状、注意点をまとめた表は以下の通りです。

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副作用の種類主な初期症状特に注意すべき点
間質性肺炎空咳、息切れ、呼吸困難、発熱風邪と間違えやすいが、進行すると命に関わるため早期発見が重要。
大腸炎下痢、血便、腹痛、発熱脱水や消化管穿孔のリスク。下痢の回数や性状の変化に注意。
甲状腺機能障害(亢進症)動悸、体重減少、多汗
(低下症)倦怠感、むくみ、寒気
定期的な血液検査でのホルモン値チェックが不可欠。
1型糖尿病口渇、多飲、多尿、急激な体重減少急激な血糖値上昇による糖尿病ケトアシドーシスの危険性。
皮膚障害発疹、かゆみ、皮膚乾燥、水疱広範囲の重篤な皮膚症状に進行する可能性あり。
肝機能障害倦怠感、食欲不振、黄疸(初期は自覚症状なしも)自覚症状が出にくい場合もあるため、定期的な血液検査が重要。
重症筋無力症眼瞼下垂、複視、手足の脱力感、嚥下困難呼吸筋麻痺のリスクがあり、神経症状に注意。

より詳しい情報については、国立がん研究センターがん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」のページもご参照ください。

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副作用が出た場合の対応と治療

免疫チェックポイント阻害剤による副作用(免疫関連有害事象)が疑われる場合、または実際に現れた場合には、速やかに担当の医師や看護師、薬剤師に連絡・相談することが最も重要です。

自己判断で市販薬を使用したり、治療を中断したりすることは避けてください。

医療機関では、症状の種類や重症度に応じて以下のような対応や治療が行われます。

  • 軽度の場合
    • 慎重な経過観察、症状を和らげる対症療法(保湿剤、整腸剤、解熱鎮痛剤など)、免疫チェックポイント阻害剤の治療継続の可否判断。
  • 中等度~重度の場合
    • 免疫チェックポイント阻害剤の一時的な休薬または永続的な中止
    • ステロイド薬の投与(内服または点滴):免疫反応を抑えるために中心的な治療となります。症状が改善するまで投与し、その後徐々に減量していきます。
    • 症状が重篤な場合やステロイド治療で効果が不十分な場合には、免疫抑制剤(インフリキシマブなど)が使用されることもあります。
    • 入院による集中的な治療や検査が必要になることもあります。
    • 各診療科の専門医(呼吸器内科、消化器内科、内分泌内科、皮膚科、神経内科など)と連携して治療が行われます。

副作用の種類や重症度によっては、免疫チェックポイント阻害剤の治療を再開できる場合もありますが、医師の慎重な判断が必要です。

副作用を早期発見するためのポイント

免疫チェックポイント阻害剤の副作用は、早期に発見し、早期に治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。

以下のポイントを心がけましょう。

  • 定期的な受診と検査を必ず受ける
    • 医師は定期的な診察や血液検査、画像検査などを通じて副作用の兆候がないかを確認しています。指示された通りに受診しましょう。
  • 自身の体調変化に注意を払う
    • 「いつもと違うな」「こんな症状は初めてだ」と感じたら、どんな些細なことでも記録し、医師や看護師に伝えましょう。特に、前述したような副作用の初期症状を見逃さないことが大切です。
  • 患者向け資材や連絡カードを活用する
    • 製薬会社や医療機関から提供される、副作用に関する情報が記載された冊子や、緊急連絡先・注意すべき症状が書かれたカードなどを携帯し、内容をよく理解しておきましょう。
  • 家族や周囲の人の協力も得る
    • 患者さん自身では気づきにくい体調の変化もあるため、家族や身近な人にも副作用について理解してもらい、変化があれば教えてもらうようにしましょう。
  • 薬剤師にも相談する
    • 院外の薬局で薬を受け取る場合でも、薬剤師は副作用のモニタリングや相談に応じる重要な役割を担っています。体調の変化や不安なことがあれば、かかりつけの薬剤師にも相談してみましょう。

免疫チェックポイント阻害剤による治療は、がん細胞だけでなく、患者さん自身の免疫システムに働きかける治療法です。

そのため、副作用の現れ方も多岐にわたります。

不安な点や疑問点は遠慮なく医療スタッフに質問し、安心して治療に取り組めるようにすることが大切です。

免疫チェックポイント阻害剤治療を受ける前に知っておきたいこと

免疫チェックポイント阻害剤による治療は、がん治療における大きな進歩ですが、治療を開始する前にいくつかの重要な点について理解しておくことが、より良い治療選択と安心につながります。

ここでは、治療効果が期待できる患者さんの特徴、経済的な備え、そして納得して治療に臨むための情報収集の方法について解説します。

治療効果が期待できる患者さんの特徴

免疫チェックポイント阻害剤は、すべてのがん患者さんに同じように効果が期待できるわけではありません。

治療開始前にいくつかの検査を行い、効果が期待できるかどうかを予測することが一般的です。

これらの検査結果や患者さんの状態を総合的に判断し、医師が治療方針を決定します。

主な指標としては、以下のようなものがあります。

  • PD-L1発現率
    • がん細胞や免疫細胞の表面にあるPD-L1というタンパク質の発現率を調べる検査です。

      PD-L1の発現率が高いほど、PD-1/PD-L1阻害剤の効果が期待できるとされています。

      この検査は「コンパニオン診断薬」を用いて行われ、特定の薬剤の適応を判断するために必須となる場合があります。
  • MSI-High (マイクロサテライト不安定性が高い)
    dMMR (ミスマッチ修復機構欠損)
    • これらは、がん細胞の遺伝子変異の修復機能が損なわれている状態を示します。

      MSI-High/dMMRのがんでは、免疫チェックポイント阻害剤が高い効果を示すことがわかっており、臓器横断的な承認(特定のがん種に限らず、この遺伝子異常があれば使用できる)の根拠ともなっています。

      例えば、キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ)は、MSI-Highを有する固形がんに対して承認されています。
  • TMB (腫瘍遺伝子変異量)
    • がん細胞が持つ遺伝子変異の総量を指します。

      TMBが高いほど、免疫細胞ががんを異物として認識しやすくなり、免疫チェックポイント阻害剤の効果が高まる可能性が示唆されていますが、まだ研究段階の部分も多く、標準的な指標としては確立されていません。
  • 全身状態
    • 患者さんの日常生活の制限度を示す指標です。

      一般的に、全身状態が良好な患者さんほど、治療効果が得られやすく、副作用も管理しやすい傾向にあります。

      PSは0(まったく症状がない)から4(まったく動けない)の段階で評価されます。
  • 併用薬や既往歴
    • ステロイド剤など免疫を抑制する薬剤を長期間使用している場合や、活動性の自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症など)をお持ちの場合は、免疫チェックポイント阻害剤の使用が難しい、あるいは慎重な判断が必要となることがあります。

      これは、免疫チェックポイント阻害剤が免疫を活性化させるため、自己免疫疾患を悪化させるリスクがあるためです。

これらの情報は、あくまで一般的な傾向であり、個々の患者さんによって状況は異なります。

必ず主治医とよく相談し、適切な情報に基づいて治療選択を行うことが重要です。

がん保険や特約で備えるべきか?

免疫チェックポイント阻害剤による治療は、効果が期待できる一方で、薬剤費が高額になるケースが多いという側面があります。

治療を受けるにあたり、経済的な負担についてもしっかりと理解し、備えておくことが大切です。

まず、日本の公的医療保険制度には「高額療養費制度」があります。

これは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。

免疫チェックポイント阻害剤の治療費も、この高額療養費制度の対象となります。

上限額は年齢や所得によって異なりますので、ご自身の区分を確認しておきましょう。

詳しくは、ご加入の公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険など)にお問い合わせください。

しかし、高額療養費制度を利用しても、一定の自己負担は発生します。

また、治療が長期にわたる場合や、差額ベッド代、通院交通費、先進医療の技術料(免疫チェックポイント阻害剤の多くは保険適用されていますが、一部治療法では該当する可能性もゼロではありません)など、公的医療保険の対象外となる費用も考慮に入れる必要があります。

そこで、民間の医療保険やがん保険が役立つ場合があります。

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保険の種類・特約主な保障内容とポイント
がん診断一時金がんと診断された際にまとまった一時金が受け取れます。治療初期の費用や、当面の生活費などに柔軟に充当できます。
保険会社や商品によって、複数回支払われるタイプや、上皮内がんでも支払われるタイプなどがあります。
抗がん剤治療給付金・特約保険適用のある抗がん剤治療(免疫チェックポイント阻害剤を含む)を受けた場合に給付金が受け取れます。
月ごとや、治療法ごとなど支払い条件は様々です。高額になりがちな薬剤費の自己負担分をカバーするのに役立ちます。
通院給付金・特約がん治療のための通院に対して給付金が受け取れます。免疫チェックポイント阻害剤の治療は通院で行われることが多いため、
通院にかかる諸費用や、通院による収入減の一部補填に役立ちます。
先進医療特約公的医療保険の対象外となる先進医療を受けた場合に、その技術料相当額が保障されます。
免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療法の中には、将来的に先進医療として実施されるものが出てくる可能性も考慮できますが、
現時点では多くの免疫チェックポイント阻害剤が保険適用されている点に注意が必要です。
先進医療の内容は随時見直されるため、契約時の情報だけでなく最新の状況も確認しましょう。

がん保険や医療保険を検討する際は、ご自身の経済状況、家族構成、どのような保障を重視するかなどを総合的に考慮し、複数の保険商品を比較検討することが重要です。

既に加入している保険がある場合は、その保障内容を改めて確認し、不足している部分がないかを見直しましょう。

不明な点があれば、保険会社の担当者や保険代理店の専門家に相談することも有効です。

セカンドオピニオン、FPへの相談の重要性

免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けるかどうか、あるいはどのような治療法を選択するかは、患者さんご自身とご家族にとって非常に重要な決断です。

納得して治療に臨むためには、十分な情報を得て、多角的な視点から検討することが不可欠です。

セカンドオピニオンの活用

セカンドオピニオンとは、現在診療を受けている主治医とは別の医療機関の医師に、診断内容や治療方針について意見を求めることです。

主治医の診断や治療方針に疑問がある場合だけでなく、より多くの情報を得て納得して治療を選択したい場合にも有効です。

セカンドオピニオンを受けるメリットには、以下のようなものがあります。

  • 診断の妥当性を再確認できる。
  • 主治医とは異なる治療法や考え方を知ることができる。特に希少がんや進行がんの場合、専門性の高い医師の意見が参考になることがあります。
  • 複数の専門家の意見を聞くことで、より客観的に病状や治療法を理解できる。
  • 最終的にご自身が納得のいく治療法を選択するための判断材料が増える。

セカンドオピニオンを希望する場合は、まず主治医にその旨を伝え、紹介状(診療情報提供書)や検査データ(画像データ、病理レポートなど)を準備してもらう必要があります。

セカンドオピニオンは自由診療となることが一般的で、費用は全額自己負担となります。費用の目安は、がん専門病院などで30分~60分あたり3万円~5万円程度です。

多くの大学病院やがん専門病院にはセカンドオピニオン外来が設置されていますので、事前に調べて予約するとよいでしょう。

また、オンラインでのセカンドオピニオンに対応している医療機関も増えています。

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FP(ファイナンシャルプランナー)への相談

がん治療には、医療費だけでなく、治療中の生活費、交通費、休職や離職に伴う収入減少など、経済的な問題が伴うことが少なくありません。

特に免疫チェックポイント阻害剤のような高額な治療を受ける場合は、治療開始前に経済的な見通しを立てておくことが非常に重要です。

FP(ファイナンシャルプランナー)は、お金に関する専門家であり、以下のような相談に対応してくれます。

  • 治療費や生活費を含めた家計全体のキャッシュフロー分析と改善提案。
  • 高額療養費制度、傷病手当金、障害年金など、利用できる公的制度の案内と手続きのサポート。傷病手当金は、病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
  • 加入している生命保険や医療保険の内容確認と、給付金請求のアドバイス。
  • 住宅ローンや教育費など、治療と並行して必要となる資金計画の見直し。

がん患者さんやそのご家族専門の相談窓口を設けているFPや、がん治療と仕事の両立支援に詳しい社会保険労務士と連携しているFPもいます。

一人で悩まず、専門家の力を借りることで、経済的な不安を軽減し、安心して治療に専念できる環境を整えることができます。

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免疫チェックポイント阻害剤の最新情報と今後の展望

免疫チェックポイント阻害剤は、がん治療に革命をもたらしましたが、その進化はまだ止まりません。

現在も世界中で活発な研究開発が進められており、より多くのがん患者さんに福音をもたらすことが期待されています。

この章では、免疫チェックポイント阻害剤の最新の開発状況、注目される併用療法、そして個別化医療への期待について詳しく解説します。

新しい薬剤の開発状況

既存のPD-1/PD-L1阻害剤やCTLA-4阻害剤に続き、新たな免疫チェックポイントを標的とする薬剤の開発が精力的に進められています。

これにより、これまで効果が得られにくかったがん種や、既存薬に耐性を示した患者さんへの新たな治療選択肢が期待されます。

代表的な新しい標的分子と薬剤の例を以下に示します。

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標的分子薬剤の例(一般名)期待される役割
LAG-3レラトリマブPD-1阻害剤との併用で、T細胞の疲弊をさらに解除し、抗腫瘍効果を高めることが期待されます。
一部のがん種で既に承認されています。
TIGITチラゴルマブ
(開発中)
PD-1/PD-L1経路とは異なる機序で免疫抑制を解除し、特にPD-L1高発現のがんに対する効果増強が期待されています。
TIM-3サバトリマブ
(開発中)
T細胞の疲弊に関与し、PD-1阻害剤との併用による相乗効果が研究されています。

これらの薬剤は、単剤での効果だけでなく、既存の免疫チェックポイント阻害剤や他の治療法との併用による治療効果の向上を目指して、多くの臨床試験が進行中です。

また、治療効果を予測するためのバイオマーカーの研究も同時に進められており、より効果的な治療法の選択に繋がることが期待されています。

最新の薬剤情報については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトなどで確認することができます。

併用療法の研究動向

免疫チェックポイント阻害剤の治療効果をさらに高めるため、様々な治療法との併用療法が積極的に研究されています。

単剤では効果が限定的だった患者さんや、耐性が生じた患者さんに対しても、併用療法によって治療効果が期待できるケースが増えています。

主な併用療法の組み合わせと、その目的は以下の通りです。

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併用療法の種類主な目的・期待される効果代表的な例
免疫チェックポイント阻害剤同士の併用異なる作用機序の薬剤を組み合わせることで、免疫抑制を多角的に解除し、相乗効果を狙います。PD-1阻害剤 + CTLA-4阻害剤
(例:ニボルマブ + イピリムマブ)
化学療法(抗がん剤)との併用化学療法によってがん細胞を破壊し、がん抗原を放出させることで、免疫細胞ががんを認識しやすくします。
また、免疫抑制性の細胞を減少させる効果も期待されます。
PD-1/PD-L1阻害剤 + プラチナ製剤など
(肺がん、胃がんなど)
分子標的薬との併用分子標的薬が特定のがん細胞の増殖シグナルを阻害し、免疫チェックポイント阻害剤が免疫応答を活性化することで、
治療効果の増強を目指します。
PD-1阻害剤 + VEGF阻害剤
(腎細胞がんなど)
放射線療法との併用放射線照射によりがん細胞を破壊し、がん抗原を放出させるとともに、
免疫応答を活性化する「アブスコパル効果」(照射部位以外のがんにも効果が及ぶ現象)を誘導することが期待されます。
各種がん種で臨床試験が進行中
その他の免疫療法との併用CAR-T細胞療法などの細胞療法や、がんワクチンとの併用により、
強力な抗腫瘍免疫応答の誘導を目指す研究も進められています。
開発・研究段階

これらの併用療法は、がん種や患者さんの状態によって最適な組み合わせが異なり、現在も多くの臨床試験を通じてその有効性と安全性が検証されています。

詳細な情報や臨床試験の状況については、国立がん研究センターがん情報サービスなどがんの専門情報サイトで確認することをお勧めします。

個別化医療への期待

免疫チェックポイント阻害剤は全てのがん患者さんに効果があるわけではなく、その効果には個人差があります。

そのため、治療効果を事前に予測し、最適な治療法を選択する「個別化医療(プレシジョン・メディシン)」の実現が強く望まれています。

遺伝子パネル検査の活用

がん細胞の遺伝子変異を網羅的に調べる「がん遺伝子パネル検査」は、免疫チェックポイント阻害剤の効果予測に役立つ可能性があります。

例えば、MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)やTMB-High(腫瘍遺伝子変異量高値)といった特定の遺伝子異常が見つかった場合、免疫チェックポイント阻害剤が高い効果を示すことが報告されています。

これらのバイオマーカーに基づいて治療薬を選択する動きが広がっています。

リキッドバイオプシーの応用

血液などの体液を用いてがん由来の遺伝子変異などを検出する「リキッドバイオプシー」も、個別化医療の推進に貢献すると期待されています。

組織生検が困難な場合や、治療効果のモニタリング、耐性出現の早期発見などへの応用研究が進んでいます。

これにより、より低侵襲かつタイムリーに治療方針を決定できるようになる可能性があります。

AI(人工知能)による治療戦略の最適化

膨大な医療データ(遺伝子情報、画像情報、臨床情報など)をAI(人工知能)が解析し、個々の患者さんに最適な治療法や薬剤の組み合わせを予測する研究も始まっています。

AIの活用により、より精度の高い効果予測や副作用予測が可能になり、治療成績の向上が期待されます。

免疫チェックポイント阻害剤の分野は日進月歩であり、新しい薬剤や治療戦略が次々と登場しています。

これらの最新情報を適切に理解し、主治医とよく相談しながら、ご自身にとって最善の治療法を選択していくことが重要です。

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まとめ

免疫チェックポイント阻害剤は、がん治療における重要な選択肢の一つです。

オプジーボやキイトルーダなど複数の薬剤が登場し、肺がんや胃がん、悪性黒色腫など様々ながん種で使用されています。

治療効果が期待される一方で、高額な薬剤費や特有の副作用への理解も不可欠です。

高額療養費制度の活用や、医師との十分な相談を通じて、ご自身に合った治療法を選択することが重要と言えるでしょう。

  • 本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
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