小児がんの治療費「本体」は、小児慢性特定疾病の医療費助成や高額療養費で大きく抑えられます。
一方で、親の付き添い入院にともなう「収入減・交通費・宿泊費・差額ベッド代・食事代」といった制度の対象外コストが月に数万円規模で残り、治療が年単位に及ぶと家計を静かに圧迫します。
この記事では、その“見えにくい実費”を項目ごとに試算し、公的制度と民間保険でどう埋めるかをCancer FP®(がんファイナンシャル・プランナー)が整理します。
「子どもが小児がんと診断された。治療費は助成があると聞いたけれど、付き添いのために仕事を休むと収入はどうなるの?」——そんな不安を抱えていませんか。
家庭によっては、治療費そのものよりも、付き添い入院で生じる制度の対象外となる費用や親の収入減の影響が大きくなる場合があります。がん治療全体の自己負担の考え方はがんの高額療養費で自己負担はいくらになるかもあわせてご覧ください。
この記事でわかること
- 小児がんの付き添い入院で「何に」お金がかかるのか、費用の全体像
- 治療費本体を抑える公的制度(小児慢性特定疾病助成・高額療養費)の範囲
- 差額ベッド代・交通費・宿泊費・食事代など「制度の対象外」実費の試算
- 親の収入減は、家計負担が大きくなることがあるため、公的サポートとその限界
- 制度で埋まらない部分に民間保険がどう役立つか(FP視点)
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小児がんの付き添い入院、何にお金がかかる?費用の全体像
まず押さえておきたいのは、小児がんでかかるお金は大きく「治療費の本体」と「制度の対象にならない実費」の2つに分かれる、ということです。
小児がんは、0〜14歳で年間約2,500人が診断される病気です(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「小児がんの患者数(がん統計)」2023年時点)。決して多くはありませんが、いざ我が子が対象になると、家計は治療費以外の出費に直面します。
治療費の本体(手術・抗がん剤・入院など保険診療の窓口負担)は、後述する公的制度で大きく軽減されます。ところが、次の表の右側にある「制度の対象外コスト」は、原則として助成の対象になりません。ここが家計にとっての盲点です。
| 制度で抑えられる「治療費本体」 | 制度の対象外になりやすい「実費」 |
|---|---|
| 手術・検査・投薬などの保険診療 | 希望して個室を使った場合の差額ベッド代 |
| 入院基本料など保険診療分 | 付き添う親・面会家族の交通費 |
| (助成後は月額上限まで) | 遠方通院・宿泊のホテル代等 |
| — | 付き添う親自身の食事代 |
| — | 親が働けないことによる収入減 |
治療費本体そのものの目安(三大治療の費用感や助成後の自己負担)は、姉妹記事で数字を追って解説しています。本記事は、その先にある“見えにくい実費と収入減”に絞って掘り下げます。

樋口貴士 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
ご相談を受けていて感じるのは、「治療費は制度でなんとかなった。でも、その周りのお金で想定が狂った」という声が多いことです。
まずは“制度で守られる部分”と“自腹で残る部分”を分けて考えると、家計の見通しがぐっと立てやすくなります。
治療費「本体」は公的制度でどこまで抑えられる?
結論から言うと、小児がんの治療費本体は、多くの家庭で月数千円〜1万5,000円程度の自己負担にまで抑えられる場合があります。支えているのが、子ども向けの「小児慢性特定疾病の医療費助成」と、公的医療保険の「高額療養費制度」です。

小児慢性特定疾病の医療費助成(自己負担2割・月額上限0〜15,000円)
小児がんの多くは「小児慢性特定疾病」に該当し、認定されると医療費の自己負担が2割に軽減され、さらに世帯の所得に応じた月額の自己負担上限が設けられます。上限は、生活保護世帯で0円、低所得層で1,250〜2,500円、一般所得層で5,000〜15,000円の範囲です(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「小児の医療費の助成制度」2023年時点)。対象は原則18歳未満で、引き続き治療が必要と認められる場合は20歳未満まで延長されます(出典:同上)。
| 階層区分(イメージ) | 1か月の自己負担上限額 |
|---|---|
| 生活保護 | 0円 |
| 低所得 | 1,250円〜2,500円 |
| 一般所得 | 5,000円〜15,000円 |
高額療養費制度(所得区分ごとの月額上限)
小児慢性の助成対象にならない診療がある場合でも、公的医療保険の高額療養費制度で1か月の窓口負担に上限が設けられます。69歳以下の会社員世帯(区分ウ・年収約370万〜770万円)なら、1か月に100万円の医療費がかかっても自己負担は約9万2,940円が目安です(2026年8月診療分からの金額。85,800円+〈1,000,000円−286,000円〉×1%で計算。出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」2026年8月15日確認)。直近12か月で3回以上上限に達した場合は「多数回該当」となり、区分ウでは4回目以降が44,400円に下がります(出典:同上)。
樋口貴士 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
小児慢性特定疾病の助成と高額療養費は、いずれも自己負担に上限を設けるしくみですが、認定の時期や対象外となる費用もあるため、ご家庭でどこまで軽減されるかは病院の相談窓口や加入先の医療保険者に確認してください。
だからこそ、次にお話しする“制度の外にある実費”を先に把握しておくことが大切です。
ここが盲点|制度の対象にならない「実費」を一つずつ試算
ここからが本題です。付き添い入院で残るお金の多くは、公的助成の対象になりません。
実際、小児慢性特定疾病の助成の説明でも、希望して入った個室の差額ベッド代・通院交通費・宿泊費・書類作成費は助成の対象外と明記されています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「小児の医療費の助成制度」2023年時点)。項目ごとに見ていきましょう。
差額ベッド代(希望して個室を使う場合は1日あたり数千円〜)
付き添い入院では、親が付き添える環境や感染対策のために個室を希望するケースがあります。患者や家族の希望で個室に入った場合の差額ベッド代(特別療養環境室料)は、令和7年8月1日現在で1日あたり平均が個室(1人室)で8,710円、全区分の平均で7,026円です(出典:中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和7年8月1日現在)。仮に個室を1か月利用すると、8,710円×30日で約26万1,000円にもなり得ます。
交通費・宿泊費(遠方の専門病院に通う場合ほど重い)
小児がんは専門的な治療ができる病院が限られるため、自宅から遠い病院に通うご家庭も少なくありません。親の面会・付き添いの往復交通費、きょうだいの送り迎え、遠方の場合の宿泊費が積み重なります。これらの交通費・宿泊費も公的助成の対象外です(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「小児の医療費の助成制度」2023年時点)。病院によっては低額で泊まれる患者家族滞在施設が用意されていることもあるため、まず病院の相談窓口(がん相談支援センター等)に相談してみてください。
付き添う親の食事代・日用品(毎日の“小さな出費”が続く)
子どもの入院時の食事は「入院時食事療養費」として一部が公費でまかなわれますが、付き添う親自身の食事代は自己負担です。院内のコンビニや売店での食事・飲み物、洗濯代、消耗品などの“小さな出費”が毎日続くと、月単位ではまとまった金額になります。
制度外コストの月額シミュレーション(イメージ)
ここまでの項目を、遠方の病院に付き添い入院した場合のイメージとして1か月分に置き換えると、次のようになります。金額は状況で大きく変わるため、あくまで考え方の目安としてご覧ください。
| 制度外コストの項目 | 1か月あたりの試算イメージ |
|---|---|
| 差額ベッド代(希望して個室・1日8,710円想定) | 0円〜約261,000円 |
| 交通費(面会・きょうだいの送迎など) | 約10,000円〜30,000円 |
| 宿泊費(遠方・施設が満室の場合) | 0円〜数万円 |
| 付き添う親の食事代・日用品 | 約20,000円〜40,000円 |
| 制度外コスト合計(例) | おおむね月3万円〜30万円超 |
樋口貴士 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
差額ベッド代を「希望するかどうか」で、月の負担は大きく変わります。
付き添いの体制・感染対策の必要性・家計のバランスを、主治医やソーシャルワーカーと相談しながら決めていくと後悔が少ないです。判断に迷ったら、公的支援と保険の両面から一緒に整理できます。
家計への負担が大きくなりやすい「親の収入減」|働けない間のお金をどう埋める
制度外コストの中でも、家計への影響が大きくなりやすいのが「親の収入減」です(影響の大きさはご家庭の就労状況によって異なります)。付き添いや通院のために仕事を休んだり、時短にしたり、退職したりすると、毎月の収入そのものが減ってしまいます。ここは支出以上に見落とされがちなポイントです。

傷病手当金は「本人が療養するため」の制度|子の付き添いは原則対象外
ここで注意したいのが、傷病手当金の対象です。傷病手当金は「被保険者本人が業務外の病気やケガの療養のために働けないとき」に支給される制度です(出典:全国健康保険協会「傷病手当金」2026年7月時点)。つまり、親自身が病気で療養しているわけではなく、子どもの付き添いのために働けない場合は、原則として傷病手当金の対象にはなりません。ここを勘違いしていると、収入減への備えが手薄になりがちです。
使える可能性がある「介護休業・介護休業給付金」
一方で、子どもが「2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態(要介護状態)」にあたる場合は、育児・介護休業法の介護休業を利用できる可能性があります。介護休業の対象家族には「子」も含まれ、対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できます(出典:厚生労働省「介護休業|介護休業制度特設サイト」2026年時点)。雇用保険に加入していて要件を満たせば、休業中に「介護休業給付金」として休業開始時賃金日額の67%が支給される場合があります(出典:厚生労働省「Q&A〜介護休業給付〜」2026年時点)。
収入減シミュレーション(イメージ)
たとえば、月収30万円の親が付き添いのために3か月間ほぼ働けなくなったケースを考えてみます。給与がゼロになると、単純計算で90万円の収入が失われます。傷病手当金は原則対象外、介護休業給付金が使えても支給は賃金の67%・通算93日までが上限のため、失われた収入をすべて補えるとは限りません。
| 項目 | 金額イメージ(月収30万円・3か月休業の例) |
|---|---|
| 失われる給与(3か月・無給の場合) | 約900,000円 |
| 傷病手当金 | 原則対象外(本人の療養ではないため) |
| 介護休業給付金(使える場合) | 賃金日額の67%・対象家族1人につき通算93日まで |
| 差し引き残るマイナス | 制度を使っても収入減少することがある |
樋口貴士 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
「支出が増える」ことは意識しやすいのですが、「収入が減る」ことは家計簿に赤字として現れるまで気づきにくいものです。
付き添いで働き方を変える可能性がある方は、貯蓄でどこまで持ちこたえられるか(生活費の何か月分あるか)を早めに確認しておくと安心です。
わが家の付き添い費用を出すために書き出す5項目
記事では費用の内訳と考え方を整理しましたが、「あなたのご家庭でいくらになるか」までは答えられません。病院までの距離、勤務先の制度、きょうだいの有無で金額が大きく変わるためです。次の5つを書き出すと、自分の金額が出せます。
- 病院までの片道交通費 × 想定回数:付き添いの交代がある場合は往復の回数が増えます
- 付き添い者の食事代(1日あたり):入院時食事療養費の対象は患者本人のみで、付き添う側は全額自己負担です
- 宿泊が必要な日数と1泊あたりの費用:病院近くの滞在施設が使えるかどうかで金額が変わります
- きょうだいの預け先の費用(月額):延長保育・一時預かり・実家への交通費など
- 付き添いで減る月収と、勤務先で使える休暇:有給を使い切ったあとが無給かどうかで、月ごとの落ち込みが決まります
①〜④の合計に⑤を足したものが、1か月あたりの実質的な負担です。これに想定月数を掛けると備えるべき金額になります。ここから先で迷うのは、①勤務先ごとに休暇制度が違う/②同じ名前の給付金でも支払条件が違う/③自分の契約の中身は検索では出てこない/④診断後は契約内容を変えられないためです。
治療は年単位に及ぶことも|長期化したときの家計インパクト
付き添い費用や収入減が家計に影響しやすい理由の一つとして、小児がんの治療が長期にわたる場合があることが挙げられます。単発の出費なら貯蓄で乗り切れても、月々の負担が1年以上続くとなると話は変わります。
白血病では維持療法を含め最低2年が勧められることも
小児がんの中で最も多い急性リンパ性白血病では、寛解導入療法(4〜5週間)から始まり、その後の強化療法、そして通院で行う維持療法まで含めて、最低2年間の治療が勧められています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「白血病〈小児〉 治療」2024年時点)。維持療法の時期は通常の学校生活を送れることが多い一方で、通院や定期的な検査は続きます。小児がんでは治療成績の改善が報告されていますが、病型や病状によって経過は異なるため、家計面では長期的な備えも考慮することが重要です。
教育費との「二重負担」に注意
子育て世帯では、治療にかかるお金と並行して教育費も出ていきます。たとえば公立小学校の学習費は年間約36万7,000円が目安です(出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」令和6年12月公表・令和8年1月訂正版)。付き添いで収入が減っている時期に、きょうだいの教育費や習い事の費用が重なると、家計の圧迫感はさらに強まります。だからこそ、治療費だけでなく「暮らし全体のお金の流れ」で備えを考える必要があります。
樋口貴士 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
長期化に強い家計とは、「一度に大きく払える家計」よりも「毎月の収支が崩れても持ちこたえられる家計」です。
貯蓄・共働きの有無・使える制度・保険を一枚の絵にして、どこから取り崩し、どこを保険で補うかを決めておくと、いざというときに迷いません。
制度で埋まらない部分に、民間保険はどう役立つ?(FP視点)
ここまで見てきたように、治療費本体は公的制度でかなり抑えられますが、付き添いの実費と親の収入減は制度の外に残ります。この“残る部分”を埋める選択肢のひとつが民間保険です。ただし、保険で何を備えるかは、家庭ごとの状況によって異なります。

子ども自身の保険は「治療が続く間の月額の給付」を意識する
子ども向けの備えを考えるなら、治療が長引くことを踏まえて、抗がん剤治療などの実際の治療に対して月ごとに給付される「治療給付金型」のしくみが、現在の治療実態に合いやすいと考えられます。まとまったお金を一度に受け取れる診断一時金型は、使い道の自由度がある一方で、治療内容や生活スタイルによって向き不向きがあるため、中立的に比較して選ぶのがよいでしょう。子どもの医療保険とがん保険の考え方の違いは、姉妹記事こどもの保険は医療保険よりがん保険という視点もあわせてご覧ください。加入のタイミングで迷う方は子供のがん保険はいつから入るのがよいかも参考になります。
見落とされがちな「親自身の保障」も一緒に考える
付き添い費用や収入減の話をすると、つい「子どもの保険」に目が向きがちですが、家計を支える親自身の保障を整えておくことも同じくらい大切です。もし稼ぎ手である親ががんなどで働けなくなれば、子どもの治療と家計が同時に揺らぎます。親自身のがん保険(治療給付金型)や、働けない期間の収入を支える就業不能・収入保障タイプの保障を、家計全体の中で優先順位をつけて検討するとよいでしょう。がん治療中の収入減への公的サポートは傷病手当金など公的支援のまとめで全体像を確認できます。
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「子どものために」と考える親御さんほど、実は“親自身の備え”が家計を守る土台になります。
子の保険・親の保険・公的制度を別々にではなく、家計全体の一枚の設計図として並べて考えると、ムダなくヌケなく備えられます。
我が家は備えるべき?付き添い費用への向き合い方
付き添い費用にどこまで備えるべきかは、ご家庭の状況によって変わります。次のような点を目安に、我が家のリスクの大きさを整理してみてください。
- 専門病院が自宅から遠いか(遠いほど交通費・宿泊費・付き添い負担が大きい)
- 付き添いで仕事を休む・時短にする可能性があるか(収入減リスク)
- 共働きか、収入の柱が一本か(一本ほど収入減の影響が大きい)
- 生活費の何か月分の貯蓄があるか(長期化に耐えられるか)
- きょうだいの教育費など、同時に出ていくお金があるか
これらに「当てはまる」が多いほど、制度外コストと収入減の影響を受けやすい家計といえます。貯蓄で十分に備えられる家庭もあれば、保険で毎月の給付を確保しておくことで安心して治療に専念できる家庭もあります。正解は一つではありません。
樋口貴士 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
「備えすぎ」も「備えなさすぎ」も家計にはよくありません。
大切なのは、公的制度で守られる部分を正しく理解したうえで、我が家に残るリスクの分だけ保険や貯蓄で補うことです。判断に迷ったら、プロと一緒に数字で整理してみてください。
患者さんのご家族の声(体験談イメージ)
体験談1:治療費より「通いのお金」が想定外だった(40代・母)
「治療費は助成があると聞いて少し安心していました。でも、実際に始まってみると、片道1時間半の病院への交通費、付き添いの日の私の食事代、感染対策で個室を希望したときの差額ベッド代…と、毎日少しずつお金が出ていくんです。1か月の請求とは別に、財布から静かに消えていく感覚でした。」
体験談2:付き添いで働けず、収入が半分に(30代・父)
「妻と交代で付き添うために、私も仕事をかなりセーブしました。傷病手当金は私が病気じゃないから出ないと言われて、正直そこは盲点でした。貯金を取り崩しながらの数か月は、精神的にもきつかったです。もっと早く、収入が減ったときの備えを考えておけばよかったと思います。」
体験談3:早めに家計を整理して落ち着けた(40代・母)
「診断のあと、すぐにFPさんに家計を見てもらいました。使える制度、貯蓄で持つ期間、足りない分を保険でどう補うかを一枚の表にしてもらえたことで、お金の不安に振り回されずに治療に集中できました。全部を保険でまかなうのではなく、制度と貯蓄と保険の“配分”を決められたのが大きかったです。」
よくある質問(Q&A)
Q. 小児がんの付き添い入院って、結局いくらくらいかかるの?
A. 治療費「本体」は、小児慢性特定疾病の医療費助成(自己負担2割・月額上限0〜15,000円)や高額療養費でかなり抑えられます(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「小児の医療費の助成制度」2023年時点)。一方で、差額ベッド代・交通費・宿泊費・親の食事代といった制度外コストが月に数万円〜十数万円規模で残り、加えて親が働けないことによる収入減が重なります。総額は通う病院の距離や付き添い体制で大きく変わるため、「治療費以外に月いくら出ていくか」で見積もるのがコツです。
Q. 付き添いで仕事を休んだら、傷病手当金ってもらえるの?
A. 原則としてもらえません。傷病手当金は「被保険者本人が病気やケガの療養のために働けないとき」の制度なので、親自身が病気ではなく、子どもの付き添いのために働けない場合は対象外になるのが基本です(出典:全国健康保険協会「傷病手当金」2026年7月時点)。ただし、子どもの状態によっては介護休業・介護休業給付金を利用できる可能性があります。勤務先とハローワークに確認してみてください。
Q. 差額ベッド代って、個室に入ったら絶対払わないといけないの?
A. いいえ、必ずしもそうではありません。差額ベッド代がかかるのは、患者や家族が「希望して」個室などに入った場合です。令和7年8月1日現在の1日あたり平均は、個室(1人室)で8,710円、全区分の平均で7,026円です(出典:中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和7年8月1日現在)。病院側の都合で個室になった場合は、原則として請求されません。個室をすすめられたら、同意書へのサインが必要かどうかを確認しましょう。
Q. 遠くの病院に通うことになったら、交通費や宿泊費の助けはあるの?
A. 交通費や宿泊費は、小児慢性特定疾病の医療費助成の対象外です(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「小児の医療費の助成制度」2023年時点)。ただし、病院によっては低額で泊まれる患者家族用の滞在施設が用意されていたり、地域や団体の支援制度が使えたりする場合があります。まずは病院の相談窓口(がん相談支援センターやソーシャルワーカー)に相談してみると、利用できる支援が見つかることがあります。
Q. 治療ってどのくらい続くの?お金の備えはいつまで必要?
A. がんの種類によりますが、たとえば小児で最も多い急性リンパ性白血病では、維持療法まで含めて最低2年間の治療が勧められています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「白血病〈小児〉 治療」2024年時点)。維持療法の時期は学校生活を送れることも多い一方で、通院や検査は続きます。単発の出費ではなく「月々の負担が年単位で続くかもしれない」という前提で、貯蓄や保険の備えを考えておくと安心です。
Q. 治療費は制度で足りるなら、保険っていらないんじゃないの?
A. 治療費「本体」だけを見ればそう感じるかもしれません。ただ、この記事で見てきたように、制度でカバーされないのは付き添いの実費と親の収入減です。ここに不安がある場合、月ごとに給付される治療給付金型の保険などが役立つ場面があります。保険が必要かどうかは家庭の状況次第なので、いらない可能性も含めて中立に検討したい方はこどものがん保険はいらないのかをデータで検証した記事もあわせてご覧ください。
Q. 親の食事代まで自己負担なの?子どもの入院食は?
A. 入院しているお子さん自身の食事は「入院時食事療養費」として一部が公費でまかなわれますが、付き添う親の食事代は自己負担です。院内の売店やコンビニでの食事・飲み物代は、1日あたりでは小さくても、付き添いが長引くとまとまった金額になります。日用品や洗濯代なども含めて、「毎日出ていく小さな出費」を家計に織り込んでおくと、想定外を防げます。
Q. まず何から準備すればいい?
A. 最初のステップは、使える公的制度(小児慢性特定疾病の医療費助成・高額療養費・自治体の子ども医療費助成)を病院の相談窓口で確認することです。そのうえで、制度で残る「実費」と「収入減」がどのくらいかを見積もり、貯蓄でどこまで耐えられるかを把握します。足りない部分をどう補うかで迷ったら、家計全体を俯瞰できるCancer FP®(がんファイナンシャル・プランナー)に相談すると、制度・貯蓄・保険の配分を整理できます。
この記事のまとめ
- 治療費「本体」は小児慢性特定疾病の医療費助成(2割・月額上限0〜15,000円)と高額療養費で大きく抑えられる
- 差額ベッド代(希望個室で1日8,710円)・交通費・宿泊費・親の食事代は原則として制度の対象外
- 傷病手当金は本人の療養向けで、子の付き添いは原則対象外。介護休業・介護休業給付金が使える場合がある
- 白血病では維持療法を含め最低2年など、治療は長期化することがある。教育費との二重負担にも注意
- 制度で埋まらない実費と収入減は、治療給付金型の保険や親自身の保障で補う選択肢がある(家庭により要否は異なる)
お子さんの治療に専念するためにも、お金の不安は早めに整理しておきたいものです。付き添い費用や収入減にどう備えるかは、ご家庭の状況によって最適解が変わります。がん保険全体の選び方を俯瞰したい方はがん保険おすすめランキング|人気商品を徹底比較もご活用ください。「我が家の場合はどうすれば?」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献(一次情報)
- 国立がん研究センターがん情報サービス「小児がんの患者数(がん統計)」(小児がんの年間患者数 約2,500人の根拠)
- 国立がん研究センターがん情報サービス「小児の医療費の助成制度」(小児慢性特定疾病の助成内容・対象外費用の根拠)
- 国立がん研究センターがん情報サービス「白血病〈小児〉 治療」(小児白血病の治療期間の根拠)
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(自己負担上限・多数回該当・2026年8月改定の根拠)
- 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」(差額ベッド代 1人室8,710円・全区分平均7,026円/令和7年8月1日現在の根拠)
- 全国健康保険協会「傷病手当金」(支給要件が本人の療養であることの根拠)
- 厚生労働省「介護休業|介護休業制度特設サイト」(対象家族に子を含む・要介護状態・通算93日の根拠)
- 厚生労働省「Q&A〜介護休業給付〜」(介護休業給付金 賃金日額の67%の根拠)
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(公立小学校の年間学習費 約36万7,000円の根拠)





