共働き夫婦が「どちらががん保険に加入するか」を考える際に、収入が多い人を優先するだけでは不十分と言えます。
判断材料は、①世帯収入に占める各人の収入の割合(収入比率)、②その人が倒れたときに発生する家事・育児の代替コスト、③公的制度でカバーしきれない収入減リスク、の3つ。
結論としては「先に1人」を選ぶなら世帯収入の大黒柱ですが、子育て中の共働きの場合では夫婦同時にどちらも一定の備えを持つことをお勧めします。
「共働きだから、がん保険は夫婦どちらか1人でいいよね?」「入れるなら、どちらを先に手厚くすべき?」——子育て中の共働き世帯から、Cancer FP®(がんファイナンシャル・プランナー)に多く寄せられる相談のひとつです。
共働き世帯は2025年時点で約1,333万世帯と、専業主婦世帯(約476万世帯)の約2.8倍にのぼります。出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)「専業主婦世帯と共働き世帯」(2025年時点)。ところが、がん保険に加入する際、「夫が世帯主だから夫に」「なんとなく2人とも最低限」と、根拠があいまいなまま決めてしまうケースが見受けられます。
この記事でわかること
- 共働き夫婦が「どちらに・どの順番で」がん保険をかけるか、の根拠となる考え方
- 収入比率・家事育児の代替コスト・収入減リスクの3軸での判断手順
- 夫・妻それぞれが倒れたときに世帯で起きる「お金の穴」の正体
- 高額療養費・傷病手当金など公的制度でどこまでカバーできるか
- 子育て中の共働きが優先すべき保障タイプ(治療給付金型)の理由


共働き夫婦のがん保険はどちらが入る?結論と考え方

まず結論からお伝えします。
「予算の都合で先に1人だけ」という場合は、世帯収入に占める割合がいちばん大きい人(世帯の大黒柱)を優先するのが原則です。その人が長期に働けなくなった場合、家計へのダメージが非常に大きいからです。
ただし、子育て中の共働き世帯においては「収入が少ない側」を後回しにしすぎるのも危険です。
たとえば妻が時短勤務で収入が夫の半分であったとしても、家事・育児の大半を担っていて、その妻が長期の入院・通院に至った場合、その家事・育児の穴を埋めるために家事代行やベビーシッターという「外注コスト」が新たに発生する可能性があります。これは平時の家計簿からは見えにくい、隠れた支出です。
そこでCancer FP®がおすすめしているのが、次の3つの軸で「どちらを・どこまで手厚くするか」を考える方法です。
- 軸1:収入比率(世帯収入のうち、その人が稼いでいる割合)
- 軸2:家事・育児の代替コスト(その人が倒れたら外注にいくらかかるか)
- 軸3:収入減リスク(公的制度で補えない部分がどれだけ残るか)
「収入が多い方だけ」と決めつけず、この3軸でみると、共働き×子育て世帯は「金額に差はつけても、夫婦どちらにも一定の備えを残す」という結論になります。なお、日本人が生涯でがんと診断される確率は男性61.1%・女性50.1%と、性別を問わず高い水準です。出典:国立がん研究センター「最新がん統計」(2023年データ)。
杉野哲也 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
共働きのご相談で多いのが「夫だけ手厚く、妻は最低限」というパターンです。でも実際に家計が苦しくなりやすいのは、家事育児の主担当が倒れたとき。収入だけでなく「いなくなったら何にお金がかかるか」までセットで考えると、配分が変わってくることがよくあります。
軸1:収入比率で「どちらを優先するか」を決める
最初の判断材料は、世帯収入のうち、その人がどれだけ稼いでいるかという「収入比率」です。
がん治療で長期に働けなくなると、その人の収入が大きく減る可能性があります。だからこそ、世帯への打撃が大きい人ほど、手厚い備えが必要になります。
収入比率のタイプ別・優先度の目安
共働きといっても収入のバランスはさまざまです。代表的な3タイプで、優先度の考え方を整理します。
| 収入バランスのタイプ | 優先して手厚くする人 | もう一方の考え方 |
|---|---|---|
| 夫7:妻3など差が大きい | 収入の多い側(大黒柱)を最優先 | 少ない側も「家事育児代替コスト」分は確保 |
| 夫6:妻4〜5:5に近い | 夫婦ともに同程度に手厚く | どちらが欠けても家計が回らないため均等が基本 |
| 片方が時短・パート中心 | フルタイム側を優先 | 時短側は治療中の家事外注費を見込んで備える |
ポイントは「収入が少ない=備えはいらない」ではないことです。
収入比率は『先に・より手厚く備えるのはどちらか』という優先順位を決めるための軸であって、片方をゼロにしてよいという意味ではありません。
杉野哲也 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
「世帯主=夫だから夫を優先」と思い込みがちですが、判断軸は性別や名義ではなく『稼ぎの大きさ』と『家事育児の担い具合』です。共働きは、夫婦をワンセットで見て配分を決めるのがコツです。
軸2:家事・育児の代替コストという「見えない損失」

共働き×子育て世帯のがん保険を考えるうえで、いちばん見落とされがちなのが「家事・育児の代替コスト」です。
家事や育児は通常は無償の労働ですが、経済的にはしっかりと経済的価値があります。内閣府の試算でも、家事などの無償労働は国全体で巨額の価値を持ち、その大半(約9割)を女性が担っているとされています。出典:内閣府経済社会総合研究所「無償労働の貨幣評価について」(内閣府ESRI)。
つまり、家事育児の主担当が長期入院・通院すると、家計には「収入が減る」だけでなく「これまでタダでやっていた家事育児を、お金を払って外注する」という新しい支出が生まれる可能性があります。これが代替コストです。
代替コストはいくらかかる?外注費の試算例
家事育児の主担当が、治療で3か月ほど通常どおり動けなくなったケースを、外注の市場相場で試算してみます。下記は一般的なサービス料金からの概算で、地域・利用頻度により変わります。
| 外注する内容 | 料金の目安 | 3か月の概算 |
|---|---|---|
| 家事代行(週2回・1回2〜3時間) | 1時間あたり約3,000〜4,000円 | 約14万〜24万円 |
| ベビーシッター(週2回・1回3時間) | 1時間あたり約2,000〜3,500円 | 約14万〜25万円 |
| 病児・送迎などのスポット利用 | 1回あたり数千円 | 数万円〜 |
| 外食・総菜の増加 | 1か月あたり数万円 | 約6万〜15万円 |
このように、家事育児の主担当が倒れると、3か月でも数十万円規模の追加支出になることが考えられます。
収入が少ない側であっても、家事育児の主担当であれば、この代替コストを賄える分の保障は確保しておきたい。これが「収入比率だけで判断してはいけない」最大の理由です。
杉野哲也 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
相談現場で「妻のがん保険は最低限でいい」と話していたご夫婦も、家事育児の外注費を一緒に試算すると「これは妻側こそ手厚くしないと回らない」と気づかれることが多いです。見えない損失は、数字を具体的に積み上げることで一気に見えてきます。
軸3:収入減リスクと公的制度でカバーできる範囲
3つめの軸は、がんで働けなくなったときの「収入減リスク」です。
ここで大切なのは、いきなり民間のがん保険を考えるのではなく、まず公的制度でどこまでカバーできるかを把握することです。公的制度を踏まえずにあわてて保険を選ぶと、過剰な保障に保険料を払いすぎることになりかねません。
治療費は高額療養費制度でどこまで抑えられる?
がん治療の医療費は、公的医療保険の高額療養費制度によって、ひと月あたりの自己負担に上限が設けられています。69歳以下の自己負担上限額(ひと月)は、所得区分ごとに次のとおりです。
| 所得区分(標準報酬月額) | ひと月の自己負担上限額 | 多数回該当(4回目以降) |
|---|---|---|
| 区分ア:83万円以上 | 270,300円+(医療費-901,000円)×1% | 140,100円 |
| 区分イ:53万〜79万円 | 179,100円+(医療費-597,000円)×1% | 93,000円 |
| 区分ウ:28万〜50万円 | 85,800円+(医療費-286,000円)×1% | 44,400円 |
| 区分エ:26万円以下 | 61,500円 | 44,400円 |
| 区分オ:住民税非課税 | 36,900円 | 24,600円 |
たとえば年収約370万〜770万円の区分ウなら、医療費が100万円かかった月でも、自己負担は約9万2,940円に抑えられます。出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年6月時点)。ただし、この制度には2026年8月から段階的な上限額の見直しが始まり、第1段階が施行されました。実際の負担額は最新情報を厚生労働省サイトで確認してください。
働けない間の収入は傷病手当金でどこまで補える?
会社員・公務員が病気で働けず給与が出ないとき、健康保険から傷病手当金が支給されます。
支給額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額を30で割った金額(日額)の3分の2が目安です。支給期間は通算で1年6か月(2022年1月の改正で「通算」になりました)。出典:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(2026年6月時点)。
ここで共働きならではの注意点があります。
傷病手当金は給与のおおむね3分の2までしか補えないため、残り3分の1は収入減のままです。さらに、自営業・フリーランスで国民健康保険加入の方は、原則として傷病手当金の対象外です。よって夫婦のどちらかが自営業もしくはフリーランスの場合、その人の収入減リスクは会社員より大幅に大きくなります。
共働き世帯の収入減シミュレーション
夫の月収40万円・妻の月収25万円(ともに会社員)の共働き世帯で、夫ががんで3か月休職したケースを試算します。
- 休職中の夫の収入:給与は止まるが、傷病手当金で月収の約3分の2(約26.7万円)を受給
- 減ってしまう収入:月あたり約13.3万円(3か月で約40万円)が手取りから消える
- 増える支出:高額療養費の上限内でも医療費の自己負担、差額ベッド代、通院交通費が上乗せ
- 妻の負担増:看病と家事育児が妻に集中し、妻も時短や休職に追い込まれると世帯収入はさらに減少
このように、公的制度を使っても「収入の3分の1減+治療関連の自己負担」を完全に埋めることはできません。。
これをカバーするのが、民間のがん保険の役割です。共働きは収入源が2つある分、片方が倒れても世帯収入がゼロにはなりませんが、子育て中は必ずしもその限りではなく、家計を直撃する可能性が十分考えられます。より詳しい備え方は がん治療中の収入減少にどう備える?傷病手当金・保険の全対策 でも解説しています。
杉野哲也 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
「共働きだから片方が倒れても大丈夫」は半分正解、半分要注意です。確かに世帯収入はゼロにはなりません。でも子育て中は、看病する側まで働き方を変えざるを得ないなど、結果として2人分の収入が同時に減る可能性があります。だからこそ公的制度でカバー仕切れない部分を想定し、そこを補うために民間保険に加入しておくことには大きな意味があります。
夫・妻それぞれが「がんになったら」起きること
3つの軸を踏まえて、夫が倒れた場合・妻が倒れた場合で、世帯に起きることを整理します。どちらにも固有のリスクがあることがわかります。
夫(収入の柱)ががんになった場合
- 世帯収入のメインが大きく減る(傷病手当金でも3分の1は減少)
- 住宅ローンの返済は変わらず続くため、固定費の負担感が一気に増す
- 妻が看病と家計の両方を背負うことで、妻の働き方も制限される可能性がある
妻(家事育児の主担当)ががんになった場合
- 妻の収入減に加え、家事育児の代替コスト(外注費)が新たに発生
- 夫が育児・家事のために時短勤務や休暇取得が増えると、今後の夫の収入も減る可能性がある
- 女性は乳がん・子宮頸がんなど、30〜40代の働き盛り・子育て期に罹患しやすいがんがあるため家計への影響が生じやすい
とくに女性は、乳がんなどで比較的若い年代から罹患リスクが高まる特徴があります。子育て期と重なりやすいため、「妻は収入が少ないから後回し」という判断は、実態に合わないことが多いのです。出典:国立がん研究センター「最新がん統計」(2023年データ)。
実際のデータでも、がんと診断された就労者のうち19.4%が退職・廃業しており、そのうち58.3%が最初の治療開始前に退職していました。出典:国立がん研究センター「令和5年度患者体験調査結果報告」(2025年公表)。働き続けたくても、治療と仕事の両立は決して簡単ではないという現実があることを理解しておきましょう。
杉野哲也 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
夫が倒れたら「収入の穴」、妻が倒れたら「収入の穴+家事育児の外注の穴」。穴の種類が違うので、必要な備えの方法も変わります。どちらか一方だけを想定して保険を組むと、もう一方が倒れたときに足りなくなりがちです。
共働き×子育て世帯が選ぶべき保障タイプ

「どちらに入るか」が決まったら、次は「どんな保障タイプにするか」です。
共働き×子育て世帯にCancer FP®がおすすめしているのは、診断時にまとまったお金を一度受け取るタイプより、治療を受けている期間に応じて月ごとに繰り返し給付を受けられる「治療給付金型」を軸にする考え方です。
理由は、現在のがん治療が入院中心から外来(通院)中心へと移っているからです。抗がん剤治療や放射線治療は、長期間にわたって通院しながら続けることが多く、その間ずっと収入減や家事育児の代替コストが続きます。治療期間に応じて給付が続く治療給付金型は、こうした「長く続く負担」に合いやすいのです。
夫婦で備えるときの配分パターン
予算には限りがあるため、夫婦で「どう配分するか」が現実的な悩みになります。代表的な3つの組み方を整理します。
- 大黒柱厚め型:収入の柱を手厚く、もう一方は家事育児代替コスト分を確保(収入差が大きい世帯向け)
- 均等型:夫婦ともに同程度の治療給付金型で備える(収入が近い・どちらも家事育児を担う世帯向け)
- 先進医療・通院重視型:基本保障に先進医療特約や通院への備えを加える(治療の選択肢を広げたい世帯向け)
なお、先進医療特約は月数百円程度の保険料で、陽子線治療(1コースあたり約240〜300万円)や重粒子線治療(1コースあたり約300〜350万円)といった高額な技術料に備えられる商品が多く、通算2,000万円までを保障するタイプが一般的です。ただし、保障内容や保障上限金額は商品ごとに異なります。具体的な商品選びは、各社の公式情報を確認しながら個別に判断してください。
子どものがんへの備えを別に考えたい場合は、こどもの保険は医療保険よりがん保険 もあわせてご覧ください。
杉野哲也 | Cancer FPCancer FP®のひとこと POINT
共働きは「2人分の保険料」で予算が膨らみがちです。だからこそ、診断一時金も通院も先進医療も全部マシマシにするのではなく、わが家のリスクが大きいところに重点配分するのがコツ。治療給付金型を軸に、足りない部分だけ特約で補うと、ムダなく組めます。
共働き夫婦の体験談(イメージ)
体験談1:妻の備えを後回しにしていたAさん夫婦(30代)
「夫のほうが収入が多いので、夫だけ手厚くして妻は最低限にしていました。でも家事育児はほぼ私が担当。FPさんと外注費を試算したら、私が倒れたほうが家計の穴が大きいと分かって驚きました。治療給付金型を中心に、私の保障も見直しました」(30代・共働き)
体験談2:2人とも自営業で不安だったBさん夫婦(40代)
「夫婦ともにフリーランスで、傷病手当金が使えないと知って不安に。公的制度で残る穴を計算してもらい、夫婦それぞれに治療給付金型で備えることにしました。収入が止まる前提で考えられたのが安心につながりました」(40代・共働き)
体験談3:予算オーバーで悩んだCさん夫婦(30代)
「2人分だと保険料が高くて、全部つけると予算オーバー。優先順位を整理してもらい、収入の柱は手厚く、もう一方は家事育児代替コスト分に絞ったら、月々の保険料を抑えつつ必要な備えができました」(30代・共働き)
夫婦2枚の保険証券を並べて確かめる5項目
3組に共通していたのは、片方の契約だけを見て決めていたことでした。共働きの判断は、2枚の証券を並べて初めて「どちらが薄いか」が見えるという性質があります。ここから先は記事では答えられません。どちらを厚くすべきかは、いまお二人がそれぞれ何に加入しているかで変わるからです。夫婦それぞれの保険証券を出して、次の5つを確かめてください。
- 2人分の給付額を並べたときの偏り:一時金・治療給付金の金額をそれぞれ書き出します。片方だけが手厚くなっていないか、数字で見ると一目で分かります
- 家事・育児を主に担う側に、通院・在宅療養中も出る給付があるか:入院日額だけの設計だと、通院中心の治療では給付がほとんど出ません
- 夫婦型(連生型)になっていないか:どちらか一方への給付で契約が終わる設計かどうか。終わる設計なら、残った側は無保険になります
- 勤め先の団体保険・共済との重複:会社経由の保障ですでにカバーされている部分がないか。重複していれば、その分の保険料を家計に戻せます
- 2つの契約の保障終期がずれていないか:片方だけ先に切れると、その時点で世帯の備えが崩れます
③と④は、共働き世帯で特に見落とされやすい項目です。ここを自分たちだけで判断しにくいのは、①会社ごとに用語の定義が違う/②同じ名前の特約でも支払条件が違う/③自分の契約の中身は検索では出てこない/④重複を理由に片方を解約すると、取り返しがつかないためです。整理するときは、必ず新しい契約が成立してから既存契約を解約してください。
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よくある質問(Q&A)
Q. 共働きだと、がん保険は夫婦どちらか1人でいいの?
A. 予算の都合でどうしても1人だけにするなら、世帯収入に占める割合がいちばん大きい人を優先するのが原則です。ただし、子育て中の共働きでは、収入が少ない側が家事育児の主担当であることも多く、その人が倒れると家事育児の外注ということも考えられ新たな支出の可能性があります。可能であれば、金額に差はあっても夫婦どちらも一定の備えを持つことをお勧めします。
Q. 収入が少ないほうの妻は、本当に保険いらないんじゃない?
A. 収入が少なくても、家事や育児の大半を担っているなら、その人が倒れたときの「代替コスト」が無視できません。家事代行やベビーシッターを頼むと、3か月でも数十万円規模になることがあります。収入の額だけで判断せず、「いなくなったら何にいくらお金がかかるか」まで含めて考えるのがおすすめです。原則として、家事育児の主担当には代替コスト分の備えを確保しておきたいところです。
Q. どっちが先にがん保険に入るべき?順番に決まりはある?
A. 厳密な決まりはありませんが、考え方としては「倒れたときに世帯の経済的ダメージが大きい人」から備えるのが基本です。多くの場合は収入の柱になっている人ですが、住宅ローンの名義人や家事育児の主担当が先になるケースもあります。わが家にとって誰が倒れると家計が一番苦しくなるかをイメージすると、順番が見えてきます。
Q. 共働きなら公的制度だけで足りる?保険までいらない気がする
A. 高額療養費制度で医療費の自己負担には上限がありますが、差額ベッド代や通院交通費、先進医療の技術料は対象外です。さらに傷病手当金は給与の約3分の2まで、自営業の国保加入者は原則対象外です。共働きは収入源が2つあるぶん有利ですが、子育て中は看病する側の働き方も制限され、結局2人分の収入が同時に減ることもあります。公的制度で残る穴を埋めるのが、がん保険の役割です。
Q. 夫婦でがん保険に入ると保険料が高くなりそうで不安…
A. 2人分となると保険料は増えますが、全部の保障をフルでつける必要はありません。例えば、収入の大黒柱の方は手厚く、家事育児中心の方はその代替コスト分の保障に絞るなど、メリハリをつけると総保険料を抑えられます。診断一時金・通院・先進医療をすべて最大にするのではなく、わが家のリスクが大きいと考えられるところに重点配分するのがコツです。具体的な金額は商品や年齢で変わるため、複数の保険会社の商品で試算して比較するのがおすすめです。
Q. 子どもが小さいうちは、夫婦のがん保険を手厚くすべき?
A. 子どもが小さいうちは、親が倒れたときの家事育児の代替コストが大きく、教育費もこれから本格化します。そのため、子育て期は夫婦の備えを厚めにしておく意味があります。子どもが独立して教育費の負担が終われば、保障を見直して減らすこともできます。ライフステージに合わせて柔軟に調整する前提で考えると安心です。
Q. 診断一時金型と治療給付金型、共働き子育て世帯はどっちがいい?
A. 一概には言えませんが、治療が長引いたときの収入減や家事育児コストの継続に備えるなら、治療期間に応じて繰り返し給付される治療給付金型が合いやすいといえます。現在のがん治療は長期通院となるケースが多いためです。診断一時金型は使い道が自由な利点がありますが、給付の回数や要件が各商品で異なりますので注意が必要です。それぞれの特性を慎重に比較したうえで、わが家の治療イメージに合うタイプの商品を選びましょう。
まとめ:共働き夫婦のがん保険はどちらが入る?
- 先に1人が加入するなら、世帯収入の柱(大黒柱)を優先するのが原則
- 収入が少なくても、家事育児の主担当には代替コスト分の備えを保険でカバーする
- 高額療養費・傷病手当金でカバーしきれない「残る穴」を保険でカバーする
- 長く続く通院治療に合う「治療給付金型」を軸に、不足することのないよう各種特約を活用する
- 子育て期は手厚めに、教育費が終われば減額や見直すことも視野に入れ柔軟に設計する
とはいえ、収入バランス・家事育児の分担・貯蓄額・住宅ローンの有無は世帯ごとに大きく違います。「わが家はどちらを・いくら手厚くすべきか」は、一般論だけでは決めきれません。
Cancer FP®(がんファイナンシャル・プランナー)に相談すれば、あなたの世帯の収入比率や家事育児の状況を踏まえて、過不足のない配分を一緒に設計できます。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
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参考文献(一次情報)
- 国立がん研究センター「最新がん統計」(生涯罹患リスク 男性61.1%・女性50.1%/2023年データ・5年生存率の根拠)
- 国立がん研究センター「令和5年度患者体験調査結果報告」(がん診断後の退職・廃業19.4%・治療開始前退職58.3%の根拠/2025年公表)
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(自己負担上限額・多数回該当・2026年8月以降の見直し内容の根拠)
- 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(支給額の計算・通算1年6か月の根拠)
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「専業主婦世帯と共働き世帯」(共働き世帯数・専業主婦世帯数の推移の根拠)
- 内閣府経済社会総合研究所「無償労働の貨幣評価について」(家事・育児の経済的価値・女性が大半を担う実態の根拠)





