がんは、遺伝子の変異が原因で発症する病気です。
がんゲノム医療では、遺伝子やゲノムの情報を解析することで、診断や治療に役立てています。このページでは、「遺伝子とは何か」「ゲノムとはどのようなものか」、さらに「遺伝子とゲノムの関係性」についても解説し、がんゲノム医療を理解するために知っておくべき基礎知識をわかりやすくお伝えします。
遺伝子とは何か
遺伝子は、私たちの体を作り、機能させるための「設計図」のようなものです。私たちの体は、約37兆個もの細胞からできていますが、各細胞には特定の役割があります。筋肉や皮膚、血液、脳など、体のさまざまな部分を構成するこれらの細胞は、すべて遺伝子の指示に従って作られています。
遺伝子は、体の中でタンパク質を作るための情報を持っています。タンパク質は、細胞を作る材料となり、細胞の中で重要な役割を果たします。たとえば、筋肉を動かすためのタンパク質や、感染症から体を守るためのタンパク質など、私たちの生命活動に欠かせない存在です。

DNAとは何か
遺伝子は「DNA」という物質でできています。DNAは「デオキシリボ核酸」とも呼ばれる化学物質で、次のような特徴を持っています:
- 構造: DNAは2本の鎖がねじれた「二重らせん構造」をしています。
- 構成要素: アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基が並んでおり、その配列が遺伝情報を表します。
- 情報: 塩基配列はタンパク質を作るための情報を持ち、それが遺伝子として機能します。
DNAは、私たちの体の細胞一つひとつに存在し、親から子へと受け継がれることで、生物の特徴が次世代に伝えられます。
染色体とは何か
染色体は、DNAが効率よく収納された状態です。人の細胞には、23本の染色体が父親から、もう23本が母親から受け継がれ、計46本の染色体が存在します。染色体を一冊の本に例えると、その本の中に遺伝情報がぎっしり詰まっている状態です。
染色体には、遺伝子以外にもタンパク質の指示を出さない部分(遺伝子間領域)が含まれており、それも含めてDNA全体を染色体が保持しています。
ゲノムとは何か
ゲノムとは、細胞一つに含まれるすべての遺伝情報のことを指します。具体的には、DNA全体がゲノムに該当します。人のゲノムは約30億文字(塩基対)で構成されており、その中に約2万数千個の遺伝子が含まれています。
ゲノムは、「すべての設計図の集合体」と考えるとわかりやすいでしょう。この中には、実際にタンパク質を作るための指示(遺伝子)もあれば、まだその役割が明らかでない部分も含まれています。
遺伝子、ゲノム、DNA、染色体の関係性
それでは、これらの用語がどのように関係しているのか、順を追って説明します:
- DNAは、生命の基本情報を持つ化学物質です。
- 遺伝子は、DNAの中でタンパク質を作るための指示を持つ特定の部分です。
- 染色体は、DNAが収納された形態で、すべての細胞に46本あります。
- ゲノムは、細胞一つに含まれるDNA全体のことです。
これらを家づくりに例えると、次のように理解できます:
- DNA: 家を建てるための素材そのもの
- 遺伝子: 素材をもとに具体的な部屋や家具を作るための設計図
- 染色体: 設計図が収納された図面ファイル
- ゲノム: 家全体の図面や仕様書をまとめた資料

まとめ
遺伝子とゲノムは、どちらも私たちの体を作るために欠かせない重要な要素です。遺伝子は、ゲノム全体の中でタンパク質を作るための指示を持つ部分を指し、ゲノムはそれを含めた遺伝情報の全体を指します。
遺伝子やゲノムを理解することで、がんゲノム医療のような先端医療の仕組みや、遺伝子変異が病気に与える影響についての理解を深めることができます。この知識が、私たち自身の健康や医療の選択に役立つきっかけとなれば幸いです。


